最終章 戦う心 7
「ん……んんぅ……」
瑠衣はゆっくりと目を開く。すると目の前には白い見慣れぬ天井が有った。
「はっ! 雄一さん!」
瑠衣は跳ね起きる。しかし、それと同時に響いた体の痛みに顔を顰める。
「ふぉっふぉっふぉ。これこれ、む、無理はい、いかんよ~わしの一撃を喰らったわけじゃから」
「うわぁ!」
唐突に隣から聞こえた声に瑠衣はシーツを抱きしめて飛び跳ねる。
「か、亀田殿……どうしてここに?」
「ふぉっふぉ、ほ、ほら。見舞いじゃよ~見舞い。別にパンツを覗いてたとかじゃないから」
亀田のいやらしい目付きを見て瑠衣はさっと自分のスカートを抑える。
「ふぉっふぉ。ま、まあそんな事はどうでもいいんじゃあ~ほれ、わしお主を起こしに来たんじゃよ。戦いもクライマックスじゃからのぉ」
「クライマックス……それはもしや雄一さんが戦っているのですか!」
「ふぉっふぉ、そうじゃよ。佐伯龍拳君と戦っておる」
亀田はぷるぷると震えながら頷いた。そしてニコッと笑う。
「ふぉっふぉ、ま、まあ……もしかしたらこの戦いで早坂雄一君は命を落とすかもしれんのぉ~」
「っ! そんな事はありえません!」
「ふぉっふぉ。そ、そうじゃろうか? わ、わしは龍拳君からわしと同じ匂いを感じたよ。他人の命を奪う事を躊躇しない。一線を越える気質の様な物を感じたよ」
瑠衣は何かを思い出すかの様に目を閉じた。そして次に開いたその目は驚くほど穏やかな物だった。
「それでも……雄一さんは絶対に勝ちます」
「ふぉっふぉ。それは何故じゃ?」
「…………私の事を守ってくれると言ってくれました。だから雄一さんは絶対に死にません」
「ふぉっふぉ。守るはずの主君に守って貰うとは……しかもそれをそんな真っ直ぐな目で言われてはな。ふぉっふぉ……わしが勝てぬわけじゃ。ふぉっふぉ、面白い。ではその愛すべく主君の活躍を見に行こうではないか。ふぉっふぉ、そうしなければ後悔すると思ってお主を起こしたんじゃよ」
「はい……ありがとうございます。一生後悔する所でした」
「ふぉっふぉ。しかし、ま、まあ、瑠衣ちゃんも今のままじゃしんどいじゃろうからのプレゼントじゃ」
亀田はそう言うと瑠衣の鳩尾辺りに中指を突き刺した。
「ガハァ……」
瑠衣が目を見開いて苦しそうに息を吐きだした。亀田はゆっくりとその指を外す。
「ふぉっふぉ。気分はど、どう?」
「………これは」
亀田に言われ瑠衣は自分の体に意識を集中する。すると何故か分からないが体から痛みが引いていた。
「ふぉっふぉ。月隠流唯一の活人拳じゃよ。主に相手を拷問する為の気付けに使う」
亀田の言葉にぞっと瑠衣は顔を青くした――。




