004 黒翼との出会い 2
今回もソフィア視点です。あ、でも主人公のフィン君でてきますよ!
「あのー大丈夫ですか?」
なんて間抜けな問いかけだろうか、誰もいない岩陰に波で打ち上げられびしょ濡れで倒れている敵国の兵士、大丈夫な訳がない。
「こ、こういう場合どうすればいいんだっけ?とっとりあえず市場に行って誰か呼んでくるんだっけ?でもそうしたらこの人完全に軍の人に渡されちゃうよね……」
こんな状態で軍の捕虜になれば確実にこの人は命を落とす。
敵国の兵士がどこで死のうが私は何も思わないが流石に目の前で死なれるのはいい気はしないし捕虜になれば私が殺したみたいだ。
「そ、そうだ!もう一度だけ声をかけてみて駄目そうなら諦めよう!ここで意識を取り戻さなかったら運が無かったという事で……」
私は申し訳ないと思いつつ倒れている彼に最後の審判を下す
「あのーほんと大丈夫ですかー?生きてますかー?」
少し待ったが返事は無かった。彼は最初からもう手遅れだったのかもしれないし、もしまだ命があったとしても彼は運が無かったのだ
彼に近づき腰を下ろし彼の顔を見た、とても若い、歳は私と同じぐらいだろうか髪は黒、顔は鋭いけどどこか優しさを感じる
こんな少年が明日をもわからぬ戦いに身を投じていると思うと戦争といううものの異常さを伺い知れた。
「……私は神でもなければ教会のシスターでもない、あなたを見殺しにするけど悪いとは思わない私にも色々と事情があるから。でも……ごめんなさい」
そうだ私にも事情がある、私自身拾われた身だし奴隷倉庫から逃げ出しから商人たちは私を必死になって探している。
それを娼館の皆が匿ってくれている
これ以上迷惑を掛ける訳には行かない
「さてと、市場の誰かにに報告しますか……」
彼に一瞥をし立ち上がろうとし
「……らず、……ろしてやる」
え?しゃべった?なんて……彼の顔に耳を近づける
「必ず殺してやる」
「……ウぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「えっ!?なんでっ?わ、わたしなっなんかした!?た、たしかに見殺しにしようとはしたけど事情あるって説明したしそこまで恨みを買うようなことはしてないよ!?って私心の声全部でてるぅぅぅ」
なんなのよ!こいつ、私少なからず助けようとはしたもん
それなのに必ず殺すって何!? 恩知らず所じゃないわよ
「復習を……帝国に復習を……必ず
【必ず復習してやる】
ツッッッッ、ほんとっ何なのよ!あの時の……家族に裏切られた時の私と同じ顔で同じ事言うんじゃないわよ……
私は無意識の内に彼に肩を貸し砂浜を歩いていた、私の家に、この人を匿える場所に。
「ほんと今日ツイてなーい」
彼女の叫びは空しく響いた
前回の投稿から2日ほど空きましたが仕事と両立って難しい物なんだと実感しました……
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