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わたしの家族  作者: 明樂
わたしと男の子
14/15

兄弟の和解

お父さんの願望はすぐに叶った。

学校帰りに龍さんとおじさんに会った。

わたし達は龍さん達を連れて家に帰った。

「朝倉です。」


「どうも佐々木です。」


「あの、うちの息子は……」


「失礼ですが、朝倉家の事情をお話して頂けませんか?」


「……はい。」





────龍さんと愁里のお母さんとお父さんの出会いはキャバクラ嬢だったらしい。

仕事仲間に無理やり連れられて初めて行ったときに出会ってお互いに惹かれ交際からの結婚。



結婚して半年で龍さんが産まれた。

子供が出来たため一時期産休で休みをもらった。

久しぶりに仕事を再開しようと思い仕事場に行くと昔自分が居た時と明らかに状況が違った。



それは覚せい剤などを売っている危ない人達がそこへ来て、キャバ嬢で働いている人達に注射を打ち薬漬けにしてしまったらしい。

最初のうちはお金が欲しくて出ていたものの今となってはどこで何をしているのかすら分からないという。



そこで働いていた大半がそうなってしまったらしい。

そのせいでそこに来る人も少なくなった。

変わり果てた自分の仕事場に居ても立っても居られなくなったお母さんはお酒に身を任せた。

(ちゃんと家に帰ってから飲んだらしい)



その勢いでお父さんもお酒を飲んだらしい。

2人とも酔っていて何をしたかは覚えていないそう。

いつの間にかお腹には2人目が出来ていた。


どこでどうやって出来たのか分からず、知らない人との子供だったらどうしようと言う不安に襲われお母さんは外に出なくなった。

だけどお腹は大きくなるばかり。



そして決断。自宅で愁里を産んだ。

だけど、龍さんを産んだ時のようにはしなかった。

誰の子かも分からない子を育てたくない、と。


お父さんも育児に疲れ果て、適当に育てたらしい。

愁里を産んだ後からお母さんはお酒に身を任せるようになり、軽い暴力を受けたことがあるらしい。それに耐えられず、お父さんは自分の息子だと確実に言いきれる龍さんだけを連れて家を出た。





「というのが、事実です」


「……そうですか。」


「……」


「DNA鑑定の結果、彼は貴方の息子でしたよ。」


「……えっ。」


「弁護士とも話した結果、戸籍は朝倉さんで、養子としてうちに居ます。」


「戸籍……登録したんですか?」


「そうです。」


「……そうですか…」


「何か、困ることでも?」


「あ、いえ…」


ここから先は子供たちには聞かせられないと言われ別々にされた。



部屋にはわたしと愁里と龍さん。

誰も何も話さなかった。

「……愁里…くんだっけ。ごめん。、」


「……悪いのは、大人達だよ……」


「……ごめん。」


「……秋花には言ってなかったね。龍は、それなりに僕を気にはしてくれてたんだ。……でもやっぱり許せないところはあったけど」


「……」


「じゃあ、これから仲良くなればいいんじゃない?」


「……え?」


「愁里と龍さんで仲良くなるの!」

2人は顔を見合わした。


「じゃあ、改めて……愁里。よろしく」


「……こちらこそ、龍」

2人は、仲良くなった、のかな?

わたしはそう思った。

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