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常在戦場! 武林高校  作者: 徳田武威
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第六章 全校武術トーナメント開始。4

「ほ、ほ、さすが亀田ちゃん。流派の未来を決める戦いを放棄して自分が楽しむたけだけの為に自ら入学してしまうとは。最高に面白いわい」

 講堂の二階に特別に用意された座席で久我は膝を叩いて喜んだ。

「しかし、良いのですか? 亀田殿が出られては間違い無く優勝は亀田殿になると思いますが」

「ほ、ほ、確かにオッズは亀田ちゃんに偏っておるようじゃがのう。強者が必ずしも勝者であるとは限らないっていうのは格闘技界じゃ常識じゃろ?」

「それでは久我先生は松尾瑠衣が勝つと?」

「ふ~む。さて、それはどうかのぉ~その可能性は蟻が象に勝つくらい低いと思うがの。まあ結果は見てのお楽しみじゃな」

 久我はそういってワクワクした様子で試合場を見下ろす。それとは対照的に太平は静かな目でそれに続いた――。




「な、何故亀田殿がここに……」

 瑠衣は声を震わせながら目の前の老人に話し掛ける。

「な、何故って、そ、そりゃぁ。わ、わしも参加してみたかったわけ。若者だけで楽しい事をするのにわし反対」

 プルプルと震えながら亀田が手を挙げた。

「弱そう!」

 それを見て雄一が叫ぶ。

(何だよ松尾さんがあれだけ言うから結構ヤバイ相手かと思ったけど楽勝じゃん。ていうかあんな爺さんが相手じゃ、松尾さんが本気だしたら死んじまうぞ)

 雄一は別の意味でドキドキした気分になった。だがそんな雄一と正反対に瑠衣の表情は強張っている。

「ふぉ、ふぉ……まあ取りあえず、始めようかの」

 ヨボヨボとゆっくりと亀田は瑠衣に近づくと、まるで握手するかの様にその腕を掴んだ。

『ブゥオン!』

「なぁ……」

 正真正銘、雄一は絶句する。目の前で起こった事が信じられなかったからだ。

(松尾さんが……飛んだ)

 そうそれはまさに飛んだという表現がしっくり来た。亀田が掴んでちょっと手を振るっただけっでまるで巨人に投げられたかの様に瑠衣が吹き飛んだからだ。

「くぅう!」

 空中で何とか態勢を立て直して瑠衣が着地する。その飛距離は約二十メートル。およそ現実の物とは思えない物だった。

「ふぉ、ふぉ、は、反射能力は中々じゃな。跋彩の娘だけあるの~」

 一瞬の攻防、しかし会場は静まり返った。

「ば、化物かあのジジイ……」

 雄一にも分かってしまった。一見ただの変哲も無い老人だが、今まで見た事も無いほどの圧倒的な実力を持っているという事を。

「しかし、ま、まあ、正直がっかりじゃの~。こ、こんな老人に先手を取られて、若いんじゃからガンガン行かなきゃの~」

「っ! 行きます!」

 瑠衣が傷付けられた誇りを取り戻すかのように走る。そしてその勢いのまま亀田に迫った。

「松尾流忍術、幻炎げんえん!」

 瑠衣の体が一瞬でフッとその場から消えた。それはまるで蜃気楼の様だった。離れて見ていた雄一の目からも確かに消えた。

「は!」

 そして次の瞬間瑠衣は松尾の背後から現れ、躊躇無く後頭部へ肘を当てに行く。直線の動きから地面を這うように背後に移動する。松尾流火の型奥義、幻炎。初見で見切れる者は瑠衣の経験上居なかった。

「ふぉ、ふぉ。は、背後に隙がある者は忍びとは呼べぬ」

 しかしそれを亀田は避ける事無く。寧ろ瑠衣に近づく事によってかわかした。それも背後の姿勢のままでだった。

「ふぉふぉ、ほ、ほれ。発剄」

 亀田はそのまま瑠衣の体に背中でくっついた。すると同時に瑠衣の体が吹き飛ぶ。

(つ、強すぎる……)

 瑠衣は白目を剥いたまま意識を失った……。



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