最終章 戦う心8
『わぁあああああああああああああああああああああ』
瑠衣達が到着すると試合場は既に熱気に包まれていた。歓声は地鳴りとなり会場を揺さぶる。
瑠衣の視線はそんな中、ある一点に吸い込まれるかの様に集中した。
「雄一さん」
そこに居たのは勿論雄一だった。そしてそれに相対するのは異常な殺気を放つ小鬼、龍拳。
『ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ』
人の肉を打つ音がドラムの様に木霊する。龍拳の動きは常人の目には捉えられない速度に達していた。
龍拳からの打撃を受ける度に雄一の体に深刻なダメージが積み重なっているのが瑠衣には分かった。だがしかし、そんな攻撃を受けながらも雄一が倒れるイメージが沸かない。
「あれは……鎧土」
松尾流の奥義。身体の防御力を限界まで高める技。しかし、瑠衣は雄一に奥義までは教えていない。
「ふぉっふぉ。ゆ、雄一君は真似たようじゃな。さっきのわしとお主の試合を見て」
「ま、真似た?」
(そんなわけが……)
仮にも松尾流の奥義と名が着く技だ。見ただけで真似る事なんて出来ないと瑠衣は断言出来る。
「ふぉっふぉ。む、昔の鉄心もそうじゃった。出来ると本気で思い込んだのならば、一度見た技は出来るのじゃ。人の限界を越えたフィードバック能力。それが鉄心の不敗神話の秘密よ」
瑠衣は改めて雄一を見た。するとそこに瑠衣は自分の影が重なっていくのを感じる。
「本当に……私と全く同じです」
「ふぉっふぉ。ほれ見てみい。佐伯君も様子が可笑しい事に気付いたようじゃ」
亀田が言う通り、龍拳の動きが止まった――。




