表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
明月  作者: 山芋娘
6/6

許婚と死

0-6話目

ラストです。


ここから、「月明かりの下で」に繋がる予定です。

花梨の心はどこか変な感じになってる気がします。



今回の話は、流血、死の表現があります。

それとキスシーンもありますので、苦手な方はお気をつけください。

 

  彼女の瞳は真っ直ぐと朝霧を見ていた。冷たくなんの感情も持たない瞳。

  一歩が早かった。双子の間を縫うように朝霧に近づいてきた。双子は彼女と同じくらいの反応を見せる。

  彼女の刀が朝霧の顔の横を掠めた。けれど、陸哉が護身用のナイフを取り出し、女の刀に応戦する。

「何者だ……」

「答える義務はない」

「離れろ」

  陸哉と陸斗の間に挟まれるように立つ女。それでも、彼女は朝霧だけを見ていた。

  女の後ろにいる陸斗は、銃を取り出し頭に向けている。

「何が目的だ」

「……」

  女は何も言わずに、素早く陸哉に斬りかかると、ナイフを飛ばし陸哉の腕を斬る。しかし、陸哉の蹴りに反応し、足に力を入れると、思い切り後方へ飛んだ。

「陸哉!」

  朝霧の叫び声が響く中、陸斗が女に銃口を向け、そして引き金を引く。弾丸をも交わしさらに距離を取る。

  銃声の音を聞きつけたガードマン達が、こちらに走ってきた。

  女は、真っ直ぐに朝霧を見ている。そして、思い切り勢いを付けると、庭の周りに植えてある木々の方へと、飛んでいく。

「行った……」

「陸哉!!」

  陸斗の声に花梨も朝霧と共に陸哉の所へ。

  陸哉の右腕に傷から血が流れていた。しかしそれ以外の傷はない。

「陸哉、大丈夫?」

「はい、大したことありません」

「ありがとう」と、朝霧が陸哉の肩を叩く。

  会場からは花梨の父、朝霧の両親が走ってくるのが見えた。



  あれから、数日。花梨はなるべく外出は控えるように言われてから、学校に行くこと以外の時間は家に引きこもっていた。

  そしてあの黄色い瞳を思い出していた。陸哉と陸斗がいた施設で見かけた、あの黄色い瞳の少女にそっくりだったから。

「冷たい、目だった……」

  ベッドの上で、寝転がりながら両膝を抱え込む。

  殺されると思った。けれど、あの目は朝霧くんを狙ってた。ーーそうあの少女は、朝霧を狙っていたのだ。花梨にも双子にも一切興味を示さずに。

  部屋の扉がノックされた。「どうぞ」と声を掛けると、陸斗が顔を覗かせる。

「花梨様、朝霧様が来ましたよ」

「朝霧くん?!」

「今、玄関で待ってますよ。少し外を散歩しようと言ってます」

「分かった、すぐに行くね」

「はい」

  花梨は部屋着だったため、クローゼットから服を選び始め、着替えを済ませる。

  玄関へ向かうと、朝霧が陸哉と話しをしているのが見えた。

「朝霧くん」

「やぁ、花梨」

「どうしたの?」

「花梨の顔が見たくて。散歩でもしよう」

  陸哉はいつの間にか、二人から離れていた。しかし、二人を見守れるような距離で、陸斗と共に見ていた。

  花梨様朝霧は茎谷家の屋敷内の、庭を散歩し始めた。公園のようになっており、池などがあった。

「朝霧くん、家から出て平気?」

「ん? あぁ、まあ……。あれ以来、母さんがうるさいのは確かだな」

「ボディーガードさんとはいないの?」

「いるよ。今は車の中で待機してるけど。ここなら、平気だから」

「そうだね」

  二人はそれから他愛もない話しを続けた。けれど、陽が落ちてきたため、帰るようにとボディーガードに促されてしまったため、朝霧は帰ることに。

「朝霧くん……。気をつけてね」

「うん。花梨も」

  そう言うと、朝霧は花梨の唇に口づけをした。

「許婚だから、問題ないよな」

「……毎回言ってるよ、それ」

「そうか? 」

「うん」

「なら、俺は花梨が好きだよ」

「私も、朝霧くんのこと好き」

  二人は沈み始めた太陽を背に、もう一度口づけを交わした。

  顔を真っ赤にさせながら、朝霧を乗せた車を見送る。しかし、これでもう会えないとは思いもしなかった。




  家への帰り道。朝霧は指で唇をなぞるように、触れる。

  ガタッと車が大きく揺れた。屋根に何かが落ちてきたらしい。瞬間、屋根から刀身が突き刺さってきた。

「な、なんだ……」

「朝霧様、逃げてください!!」

  ボディーガードの声に我を取り戻し、車から出ていく。走り始めると後ろから足音が近づいてきた。振り返ると、パーティ会場に現れた女だった。

「あの時の……」

  一発、銃声の音が響き女の体が跳ねた。しかし速さを緩めることなく、朝霧に襲いかかった。

  長い刀身が朝霧の体を貫いた。すぐに刀身を抜くと、首から腹にかけ思い切り斬り捨てる。

「か、りん……」



  その後、すぐに花梨は朝霧の元に駆けつけたが、もう息は絶えていた。

「また、黄色い瞳の……」

「花梨様」

「二人とも」

「はい」

「……あの子を探して」

「……黄色い瞳、ですか?」

「うん、そう。あの子……。あの子が」

  花梨の目には、復讐心などはなかった。ただ会いたかっただけ。ただ話してみたかっただけ。その気持ちが、今目の前で死んでいる朝霧を見て、何故か溢れてきた。

「いつか、絶対に」

  この数年後。花梨は少女に出会う。



ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

何が言いたかったかというと、強化人間出てくるお話っていいよね。ってことです。

感情が無かったのに、主人に出会ってから徐々に感情取り戻したり、子どもの頃に仲良かった友達が突然いなくなったと思ったら、感情無くして強化人間になったとか。

最高な気がする。



それだけです笑

ありがとうございました!

これからもよろしくお願いします^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ