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World of color  作者: 青依 瑞雨
10/15

潜水です

「あの~……チャネルさん?」

「何?ファントム?」

「え~っと、もしかしてついて来る気ですか?」

「はぁ?当然でしょう!最後まで、しっかり手伝うわよ」

 なに聞いてんの?みたいな感じで答えるチャネル。

 その姿を見て、ファントムはまた頭を抱えて悩み始めた。

「あの……一時間で戻れなかったら本当に死ぬのですよ?それでも行きますか?」

 ちょっとした脅しのようなもの……ではなかった。

 ここら一帯は、さきほども言ったとおり【特A級危険地帯】なのだ。

 ほんの一時間限りの絶景は、それを過ぎたら地獄へと変わる。

 ボートの上ならば、少しは安全だろうが海の中だったら……命の保証はないだろう。

 そんなファントムの言葉を真正面から受け止めて、チャネルは力強くで頷いた。

「 そ れ で も 、行くわ」

 ファントムは、はぁ~っとため息を吐き出すと『仕方ない』とチャネルの分の支度も始めた。

「え~っと……私は、チャネルが潜る準備をしますので、チャネルは自分で持っていくものを用意してください」

「う~んと……冒険って初めてなんだけど、どんなものを持っていけばいいの?」

「魔法具やその他はこちらで用意しますので、チャネルは自分愛用の武器を持ってください」

 テキパキと海に潜るための準備をするファントム。

 チャネルもそれにならい、自分の支度を始めた。

 ファントムは、先ほどの格好で口に魔法具(こちらの世界で言う『酸素ボンベ』みたいなもの)を装着していた。

 チャネルは、背中にポシェット、両太ももに黒い棒を付けていた。

「それでは、準備は良いですか?」

「うん、完璧よ!」

 ファントムの言葉に、気合十分で答えるチャネル。

 そんなチャネルに、ファントムは黒色の耳栓と腕時計を手渡した。

「これは?」

「耳栓は、口に咥えている魔法具とペアになっているものです。これを付けていれば、装着しているもの同士なら水中でも会話ができます」

 ファントムは、自分の持っている魔法具をチャネルに見せる。

 そこには、No.1と書かれていた。

 チャネルも、自分の魔法具を見るとNo.2と書かれていた。

「なるほど……。で、この時計は?」

 見たところ、変哲のないただの時計である。

「ああ、それは防水魔法を施してある時計です。ここがまた荒れる時間の十分前にアラームをセットしておきました」

「ふむり」

「いいですか、チャネル。その時計が鳴ったら何があっても、すぐにボートに戻ること!それだけは、約束してください」

チャネルにきっちりと注意をすると、ファントムは海に飛び込んだ。

「……分かったわ」

 続いて、チャネルも海に飛び込む。

 そして、水面から顔を出して、チャネルは最後の確認をした。

「ただし、戻るときは二人一緒よ」

「もちろんです」

 にこりと笑い、二人は【マリンビジョン】の空の中へ潜っていった。

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