生意気でドSで生徒会長な後輩
「せ〜んぱい♡」
机の向こう側に座っている女の子がこちらを向いて笑っている。
その笑みはあざ笑うかのように、ただただニコニコとこちらを見ている。
「なんだ、手が止まっているぞ」
「あはは、仕事してるアピールですかぁ?見てください、先輩より仕事進んでるんでづよ」
「・・じゃあさっさと終わらせろ、俺は早く帰りたいんだ」
「そんなこと言って、後輩の女の子のわたしと一緒に居たいんじゃないですかぁ?」
「そんな訳あるか、馬鹿馬鹿しい」
宮野彩加、俺の一つ下の後輩でありこの学校の生徒会長。
そんな俺は副会長、このムカつく生徒会長様をサポートしている。
「もうちょっとで仕事終わりますし手伝ってあげましょうか?」
「気にするな、俺の仕事ももうすぐ終わる」
「じゃあ応援してあげましょうかぁ?頑張れ♡頑張れ♡」
「やかましい、さっさと仕事をしろ」
「は〜い♡」
いちいち言い方が鬱陶しいというか、こちらを煽ってくる。
誰にでもそういう態度というわけではなく俺にだけらしいのでよりカンに触る。
とは言えこの女は成績もいいし人望もある、何より何より誰よりも努力家であるのにそれを感じさせない立ち振る舞いが好きでこいつと一緒にいることが多い。
まぁそれだけだ、それだけでこんな性格の悪い女と一緒にいる俺も中々捻くれているのだろう。
「そういえば先輩って彼女いるんですか?いないですよね、変なこと聞いちゃってすいませ〜ん」
「分かってるなら聞くな、その口は開きっぱなしにしないと気が済まないのか」
「さぁ〜?でも案外、私の喋るの結構気に入っちゃってるんじゃないですか〜?」
「いい加減にしないと物理的にその口閉じるぞ」
「は〜い♪」
軽い、何かと口の軽い女。
誰かに秘密を喋るとかそういうわけじゃないが、とにかく言動が軽い。
喋っていると馬鹿になるようだ。
「ま、彼女なんて作る時間ないけどな。生徒会にいれば」
「それ、言い訳のつもりですか?」
「そんなんじゃねぇ。つーかお前だって彼氏いないだろ」
「セクハラですか?解任しますよ♪」
「楽しそうに言うな、嬉しそうに追い詰めるな」
ため息をついて手元の資料をまとめる。
うだうだ喋ってはいたがなんとか仕事が終わった。
「さて、帰るぞ」
「は〜い♪」
そう言って鞄を持って生徒会室を後にする。