54【エルタートの森】
この目的の無い異世界を旅する物語
【葉月博26歳】人種族
現世で死に異世界へと転生したごく普通の一般人である
カンナの婚約者で最近、ネーアとも婚約者となり領地ドラザーヌの領主と男爵を魔人王より任命された
【ターニャ17歳】女神族
天界で失敗続きだったので、神により天界から異世界に落とされた四級限定の駄目神
博を一人前にする事が天界へと戻れる唯一の方法である
【カンナ16歳】猫人族
元孤児院の心優しい女の子
今は博の第一夫人候補として常に側にいる
第二夫人候補のネーアとはある日を境に意気投合して姉妹のように仲良くなった
【ネーア13歳】竜人族
魔人領統括の魔王の四番目の娘、上には姉二人と兄が一人いる
成人の16歳を迎えると博と結婚出来るのでそれまでは側にいて悪い虫が付かないように牽制している
【ドーラ19歳】バンパイア族
博とネーアの使用人にして元警備兵隊長
代々魔王の城を警備する家系の子に生まれネーアとは年齢が近かった為、幼なじみとして共に育った、ドMの変態元騎士
【紅葉】犬人族
先代領主からの使用人でありメイドを統括するメイド長である
炊事洗濯から暗殺まで何でもござれのスーパーメイド
【リズベリー】妖精族
山賊に捕らわれていたので故郷まで送り届ける事となった
愛の力で人間になる事が出来、仲間になった
因みに空を数分なら飛行する事も可能である
【二日後】
連絡を受けたカンナとネーアそれに使用人のドーラがドラゴンに変身したネーアの背に乗ってやってきた
ギャーー!!
朝一番に屋敷に木霊する博の悲鳴
カンナ達は到着そうそう詳しく事情を聞き博への折檻を行っていた
数分後、そこには元気いっぱい顔をボコボコにされながら挨拶を交わす博の姿があった
「あのターニャ様、博様は大丈夫なのでしょうか?」
「いつもの事だから大丈夫じゃない?
それより早く朝ご飯にしましょう」
この風景にも大分慣れたターニャがそう応える中、博を心配そうにいや羨ましそうに見つめるドーラが居た
「お嬢様、私にも旦那様と同じ折檻をして下さい」
そんなこんなで違約金の白金貨2枚が手元に届いたのであった
そしていま現在博達は部族会議が開催されるエルタートの森に向かっていた
「なぁ紅葉、部族会議に向かってるエルタートの森ってどんな場所なんだ?」
「はい、エルタートの森は代々エルフ族が納めて来た神聖な場所です
一説に寄りますと初代エルフ族の王がその土地を三英雄の独りから譲り受けたと言われ、感謝の意味を込め武神の祠を建てたそうです」
「へぇーそれは是非とも機会が有れば行ってみたいな」
「博様、それは残念ながら出来ません
武神の祠は、王族以外の立ち入りを禁止しています」
「そう言われると益々行ってみたくなるな」
「駄目ですよ、武神の祠に許可無き者が立ち入った者は処刑されますから
絶対に行かないで下さいね、博様」
「わ、わかったよ、流石に処刑されるのは俺も困るしな」
そうこうしている内にエルフ族の村エルタートが見えて来た
神聖な森と言うだけあって木々は太くその長さは優に100mを超える
そして住居はその天空にまで伸びた木々にツリーハウスの様に作られ
住居間の移動は木と木の間に幾つもの吊り橋が掛かりそれらを渡って移動する
完全に地上世界とは隔離した村である
「これ落ちたら死ぬよな?」
「そうですね」
博達はブルブルと足を振るわせながら備え付けの木製エレベーターで居住地区まで登った
「絶景だな」
「そうだねお兄ちゃん!」
博とカンナは手すりから遠く離れた場所で互いにギュッと手を繋ぎながら語る
「博様、こっちも凄い絶景ですよ!」
ネーアが手招きするが、首をブンブンと横に振り木の側から一向に離れようとはしない博とカンナ
そんな2人をターニャとネーアが展望台に引きずり出そうとする
「無理無理無理無理!!」
必死に抵抗する博とカンナ
「博、あんた日本にはコレより高い場所なんて幾らでもあるでしょ?
何をそんなに怖がってるのよ?」
「違う違う!日本の文明レベルと全然違うから!
あっちは信頼と実績の鉄筋コンクリート!
こっちはただの木材!
信頼度が違うから!無理だから!
だから止めろ!手を引っ張るな!押すな!」
「仕方ないですね、カンナちゃんはどうですか?」
ネーアが優しくカンナに声をかけるが、木の側で小さく丸く固まっていた
「ほーらカンナちゃん大丈夫ですよ、博様は必要以上に怖がっているだけですよー」
ネーアが手を差し伸べるが猫の様にシャー!と威嚇するカンナちゃんであった
「二人とも駄目な様ですね、展望台は諦めて宿に行きましょうか?」
こうして宿へ向かい部族会議が開かれる夜まで各々、エルタートを満喫したのであった
無論、博とカンナは部屋から一歩も出る事は無かった
そして夜になり部族会議が行われた
博達は狗影流忍術の相談役としてこの会議に出席する事となった
今回出席したのは、このエルタートの森、全種族の七種族
エルフ族、イヌ族、クマ族、キツネ族、ケンタウロス族、ラミア族、ハーピー族
どの種族もこの森の近郊に住みエルタートの森を守護する立場にある者達である
こうして会議は静かに行われるのであった
作者のモチベーションが上がるため
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