31【準男爵】
人類みなニート~働いたら負けかなと思う~
主人公「葉月博、26歳」
女神「ターニャ、17歳」
元孤児院の子供「カンナ、15歳」
異世界転生を余儀なくされ転生するも何故か女神ターニャも一緒に転生
仕方なく一緒に旅をする事になったのだが転生時に初心者パックを渡すのを忘れたりと
長く旅をするにつれ女神ターニャのポンコツぷりが露呈し始めるのであった
そんな到底女神の行動とは似ても似つかないポンコツ女神ターニャとの異世界のんびり?転生珍道中物語です
馬車に揺られる事、数日帝都ドラグマが見えてきた
「さすが帝都滅茶苦茶大きいな」
「大きいだけじゃありやせんぜ、魔人領全ての物がここに集まるんですからそりゃー見事なものですよ」
「それは楽しみだな」
「まぁーその前にやることが有るんですけどね」
御者は溜め息混じりで話したいた
俺達の目の前には長蛇の列が並んでいる
「これってもしかして?」
「へい、入国審査待ちの列ですぜ」
なんでも半年程前に王族の通達により入国審査が到来の倍以上の厳しさになり、こんな現状になったらしい
「おいおいまだ日の出からそんなに経ってないのにこの人数かよ」
「まだこの前よりは少ないですぜ、この前は物資運搬の一団と重なって入国するまでに丸一日掛かりましたから」
「入国するのに丸一日っておかしいだろ」
「ここだけの話しですが何でもとある貴族様が暗殺去れかけたとか誘拐去れかけたとかで警備を厳しくしてるみたいですぜ、まぁー何にせよ気長に待ちやしょう昼前には街に入れるでしょうし」
【昼前】
パカラッ!パカラッ!パカラッ!
待機列の横を猛スピードで駆ける一台の馬車
「ドケドケ!貴族様のお通りだ道を空けよ!」
その馬車の前に子供が飛び出して来た
キキーッ!ゴゴゴッ!ゴンッ!
両者ともなんとかぶつかる事なく出来たものの子供は転んだ際に擦りむいたらしく痛がっている
「ウェーーン、痛いよお母さーん!」
「貴様何をしている!子供とて容赦はせぬぞ!」
「申し訳ございません!」
ならぬ!そのガキはこの場で打ち首にしてやる!
「何卒御慈悲をお願いします」
ならぬそのガキを寄越せ
「イタタタタッ!どうしてくれるのじゃ?怪我をしてしまったのでごじゃる」
御者と母親が揉めていると馬車の扉が開き中から男が出てきた
その容姿はまるで雨蛙のようなザ悪徳貴族を体で表しているような奴であった
「申し訳ございませんハラグローノ様、このガキが急に飛び出して来まして」
「申し訳ございませんハラグローノ様」
「どうしてくれるのじゃ?ワシの頭にコブが出来てしまったでごじゃる」
確かに額が赤くはなっているものの子供の方が重症だというのは誰が見てもわかる
「ハラグローノ様何とぞ御慈悲を私に出来る事なら何でも致しますので」
その言葉を聞いたとたんなハラグローノは下品な笑みを浮かべ母親を下から上へと舐めるように見つめた
「そうかそうか、そこまで言うならしかたがないでおじゃるな、我が家へ招待しようではないかでおじゃる」
母親も意味が分かったのか下をうつむき馬車へ乗り込もうとしている
それを見ていた俺は馬車を降りようと席を立つがターニャに止められる
「関わっちゃダメよ博!」
「何故だ?あのままでは母親は奴の慰み者にされてしまうぞ?」
「とにかくダメなの貴族に手を出したら即牢屋行きよ!」
「じゃあどうしろと?」
「ここは我慢して、あなたが行けばカンナちゃんまで牢屋行きなのよ!」
「クソッ!そんなに貴族が偉いのか?」
「そうよ、この世界では貴族が偉いのよ貴族からすれば平民何て家畜と同等なの」
俺は何も出来ずにただそれを見ている事しか出来なかった
「待てーーっ!!」
その瞬間叫び声と共に数名の重装備を纏った女性が現れた
「ハラグローノ様!一体何をしておられるのでしょうか?」
「これはこれは警備隊長殿、この者の子供を怪我させてしまったので自宅に招いて手当てをしようと思ったのでおじゃる」
「そうでしたか、平民への心遣い痛み入ります、ですがハラグローノ様の手を煩わせずともこの者達は我々が手当て致しますからどうぞお先に」
「そうでおじゃるか?なら仕方がない先に失礼するでおじゃる」
ハラグローノは苦虫を噛み潰したような顔で立ち去っていった
「貴族にもなれないゴミ準男爵が!」
奴が居なくなった途端に周りに居た観衆から彼女へ拍手が贈られた
「準男爵が貴族になれないってなんなんだ?」
「私も詳しくは分からないわ」
「あのーそれはですね、準男爵は平民が王に認められてナイトの称号を授けられると与えられる称号ですから、領地も無ければ貴族に比べて地位もない平民のままなんですよ」
「なるほど平民ね」
「ハラグローノ様の亡くなられたお父様は偉大で民ならず王にまで愛される方でしたが息子に代替わりしてからご覧の通りの有様でしてね民にも貴族にも愛想疲れている状態ですよ、それに噂ですが屋敷の地下には監禁した女性の遺体がゴロゴロ眠っているらしいですよ」
「最後のはともかく民に嫌われているのは確かみたいだな」
「旦那も奴には関わらない方がよいですぜ」
長かった入国審査も終わり目の前には多種多様な人々が行き交う
「さすが帝都まるで人がゴミのようだ!」
「なにそれ?」
「気にしないでくれ、それより早く飯にしようぜ飯に!カンナちゃんは何か食べたい物はある?」
「ん~お魚!」
俺達はカンナちゃんご所望の魚料理を堪能しキューを知っている人を探す為ギルドへ向かった
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