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World of color  作者: 青依 瑞雨
7/15

次の日です

 日付は変わって、次の日の翌朝……。

 二人は、小型のボートをレンタルして沖のほうに来ていた。

「ぷはぁ!ん~、なんにもないなぁ」

 ボートのすぐ近くの海面から顔を出したのは、ファントムだった。

 先ほどから、ずっと潜って海の中の捜索活動をしているようだ。

 短パン型の水着姿で、頭には水中ゴーグル、腰には小型のバッグを付けていた。

「うぇ~……。あたまいたいぃ~……」

 一方、こちらはチャネル。

 いつもの服装で、ボートの上に寝転がっていた。

 頭には、氷袋が乗せてあり、非常に気分悪そうにしていた。

「だから、無理について来なくていいって言ったのですよ……」

 ファントムは、呆れ顔でボートに戻り、置いてあった飲み物を手に取った。

「ん~、昨日の夜がまずかったのよねぇ~。酒場であんな余興があるなんて……」

「『全員酔いつぶしたら一週間宿泊費無料』でしたっけ?ただでさえ、朝に僕と飲んでいたのに……無謀すぎますよ」

「へへへ……でも、一週間ただになったでしょ……」

 そう。

 チャネルは昨晩、宿屋もかねる酒場のイベントに参加したため、二日酔いになってしまったのだ。

「そんなに状態が酷いのなら、なんで部屋でゆっくりしていないのですか……」

 ファントムは、はぁ~っとため息を吐くと、ボートに積んであった荷物の中から【酔い止めの薬】と【水】を取り出した。

「これを飲んで、ゆっくりしていれば気分が良くなると思います」

「ううっ、ごめんねぇ~……。なにか手伝えることがあるかなって思ってついて来たんだけど、足ひっぱちゃったね……」

「別に良いですよ。気持ちだけいただいておきます」

 ファントムは、にっこり笑うとゴーグルをしっかりと顔に装着した。

「それでは、また潜ってきますので、荷物の番お願いしますね」

 しゅたっと片手を挙げると、ファントムは元気よく海の中に飛び込んだ。

 ゆらゆら揺れるボートに横になったままチャネルは、一言「最っ低」と呟いた。

 

 ……それから、数十分後。

 捜索を終えたファントムがボートに戻ってきた。

 ざばぁっと海からあがると、そこにはチャネルがハープを持って座っていた。

「ん、薬が効いたようですね」

「あはは……。ごめんね、迷惑かけちゃって。だいぶ良くなったし、私も探すの手伝うわ」

「あ!それなら先に聞きたい事があったのですよ」

「えっ、何かしら?」

 ファントムは、水分を補給しながらチャネルに聞いた。

「この辺りに伝説や武勇伝みたいなものはないんですか?」

「伝説?」

「ええ、例のおとぎ話の中にも出てくるでしょう。『宝石の地の吟遊詩人に武勇伝を創らせました』って。【サンフレアレッド】を探した時にもその地に伝わる物語がありまして、それがヒントになったので……」

 チャネルは、とんとんと人差し指で頭をつつきながら片目をつぶった。

 何かを思い出すときのくせである……。

 やがて、頭をつつく手が止まると、チャネルはゆっくりとハープを奏でた。

「……あったわ。タイトルは【兵士長クリンパス】」

 ハープを弾きながらチャネルは、ちらりとファントムを見つめた。

 ファントムは、それに頷き返すと『お願いします』と呟いた。

 チャネルは、にっこり頷いてから物語を歌い始めた。

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