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第一章 巻き込まれた男。
(はぁ~参ったな~)
ソファーに一人座っていた男が頭を抱えて正面にある机に両肘をつく。
男は中年の男性で頭頂部がハゲている。外見は気苦労が多い普通のサラリーマンと言った所だ。
「はぁ~参ったな……」
男は心で思っていた事を確認する様に口に出してそう言った。
「絶対怒られるよ~鏡子さんそういうの大嫌いなんだから……はぁ~でも言わないと長老があの事をばらすって言うし……はぁ……あれを言われたら下手したら離婚だよな~」
頭を両手で抱えながら男は頭をブンブン振った。夢なら覚めてくれといった感じだった。
そんなこの世の終わりの様な顔をしている男が悩んでいる内容はこうである――。