これが理由です
………一時間後――――――――――。
そこには、頭を抱えているファントムと、万歳をして大喜びをしているチャネルの姿があった。
チャネルは、こんな面白そうなこと絶対に手放すものかと少しも引かなかったのだ。
結局、ファントム側が折れることとなり、この町にいる間というのを条件に【オールカラーズ】を探すことの手伝いを許したのだった。
「で、一緒に探すことになったからには、ファントムの情報を教えてもらいたんだけど……」
「はぁ~、仕方ないですねぇ」
ファントムは、頭を切り替えて荷物の中から一冊のノートを取り出した。
「それは?」
「ああ、私の【オールカラーズ】調査用ノートです。この中に、【オールカラーズ】の行方の推理内容をまとめているのですよ」
ファントムは、そう言ってぱらぱらっとノートをめくり、あるページで手を止めた。
「この港町にあると思うのは、青の原石【スカイマリンブルー】です。先ほどの物語にも出てきたとおり、宝石の名前は『探し当てた場所にちなんだ素晴らしい名前』らしいです。ですから、おそらくここの海の中だと思うのですよ」
「……ふ~ん、なるほどねぇ。でも、なんで広い海の中からこの場所に狙いを絞ったの?」
「ああ、それですか。……えっと、現在の時刻は何時ですか?」
時刻を聞いてきたファントムに対してチャネルは、壁にかけてあった時計を見て答えた。
「ん~と、11時47分ね」
「ああ。では、ちょうどいいですね」
ファントムは、そう言うと椅子から立ち上がり、窓際に立った。
そして、手招きをしてチャネルを呼んだ。
「えっ、何よ?」
「いいですか、よ~く見ていてください」
ファントムが指をスッと差した先には、海と大空が広がっている。
この宿屋は高台にあるため、二階から海が見渡せるのだ。
静かに、二人で海を見ていると不思議な現象が起こった。
徐々に海と空の境界が消えていく。
時計の針が両方とも真上を差した時には、空と海の境界線である水平線が完全に消えていた。
「うわぁ……凄い」
上にも下にも空!
上にも下にも海!
まるで幻想のような素晴らしい景色が、二人の目の前に広がっていた。。
「この港町から見える海の色は、この季節、この時期の12時~13時の間だけ空の色と同じになるのですよ」
「へぇ~……。ん?あっ!それってつまり!」
チャネルが何かに気がつき、ファントムのほうを向いた。
ファントムは、それに笑顔で答えるとこう言った。
「そう、おそらくこれが【スカイマリンブルー】の名前の由来となった景色だと推理しました。だから、僕はここに青色があると思います」