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明月  作者: 山芋娘
4/6

パーティ

0-3話目

0-2話目よりだいぶ時が流れてしまってます。

双子の容姿は、ご想像にお任せします。

 

  双子が茎谷家にやって来て、4年が経とうとしていた。来た当初は、毎日どんな時でも側にいた双子。だがそれが鬱陶しく思っていた花梨から「離れて」と言われてから、陰ながら見守ることが多くなった。

  声も足音も覚えた双子は、「離れて」という言葉で、離れても花梨の居場所がすぐに分かっていた。

「よし、抜け出しちゃお」と、たまに家から黙って居なくなることがあった。

  しかし、そんな時も双子は花梨の居場所を把握しながら、見守っていた。

 そして4年経った今。双子には名前が与えられていた。608は陸哉、610は陸斗。二人は最初こそ違和感があるように、名前を呼ばれても反応出来なかったが、今では気に入り608、610という番号は忘れたようだった。

「陸哉、陸斗、スーツに着替えて」

「はい」

  二人の部屋に顔を出す花梨。本を読んでいた二人は慌てて立ち上がる。

「今日は、なんのパーティなんですか?」

「知らない。お父様のお友達が誕生日とか迎えたんじゃないの?」

「僕たちは、会場の外にいるので、何かあったら言ってください」

「すぐに駆けつけます」

「パーティする所には、大勢のガードマンがいるから大丈夫だよ」

  初めは、表情がなく感情もないような二人だったが、今では花梨とよく話すくらい明るくなり、感情もたくさん覚えた。

「お父様は、お仕事が終わり次第向かうと言ってたから、私達は私達で行こう」

「はい」

「スーツは何色がいいですかね?」

  クローゼットには、二人のための服がたくさん用意されていた。様々なものが二セットずつ。これらは全て花梨、その父親、更にはメイド長などが二人に似合うものを、買ってきていた。

「紺でいいんじゃないのかな?」

「ネクタイ何にしましょう?」

「僕はこのストライプとか、いいと思います」

「僕はこっちの色かな?」

「ふふ、二人で決めな。時間になったら、呼びに来るから」

「分かりました」

  花梨と双子の距離は、いい感じに保たれていた。どこかへ出かける時は、共に家を出て常に近くにいる。けれど、家の中にいる時は、全く別々の行動を取っていた。双子でさえも、別の行動を取るようになってきていた。そして一人の人間として、成長を始めていた。



  時間になり、双子は同じスーツに身を包んでいた。花梨の方は、淡い黄色のドレスに身を包んでいた。

  会場に着くと、多くの人でパーティは賑わっていた。入り口で父親を見つける。

「待っていたよ、花梨。陸哉、陸斗」

「分かっています」

「僕達は外にいます」

「すまないね」

「いえ」

「それでは、何かあったらお呼びください」

「分かった」

「雨降ってきたら、中に入りなね」

「はい」

  そう言うと、双子は外で待機するために離れていった。

  花梨と父親は、会場に入り、飲み物を手にする。

「お父様、今日のパーティは誰かのお誕生会ですか?」

「あぁ、そうだよ。その人と挨拶をしなければいけない。花梨も来なさい」

「はい」

  会場内に入ると、多くのお偉方がいるのが一目瞭然だった。大人達は少しでも人脈を広げるために、話しをしているのが分かる。しかし、それに反して付き合わされている子供達はとてもつまらなそうにしたいるのも分かった。

  花梨は父親と、このパーティの主役、主催者、その他大勢と挨拶を交わしていく。しかし、周りにいる子供達と同様に退屈してきてしまった。

  そんな時、一人の男の子を見つけた。

「お父様、朝霧くんがいるので、挨拶してきますね」

「あぁ、分かった。行ってらっしゃい」

「はい」

  父親と話している相手に会釈をすると、少し駆け足で去っていく。

「朝霧くんとは?」

「根上家のご子息です」

「おお、根上家の方でしたか!」

  その後も父親は別の人と話しをしていく。




 

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