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最終章 戦う心9
「全く……呆れるよお兄さん。こんなに頑丈な人は初めてだよ」
龍拳が攻撃の手を止めた。表情こそ笑っているが肩で息をしていて疲労しているのが見て取れた。
「でも、守ってばかりじゃ勝てないよ? ずっとそうしているつもり?」
挑発する様な言葉。それに応じる様にゆっくりと雄一は口を開く。
「もう……気が済んだのか?」
「え?」
「もう良いのかって聞いてるんだよ。君が言う人を叩く楽しさは味わえたのか?」
「う……」
龍拳はそう尋ねて来る雄一に得体の知れない何とも言えない嫌な感覚を味わう。
「だったらもう終わらせる。一発だ。行くぞ佐伯。歯ぁ食いしばれよ」
雄一はグッと拳を握り締めそしてその身をキリキリと捻っていく。
「ふふ……ふふふふふ……あ~あ。何だか僕も分からなくなっちゃったよ。でもお兄さんなら僕の全部を受け止められるよね」
龍拳は両手を大きく広げた。そしてその指をギチギチと曲げる。その構えはまるで猛獣の顎の様だった。
「行くよ。お兄さん」
「ああ……来い」
そう言った瞬間二人は交差する。
『ガギィン!』
凄まじい音が体育館に響き渡った――。




