男の子の家族
DNAや戸籍の事などは今調べているとこ。
間違いなく彼は虐待されている。
"育児放棄"という名の虐待に───
しばらくしてDNA鑑定が終わった。
結果を見てみると彼が言っていたように兄がいた。
「よし、市役所に行かないと。」
男の子は目を覚ました。
「大丈夫かい?」
「……はい。」
「これからまた行くところがあるんだけど、大丈夫?」
「大丈夫です。」
「よし、行こうか。」
DNA鑑定の結果をもって市役所に行った。
住民票を見て驚いた。なぜなら彼は戸籍に登録されていないからだ。
出生届どころか妊娠届すら出していない。
兄の龍くんはきちんと出していて、定期検診などもしっかり受けている。
「なぜだ……」
こんなことがあるのか?いや、あるからこうなっているんだろうが。
「パパ、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。少し驚いただけ。」
世の中にはそんな親もいるんだな。
次の瞬間だった。
「─────お母さん……?」
****
パパは何か紙を見て驚いている。
隣に派手な格好をした女の人が来た。
その人を見て男の子は"お母さん"と言った。
「知ってるの?」
「あれ……お母さん……」
「え!?パパ!!」
「どうした?」
「あの人お母さんだって!!」
パパもそっちを見た。
そしてパパは声をかけた。
「あの、失礼ですが朝倉さんですか?」
「はァ?なんなのアンタ」
「朝倉美智子さんでよろしいですよね」
「何であたしの名前知ってんのよ!」
「住民票を確認していた所でして。彼はご存知ですか?」
女の人は男の子を見て汚いものを見るような顔をした。
「あら、誰かと思えば龍の出来損ないじゃない」
「……今なんと?」
「だから、龍の出来損ないよ。」