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欲しかったシステム手帳(ミニ6)が届いたので、投稿します。

「いやー、セディに学校を案内するなんて感慨深いな」


「どんな感慨かは知りませんが、案内したいって言ってくれればされましたよ」


「それじゃ意味がない。セディが案内してくれって言ってくれたのが嬉しいんだから」


 会場を見てから決めるって言っただけで、案内してくれじゃないんだけど……。

 ハル兄上が嬉しそうだし、実害はないから別にいいか。


「一つ疑問があるんですが、来賓の対応を僕に任していいんですか? 生徒会メンバーみたいな信頼できる層にする方が良いと思いますが」


「……常軌を逸したバカが多いからね。生徒会はその対応しか出来ないんだよ」


 ああ、フレデリカさん関連のことか。

 クラーラ母上曰く、ノスフェラトゥ絡みの策略だとか。王位継承権と直接関わりがない案件なのに、僕に被害が出るとかどういうことだ。


「バカで思い出した。セディ、彼女に何をした?」


「彼女とは誰です?」


「マリアベル姉様に投げた子のことだよ」


 名前を出すと色々と問題だもんね。

 何があったかを話すわけにはいかないけど。


「姉上の課した地獄を乗り越えたんだから、色々と変わると思いますよ」


「分かった、そういうことにしておこう」


 物分かりと察しの良い兄で助かります。


「さ、到着だ。ここが来賓を歓迎する会場だよ」


「会場って……ただの体育館じゃないですか」


 だだっ広いだけで何の装飾もない、普通の体育館。

 雨の日に運動系の授業をしたりする、ごくごく普通の体育館だ。


「ここを好きに使って構わない。準備は一週間前からだから、それまで手は加えないように」


「あの、他にも使える場所ありますよね。本当にここですか?」


「長い時間をかけて、有名無実化した生徒会のお役目だからね。良い場所は他の団体に取られてしまって、殺風景なココしか残らなかったんだよ」


「有名無実化した割には、予算がありましたよね」


 ぶっちゃけるけど、僕基準でお茶会を開くとお金がかかって仕方ない。

 貴族としての見栄と、僕の基準が厳しいという二つの問題から。なので予算によっては断ろうと思ってたんだけど、基準を変えなくても開けるくらい多かった。


「長年かけて貯まりに貯まっただけだよ。もしもの時用に残してはいたけど、消化しないと他に取られそうになったから、セディに丸投げしようって」


「……つまり、問題を起こしそうな僕を体よく隔離しようって魂胆ですね」


「そういう表現も可能だね」


 別にいいよ、隔離でも。

 中心部から外れてるし、面倒ごとも少ないだろう。


「もしイヤなら、別の場所を確保するよ。規模はかなり小さくなるけど……」


「お金をくれた上に、自由にしてどうぞとまで言われて文句なんて言いませんよ。――ええ、最大限好き勝手しますから、覚悟だけはしてくださいね」


 僕がお茶会で好き勝手すると、なぜか騒ぎが大きくなるんだよね、不思議。

 貴族らしい格を保って、僕が美味しいと思うものを出してるだけなのに、ホント、不思議。

 不思議でしかたないけど、大きな騒ぎになる確率が高いことは知っている。罵倒の類は出てこないだろうけど、ハル兄上には心構えの一つでもしておいてもらうとしよう。


「ははは、大丈夫だよ。――セディに話をした時点で覚悟はしてるから」


「ははは、さすがハル兄上。話が早くて助かります」


 会場の視察は以上で終わりだ。

 一応、舞台裏の確認はした。ビックリしたのは、日本と遜色ない音響設備が揃ってたこと。講堂が使えない場合は、こっちで代用するために入れてるんだと。


「……あの、豚が……」


「どうせ…………金」


 さて、ハル兄上と一緒に生徒会室に戻る途中、こんな小声が耳に入る。

 あ、豚って僕のことね。どれだけ運動しても痩せない身体を揶揄してのことだろうけど、うるさいよ。僕と豚を一緒にしたら、豚に失礼だろう。

 太って不清潔の代名詞になってるけど、逆なのだ。豚はとても綺麗好きな生き物で、体脂肪率だって一五%程度。これがどのくらい低いかって言うと、成人男性の平均が一五%~二〇%、成人女性で二〇%~二八%とされているので、痩せ気味なくらい。

 あと豚は肉が美味くて育てやすくて増やしやすいという、とても優秀な経済動物だ。

 僕よりもよっぽど優秀だってのに、学のない連中め。


「ハル兄上、僕に動くなって言っておいて、熱くならないでください」


「だが、アイツらはお前のことを」


「なら、少し小突いておきましょうか? ハル兄上が協力してくれるなら、自然に出来ますよ」


「分かった、どうすればいい」


 第一ステップ、人通りの多い場所でゆっくりします。

 第二ステップ、陰口を待ちます。


「――待て、セディ!」


 第三ステップ、ハル兄上が大声を出して注目を集める。

 下ごしらえは以上、あとはアドリブです。


「いきなり手を掴んで何ですか? ちょっと痛いので離してください」


「――気持ちは分かるが、少しは抑えてくれ! 問題を起こすのは不味いだろう?」


「気持ち? ……ああ、タマナシ共のさえずりですね!」


 はい、ここ重要です。

 陰口を叩く連中に向けた誹謗中傷を、わざと大きな声で、周囲にいる皆さんに聞こえるようにわざとらしく叫ぶ。


「大丈夫ですよ。というか、失礼ですね。――豚認定してる小者に対して、面と向かって声も上げられないタマナシに! この僕が、興味を向けるわけないじゃないですか! 時間の無駄なんてものじゃありません、命の無駄遣いってもんです! アッハッハ~ッ!!」


 最後の高笑いは、心底楽しそうにするのがポイント。

 タマナシ共の神経を逆なでするように、傲慢さが入るとなおよし。


「さ、戻りましょか」


「……落差が激しくないか?」


 テンションをわざと高くした反動です。

 糖分が欲しいな……


「ハル兄上の所為でノドが渇きました。ジュースをおごってください」


「珍しく甘えんぼだな。もちろんいい――」


「待て、エルピネクト――」


「――ああんっ!?」


 おや、珍しい。

 ハル兄上がアイアンクローを決めてる。


「弟が珍しく私に甘えてきたというのに、なぜ邪魔をする? このまま握り潰してもいいんだぞ?」


「違う違う違う! 用があるのは弟の方だっ!!」


 うーん、荒っぽいのに絵になるって、やっぱり反則だろう。

 というか、せっかくバカが釣れたってのに、ハル兄上が動いちゃダメでしょ。反射でアイアンクローを決めるのは、見た目優男でもエルピネクト家の人間なんだなって実感できるだけだけど、時と場合を選んで。


「ハル兄上、僕に用があるみたいですから、放してあげてください」


「――え、ヤダ」


「ヤダじゃなくてですね……ああ、顔が大変なことになっている方。説得しますからちょっと待っててくださいね。時間かかるかもしれませんが」


 あれ、おかしいな。

 なんでケンカ売ってきた人を助けようとしてるんだろう?

 ってゆうか、面倒くさくなってきた。

 タガが外れたハル兄上の説得なんて、まともにしたらどれだけ時間がかかるか分かったものじゃないし。だから手っ取り早く済ませよう。


「兄上、兄上」


 至近距離まで近づいて、誰にも聞かれないようにささやいた。


「手を放してくれないと、本気で大会優勝を目指しちゃいますよ」


 すぐにアイアンクローが解かれ、顔面が大変なことになってた人が落ちた。

 ヒドイ徒労に襲われたけど、ここからが本番なんだよね。ホント、面倒くさい。色々と無視して帰りたくなってきたよ。


プロットは手書き派で、B5サイズのノートに書き殴るスタイル。なのでミニ6サイズ小さくて使えない。

じゃあ、なんでわざわざ買ったのかって言うと、財布にするためです。カード入れをいくらでも増やせて、買い物用のメモなんかも挟めるって、すっごい利点。キャパだけを見れば、普通の財布より優れてる。

結論。小さいシステム手帳は財布にすべし。

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