秋花の恋心③
「はぁ……はぁ……」
教室に走って戻ってくるとみんな驚いた。
「秋花どうしたの?!なんかあった?!」
「……はぁー……はぁ……」
わたしはその場に座り込んだ。
「秋花とりあえず椅子座ろ?ね?」
1年生の時から仲良くしてる女の子が手助けしてくれた。
「秋花何があった?愁里くん?」
わたしなんか喋ろうとした途端愁里が帰ってきた。
愁里は状況を理解したらしくこっちへ来た。
「秋花どうしたの?!大丈夫?!」
わたしは愁里の手を振りほどいた。
「光森さんとお幸せに!!!」
ランドセルを持って職員室に向かった。
わたしは早退させてもらった。
愁里と光森さんが2人で居るところがキスするところがしっかりと頭に焼き付く。
「愁里のばか……」
そもそもわたしと愁里は一応双子のきょうだい。
血の繋がりもないし戸籍上養子だけど。
だから近親相姦、とかではないけど。
それでもお父さん達は怒るんだろうな。
「ただいま」
お父さんもお母さんも仕事でいない。
わたし1人だけ。
自分の部屋に入りランドセルをベッドに投げつけた。
愁里の机の前に立った。
黒いノートが置いてあった。
「愁里、ごめんね。」
わたしは悪い気がしたけどノートを開いた。
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────5月12日
今日はこの家に来てから5年が経つ。
僕の、誕生日と言っていいだろう。
僕に誕生日なんてなかった。名前も。
ここにきて誕生日と名前を貰った。
迷惑かけないように、しなきゃ。
────9月17日
クラスに転校生が来た。光森愛さん。
僕の隣の席。秋花がしてくれたように学校案内しないと。
────9月27日
光森さんが色々話してくれた。
名字で呼ばれるのが嫌いらしい。
お母さんが再婚し引越してきたけど、再婚して出来たお父さんとは上手くいっていないそう。
それでその名字で呼ばれたくないんだって。
明日から気をつけないとな
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わたしはノートを閉じた。
そして、ベッドに飛び込んだ。
そして、大泣きした。