再会
その日の放課後いつも通り愁里と帰っていた。
「もうそろ5年生も終わりか〜」
「早いねぇ…」
「中学生に早くなりたいね!」
「そう?僕は今のままがいいな」
「えー?そんなのつまんないじゃん!! 」
「そんな事言わないの」
「はぁーい。」
しばらく歩くと中学生がいた。
「……」
愁里の顔が少し険しくなった。
「愁里……?」
その中学生を通りこそうとした時だった
「あの! 」
呼び止められた。
「はい?」
わたしが後ろを振り向いた。顔を見ても誰だか分からない。
愁里は下を向いた。
「俺、朝倉龍って言うんだけど…もしかしてって思って声掛けたんですけど…」
「え?? 」
"朝倉龍 "……聞き覚えのある名前だった。
でも誰なのか思い出すのに少し時間がかかった。
「……何しに来たの」
愁里はゆっくりと口を開いた。
「やっぱり、俺の弟……だよな?」
「僕を捨てたくせに弟なんて言わないで!!」
愁里は振り向いた。
「……悪かった。本当に、ごめん。 」
「謝って済むことじゃない…僕はお前の出来損ないって……そう言われてきたんだ」
「……」
わたしは黙ってることしか出来なかった。
「なぁ、亮……今からでもいいから一緒に暮らさないか?」
「……りょう、って?」
「あぁ、俺や父さんが密かに呼んでいたお前の名前だ 」
「……僕は、僕は佐々木愁里だから。貴方の弟じゃないです。秋花帰ろ。 」
愁里はわたしの手を引っ張り歩き出した。
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家に帰り両親にその事を話した。
「じゃあ龍くんに会ったんだね?」
「……そう。一緒に暮らそうって」
「それで?」
「もちろん断ったよ。嫌だったからね」
「あと、愁里のことを"りょう"って呼んでた」
「りょう?」
「あいつらが密かに僕のことをそうやって呼んでいたらしい 」
「なるほどね。今度龍くんに会ってお話してみたいな。」
「……そうだね。」