25【宝物庫】
人類みなニート~働いたら負けかなと思う~
主人公「葉月博、26歳」
女神「ターニャ、17歳」
孤児院の子供「カンナ、15歳」
異世界転生を余儀なくされ転生するも何故か女神ターニャも一緒に転生
仕方なく一緒に旅をする事になったのだが転生時に初心者パックを渡すのを忘れたりと
長く旅をするにつれ女神ターニャのポンコツぷりが露呈し始めるのであった
そんな到底女神の行動とは似ても似つかないポンコツ女神ターニャとの異世界のんびり?転生珍道中物語です
35【宝物庫】
人質達はだいぶ落ち着き話を出来るまでに回復していた
彼女達は皆この洞窟を抜けた先にあるドラーヌと言う街の出身者だそうだ
軽く衰弱している者もいるため出発は明日に見送る事にした
【次の日】
目の前でお頭の首が飛ぶ所を目の当たりにした山賊達は従順だった為、3日間計6日で山を通り抜ける事が出来た
「食料を多く持ってきていて正解だったな」
「そうね誰も欠ける事無く山を降りられたのはよかったわ」
前方に城が見えてきた
たしかあれは人質達が教えてくれたドラーヌ、バンパイアが住む街だ
「そんな街に人間の俺が入国しても大丈夫なのか?」
「ドラーヌは連合国の一つに加盟しておりますので問題無く入れます、もし入国が拒否されようなら私達が全力で何とかしてみせます!」
「そこまでしなくても」
「いえいえ博様は私達の命の恩人、その恩人に恥をかかせようなものなら」
人質達の目が赤く光る
「怖い怖い怖い!そんな事しなくていいからね」
「博様が仰るのでしたらこの命何時でも絶つ所存です」
「いやいやそんな事しなくていいからね」
【ドラーヌ城門前】
警備兵に今までの話をしていると人質の一人が隊長らしき人物と抱き合い喜び涙していた
「君が葉月君だね、ありがとう娘を救ってくれて」
隊長は深々と頭を下げる、それにつられ他の者も頭を下げた
「気にしないで下さい当たり前の事をしたまでですから」
「それでは私の気が済まない、明日使いの者をやるので私の家に来てくれ」
余りにも強引だったのでついつい行かせて頂きますと返事をしてしまった
その後、山賊を受け渡したり人質や賞金の手続きなどがあり、かなりの時間が掛かった
【宿屋ドラドラ】
「ふぅーやっと終わった」
「そうね」
「お疲れ様ですお兄ちゃん」
キュキュー
「ありがとう、今日は疲れたからもう寝るよ」
そう言い残して俺は自分の部屋へ戻った
【次の日】
昼食を終えて部屋でくつろいでいたら来客があった
コンコン!
「はい」
男爵様の使いの者です
「「男爵!」」
「男爵?何それジャガイモ?」
「違うわよ!王様より爵位を頂いた貴族よ」
「偉いのか?」
「そうね上流国民ね」
「マジか!」
「あの、よろしいでしょうか?」
「はい」
「下に馬車を待たせておりますので」
「いま行きます」
こうして俺達は男爵の家に招待された
【男爵家】
人質達の中に男爵家の令嬢が混じっていたのだ、彼女の名前はキューレ、キュール男爵家の次女でありバンパイアである
男爵家に到着するとすぐさま客間に通されドレスコードに着替えさせられた
なんでも今回救出された者達、全員を招待して晩餐会を行い、その場で俺は今回の立役者として皆に紹介されるらしい
夕方になり晩餐会が開かれ俺だけは別室で待機させられている
そこへキューレ嬢がやって来た
「お待たせしました博様、行きましょう」
俺とキューレ嬢は腕を組んで晩餐会会場へと通された
晩餐会会場には救出された者の親兄弟から親戚まで全てを含めると100程の人が集められていた
俺は男爵の横に並び一通りの式が終わると次に挨拶回りが始まった
男爵はまるで自分の娘の結婚相手を紹介するかのような挨拶を皆にしていく
これはどういう事なのだろうか?俺は結婚させられるのか?そんな気がしてならなかった
晩餐会も無事に終了し来賓の方達が帰路に就くなか、俺は男爵と男爵夫人そしてキューレ嬢の三人に囲まれていた
「葉月君、夫婦共々君には本当に感謝している、ありがとう」
「この前も言いましたが、当たり前の事をしたまでです」
「何かお礼をしたいのだが何か欲しい物はあるかね?」
「特にありません」
「本当に君は謙虚なんだな、なら私の宝物庫の中から好きな物を一つ差し上げようそれでどうだろうか?」
「わかりました」
俺は男爵に連れられ宝物庫へと向かった
宝物庫の中は眩い光に輝く宝石が所狭しと並んでいる
「どうかな私のコレクションは?」
「すごいですね」
「さぁ好きな物を選んでくれたまえ」
色々と見て回るがこれといって欲しい物が見当たらない
「お気に召す物は有りましたか?」
「特にこれと言う物は」
「そうですか」
そんな中、俺はとある刀の前で足が止まる鞘には何枚かの御札が貼られていた
「まるで封印されているみたいだ」
「ええその通りですよ」
男爵が語ってくれた、この刀の名は妖刀雪鬼いつ誰が何の為に造られたのか不明、ですが歴代の使用者の皆さんがこう口々に仰います
この刀の切れ味はまるで空気を裂いているようだと
ですがこの刀には重大な欠点が存在しますそれはこの刀が持ち主を殺す刀だと言う事です
「持ち主を殺す?」
「はい、私が知る限りこの刀を使用して十八人の方が亡くなられています」
「そんなにも死んでいるのですか?」
「はい、ある日突然切れなくなると皆さん仰っていました」
そんな話を聞いても何故か俺はその刀の前から動こうとはしなかった、まるで刀自体が俺を引き寄せるかのように
「娘の恩人に妖刀を渡すのは忍びないないですが刀に魅入られたようですな」
「その様です、男爵様この刀を貰っても良いですか?」
「わかりました、ですが一つ条件を出させて頂きます」
「条件?」
「はい、その刀に殺されないで下さい」
「それはこの刀に聞いてください」
こうして俺は妖刀雪鬼を手に入れた
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