第二章 サバイバル 4
「ほ。ほ」
馬鹿でかい高級な椅子に腰掛け、これまた馬鹿でかいテーブルに置いたお茶を啜りながら久我が笑う。
「では太平ちゃん。結果を教えて貰おうかの」
久我に問いかけられた太平が自分の七三を櫛でスっと直す。
「はい。こちらが通過者になります」
そう言って太平は久我に資料を渡した。そこには合格者の顔写真とプロフィールが書かれている。
「あ~太平ちゃん。これはちょっと多すぎじゃよ。面白いのだけ報告して」
「はい。ではこちらはどうでしょうか?」
そう言って太平は一枚だけ分けて置いた資料を久我のテーブルに置いた。まるで久我がそう言ってくるのを予想していたかの様な手際の良さだった。
「ほ。ほ。そうそう、そうこなくっちゃ。さすが太平ちゃんは分かっておるの~」
久我は上機嫌に資料を受け取ると資料の人物に目を通す。
「ほ。ほ。これは結構派手な子が入ったの~」
ヒゲを撫でながら久我は笑う。
「わしの若い頃にそっくりじゃな。そう思わん?」
「はい。そうですね。確かに、バッチを一つ手に入れろと言ったのに三十個も獲ってしまう辺り、久我先生にそっくりです」
「ほ。ほ。それくらい元気が無いとの~まあ大本命じゃからな。それくらいはデフォじゃろ」
久我はそう言ってパソコンのマウスをクリックする。
「ほ。ほ。佐伯龍拳。十三歳。飛び級で入学と……ほ。ほ。佐伯流の悪鬼。この子を投入してくるとは軍治君も本気じゃという事じゃな。ほれ、太平ちゃん。この子に今、いくら乗っ取るか知っとる?」
「いえ。いくらですか?」
「ほ。ほ。百億じゃよ。いや~今の所トップじゃよ」
久我はパソコンを太平に見せる。するとそこには生徒達の名前とその横に金額が書かれていた。
「さすが久我先生。お金儲けがお上手だ。これで学校を作った分は返って来ますね」
「ほ。ほ。そうじゃな。それじゃあ早速ビデオでも見るかの~その為に全施設にカメラを付けまくったからの~幾ら掛かったけ? 一億ぐらい?」
「いえ、十億です。まあリアルタイムで激しい動きを追うためには仕方がないでしょう」
「ほ。ほ。まあ視聴料を取ってるからすぐに元は取れるて。じゃあ早速」
久我はそう言って校長室にあるモニターに電源を入れた。
「その試合でも見ようかの」