003 黒翼との出会い
2話連続のソフィアに視点を置いた話です!
あれ?主人公どこいった?安心してください次からフィンの視点に戻りますw
小説って書き始めると止まらなくなりますねー物語の始まりとなる3話目楽しんでもらえると幸いです
「……フィア……ソフィア……」
声が聞こえる、優しい声、まるで母のような
「ねぇっ! ソフィア起きてってばっ!」
そう、母親の様な……母親ッッ!!
私は枕元に隠していたナイフを手に取った。
「うわぁぁ! なに!何かあったの!?」
そう驚いた声を上げたのは【エマ】だった。
エマは私と同じ年で髪は綺麗な亜麻色ーーそして3年前から私と同じ娼館で働く女の子だ。そしてなぜか若手なのに私より人気がある……確かにおっぱい大きいけど!!
ごほんッ!話を戻すが、私は娼婦になっていた。
両親に奴隷として売られ奴隷商人に連れてこられたのは奴隷倉庫といわれる場所。
商人たちがそう言っていたから確かな名前かわからないがその倉庫から命からがら逃げだした。
そこまでは良かったが一度も来た事もない街、ましてや連れて来られている間私は意識を失って居たから帰ることも出来なかった。
もちろんお金など持っているはずがなく、空腹と寒さで命尽きそうな時に
この娼館【紫咲のアネモネ】の主人に拾われた。
「なんだエマか……で、どうしたの?」
「なんだエマか……じゃないでしょ!?私起こしに来ただけなのに殺されかけてるんだけどッ!!」
「ごめんーちょっと嫌な夢と殺意沸く声がしたから……てへっ」
「それって私の声が駄目って事!?あっ、ちょっと待ってっ駄目って事なのぉぉぉぉねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
私は、最後まで話を聞かずにベットから飛び降り自室を後にした
「それにしても久々にあんな夢を見たなぁ~」
あの日からもう11年という歳月が過ぎようとしていた
ブルルッと身震いをすると気合を入れなおし一階に降りた
この娼館は少し変わっている、一階が酒場、二階が自室兼男をもてなす為の客室になっているーーまぁ男が二階に上がる事なんて滅多にないんだけどね
「おはよーございまースヒィッ!!!!」
鼻先ぎりぎりをナイフがかすめビィィンンと音を立てて壁に刺さる
「何がおはよーだッッ!今何時だと思ってる!!」
カウンターから怒鳴り声と共にこちらを睨んでくるのは【グレース】
ここ【紫咲のアネモネ】の主人であり娼婦だ
「ごめんグレース、ちょっと嫌な夢を見ちゃって」
「あんたの夢物語なんか聞いちゃいないよ!早く市場に行って食材を買ってきなっ!!」
「……はーーい」
命の恩人でもあるグレースには頭が上がらないし上げようとも思わない
自室に戻り、服を着替え私は町に出る。食材の買い出しは私の担当であり毎日の日課でもある。
「うーん、ここに来ないと一日が始まらないよねぇ~」
ここは市場から少し離れた海岸ーー私のお気に入りのスポットだ。
ここに来ると自分が自由である事を確かめられる
「あ、そうだゴマタいるかな?」
ゴマタは海岸の端っこに住み着いたゴマタマアザラシの子供だ
親とはぐれて独りぼっちの所を市場の皆に助けられた
「よいしょっと、ゴマターいるー?」
岩陰に黒い塊が見えた
「やぁ、久しぶりだねーゴマターってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
ゴマタだと思って近づいたら人間!?しかもこの服って敵国のパイロットだったような……
ってどうしよ!?何も見なかった事にする?いやいや流石に見殺しは夢見が悪いって言うかただでさえ今日は悪夢だったのに……
よしっ!生きてるかだけ確認しよう!そうしよう、うん
私は恐る恐る話しかけた。--これが人生の分岐点になるとは知らずに
「あのー大丈夫ですか?」
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