第四章 二人の同棲生活 6
『シャ……』
カーテンが開く音と共に窓から光が注ぎ込まれる。その光が雄一の顔を照らした。
「ん……んん……」
しかし、生来寝起きの悪い雄一は顔を背けて布団を被った。そして再び寝息を立てる。
『ゆさ……ゆさ……』
だがそんな雄一の体が優しく揺さぶられた。
「もう……起きて下さい」
そして耳元でそっとそう囁かれる。その声は呆れていたが僅かに雄一への優しさが有った。
「ん……後……五分」
「もう……駄目ですよ」
布団がそっと剥がされる。雄一はうっすらと目を開いた。
「え……あれ? 松尾さん?」
「おはようございます。早坂君」
雄一の目の前に居るのは心持ち穏やかな表情を浮かべた瑠衣だった。雄一は驚きながら体を起す。
「起しに来てくれたの?」
「ええ。今回は裸では無いですよ? 残念ですか?」
瑠衣が冗談を言った事に雄一は目を開いて驚く。しかし、ふっと小さく笑った。
「松尾さんも冗談を言うんだね。ちょっと意外だった」
「…………確かにそうですね」
するとあまり自覚が無かったのか瑠衣も少し驚いた様な表情を浮かべる。
「もう学校か……あんまり寝た気がしないな」
雄一が体を伸ばしながらそう言うと瑠衣は首を振った。
「いいえ、まだ学校には時間が有ります」
「え? 今何時?」
「五時ですね」
淡々とそう言った瑠衣に雄一は腕を振って抗議する。
「早い! まだ五時じゃん! 眠いよ!」
「もう五時です。これから朝の修練をするんですから」
「え、ええ~」
雄一の顔が悲しそうに歪む。それに瑠衣は堪えきれない様に笑う。
「ふふ。早く準備して道場に来てくださいよ?」
そう言って瑠衣はピンと雄一のおでこを弾いた。そして部屋から出て行く。
(修行さえなければ最高のシュチュエーションなんだけどな……)
雄一は瑠衣の綺麗な後姿を見ながら溜息を吐いた――。




