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ショートショート4月~

夕焼け

作者: たかさば
掲載日:2020/04/27

ずっと覚えている、夕焼けがある。



修学旅行の、帰りのバスの中から見た、夕焼け。


小さめの雲がいくつも重なり、茜色と藤色が薄暗く変わる空の色に混じった、少し混雑した、空模様。


同じ色彩が、彩度と明度の違いで、複雑に交差し、染め上げた、空という、キャンバス。



あの時の空が、今でも私の中に、しっかりとある。



何度、夕焼けを見ても。


何度、良い夕焼けだと感じても。


いつも思い出すのは、あの日の夕焼け。



あの日見た夕焼けは、いったい何が違うというのだろう。



旅行帰りのバスの中は、行きのバスの高揚感に包まれた騒がしさとは違い、おだやかな空気が、流れていた。


今から家に帰るのだという安心感と、楽しかった旅行の終わりを噛み締める、ひと時。



隣の席の友達は、眠っていたはずだ。


だが、私は、それが誰だったのかさえ、覚えていない。



だというのに。



あの空は、はっきりと、覚えている。



あの日の空が、忘れられない。


あの日の空は、忘れないだろう。


あの日の空を、忘れたくない。



今日の夕焼けも、綺麗だった。


私はこの先、あの日の夕焼け以上の夕焼けを、見る日が来るのだろうか。



いつ訪れるか分からないその瞬間を思いながら、ふと、気付いたのは。



たくさんの人たちと、ふれ合ってきた、自分のこと。


たくさんの人たちと出会って、言葉を交わしてきたけれど。



いつも思い出すのは、あなただけ。


いつも思い出すのは、あなただけ。



あの日の空と、同じなのは、あなただけ。



忘れられない、空があり。


忘れられない、人がいる。



忘れる空を毎日眺めて、忘れられない空を思い出す。



忘れる空を、毎日眺めて。



忘れられない、あなたを、想う。


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― 新着の感想 ―
[良い点] この、自分をちぎってこねこねして伸ばして焼いたような…… ……すごい。 [一言] とりあえず、純粋に文章が上手いと感じました。
2020/04/27 22:07 退会済み
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