002 その時少女は
今回は本作のヒロインとなるソフィアの話です。
なぜ彼女が娼婦になったのか少し過去の物語
「いいかい?ソフィア、お父さんとお母さんのために沢山お金を稼いでくるんだよ」
幼い私に父の優しい声が届く、言われた言葉の意味がどういう意味なのか分からないが私は明るく返事をする。
「わかった!パパとママのために沢山お金稼ぐ!!」
「フフッ、いい子ね。それでこそ私たちの娘ね」
私の隣に膝をついた母が微笑んでくれる、それは優しい本当に優しい顔だった。
「では、お願いします」
父がドアに向かって言うと、黒いローブは羽織った男が入ってきた
見るからにみすぼらしい恰好だ、臭いも酷い
「ゲヘッそいつがあんたらの隠し玉かい?」
黒いローブの男が私をのぞき込み、下卑た笑みを浮かべる
「ヒィッ」思わず口から出た言葉だった
「確かにこいつァ上玉だァ、これなら幼女好きの変態も、少し歳をとらせて奴隷として売ってもいいなァ~」
えっ?奴隷?私が?何を言っているのか分からない。
いや意味なら6歳の私でもわかる、奴隷になればどういう未来が待っているのかも。
でも、そんなこと父と母が黙って見ているはずがない!
私は父と母を見る、ーー微笑んでいた、いつものように優しく慈愛にあふれた顔で……
「イヤァ……イヤァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
私は走った、黒いローブの男から、いつも優しく私に愛情を与えて育ててくれた両親から
でも上手く行かなかった、上手く行くはずがなかった
相手は奴隷商人、売られると分かった人間がどの様な反応をするのか、
その人間が次にどう様な行動をするのかを……
「おっとぉ!つれないねぇ~今からおじさんとデートだっていうのに」
私は、あっという間に捕まり抱えあげられた
「イヤァ!はなっっしてっっ!!」
足掻いた、力の限り藻掻いたが男の拘束を解くことはできない
黒いローブの男はさらに強く私を拘束する
それでも藻掻いて藻掻いて藻掻き続けた
それを見て呆れた男は気怠そうに腰に携帯させていたポーチから赤い小瓶を出し私に嗅がせるーー頭が……意識が朦朧とする……
「じゃあこいつ、連れて行くから金はいつも通りの場所で受け取ってくれ」
「あぁ、わかっている、それと借金もそいつにつけといてくれ」
父はいつもの様に、私や母に話しかけるように落ち着いた声で言った
「ゲヘへッ酷いねぇ~実の娘を奴隷に売って金を貰い、借金までも押しつけるとは」
「フッ、何を今更、俺たちが何の為に子供作ったと思ってる」
「そうですわ、すべてはこの為にあんな痛い思いまでして産んだんですも
の最後ぐらいここまで育ててきた私たちに感謝の一言ぐらいあってもいい
ぐらいです」
「まぁそういうな感謝の言葉は言えなくてもソフィアはこうして可愛い娘になってくれたんだ。俺たちに高く売られる為に」
薄れゆく意識の中で大人達の会話が微かに聞こえる
そうだ……これは夢なのだ……こんな酷い話が現実な訳がない
もし、現実なら笑える話だ。この世界で最も信頼と尊敬を抱いてた両親は私を売るためだけに産み育ててきたと……道化だ
彼らが私に向けていた笑顔も、注いでくれた愛情も、全て虚構
そう、あれもこれも全てが嘘、嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘
あぁ憎い、憎くて憎くて堪らない。
途切れかけの意識を憎しみが支配する。
私は意識を失う前に一言呟き、誓う
【必ず復習してやる】
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