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チート勇者が人外ハーレムを築くまで~Judge not a book by its cover~

作者: RULIA

さて、早速だが彼の話をしよう。


彼とは誰か? 私とは何者か?

フフ、慌てずとも教えてあげるとも。

だが、まずは私の自己紹介をしておこう。


私は神。 神の視点で物語を紡ぐもの。



----------------------------------------



彼はその閉じられた世界で生を受けた。

いわゆるチートと呼ばれて差し支えない程の並外れた筋肉と知力、そして美貌を与えられて産まれてきたのだ。

特殊なスキルや魔法などは手にしていないが、そのようなものがなくとも彼は勇者と呼んで過言ない恐るべき力を有していた。


授かった能力に対し、彼を取り巻く環境は不遇といっても良いだろう。

母は父の数多くいる女のうちの一つでしかなく、そして腹違いの兄弟が数多く存在していた。

食べる事には苦労などしなかったものの、決してまるで檻の中のようなその世界から外に出ることは敵わず、飼い殺しとも言える生活を送る事となった。

なにより、兄弟たちからのいじめ。

死ぬまでにはいたらないそれは、彼がチート能力に気づくまで延々と続けられたのだ。



よくある話ならば、チート能力を得た彼はそれまでの鬱憤を晴らすがごとくその能力を十全に用いて復讐の炎に身を焦がしただろう。


だが、勇者と呼ぶべき彼はそうしなかった。

彼は兄弟たちからの暴力には敢然と立ち向かったのだ。


例えば、彼の一つ上の兄との戦いの話をしようか。


きっかけは他愛のないことだったと思われる。

抑圧されたストレスが何かの拍子に吹き出したのかもしれない。

突如として兄が彼に襲い掛かってきたのだ。


憤怒の表情をして襲い掛かる兄。

先ほどまで食料を得るために用いていた凶器を兄は彼にむかって振り下ろした。

その一撃を払いのけた彼は、取り落とした凶器を蹴り飛ばして兄と相対する。


威嚇の声を上げながら、彼と兄は再び激突した。


だが、チートと呼ぶべき力を持つ彼の敵ではない。

彼には兄が、どこをどのように攻撃するのかわかっていたのだ。


兄の攻撃を素早くかわした彼は、その勢いすら利用して隙を見せたその横腹に一撃を食らわせる。

振るわれた拳は、突き刺さるかのように脇腹に吸い込まれ、そして……

並外れた力は兄を宙に浮かせ、吹き飛ばす。

素手の彼に対し凶器すら手にして襲い掛かった兄は、みっともなく地面に這いつくばる。


彼はついに兄に勝利したのだ!

かちどきの声を上げたこの時が、全ての始まりだったと言っても過言ではない。


かくして彼は勝利し、だが決して兄の命を奪うことはしなかった。

戦いが終わった後、彼は兄を許し再び兄弟としての道を歩み始めたのだ。


そうするうちに、成長した彼は兄弟たちの尊敬を集めるようになる。

それは、自然の成り行きそのものであっただろう。


彼には、幼い時から一緒に過ごしてきた少女がいた。

少女は人ではなく、いわゆる人外であったが、それは彼らにとって何の障害足り得なかった。

時にケンカをし、時に身を寄せ合いながら暮らしてきた彼と少女。

それは仲睦まじく、いつまでもその平穏が続くように思えるものだった。


だが、その平和は突如として破られる。

数多くの女を侍らせ、ハーレムを率いる支配者……いわば王。

その王の魔手が伸び、彼女はハーレムに囚われたのだ。


いつか、彼女を取り戻す。

それだけを目標にその力を蓄えた彼は、ついにその時を迎える。


彼は決して政治的背景を持たず、金銭的な有利もない。

あるのは兄弟たちと、その並外れた力。

そして……ハーレムにとらわれた、愛する女を救いたいという思いのみ。


しかし、彼は決して兄弟たちを戦いに巻き込まなかった。

彼だけが。 彼自身の目的のため、彼だけが王への戦いを挑んだ。


その戦いは熾烈を極めた。

チートたる彼の力をもってしても王の力はあなどれないものであった。

王とてなんの力もなく君臨しているわけではないのだ。


短いようで長い時間が過ぎる。


最後の一撃は、最後に頼るべきはやはり己の拳。


残された余力の全てを込めて放たれた一撃は、かの王の胸を穿ち、山頂より王を叩き落す。

王が斜面を転がり、そして身動きをしなくなった時。


それが、彼がついに王となった瞬間であった。


それからの事は語るまでもないだろう。

彼は王に支配されていたハーレムを開放し、愛する女をその手に取り戻した。

女は、すでに王に犯され子を成していたが、彼はその様な事を一切気にすることなく、女を愛した。

そして、同じくハーレムに囚われていた女たちも同様に愛したのだ。


----------------------------------------


む? 物足りなかったかね?

すまないね、私が彼を観察したのはここまでなのだ。


それでは、これで私の紡ぐ物語も終わりとしよう。

長きに渡り観察を続けてきた勇者の物語もこの場を持って完結としよう。


ここまで私の話を聞いてくれたキミに、もう一度名乗ろう。







私は神。 神の視点で物語を紡ぐもの。




















愛沢小学校6年の神 太郎だ。

これで、私の夏休みの自由研究「動物園の猿の観察」の発表を終わりたいと思う。

私の入学してからの6年間の研究の成果、とくと吟味し、評価してくれたまえ。



【先生より】

6年間続けての研究、がんばりましたね。

物語仕立ての発表も大変面白いものでした。

一風変わったその喋り方は、とても神くんらしくて良かったと思います。


ですが、小学生らしい言葉づかいに気をつけましょう。

ところで、チートってどういう意味ですか?

後で先生に教えてください。


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Judge not a book by its cover.

(本は表紙で判断するな)

「人は見かけによらぬもの」


日本語では……


猿に烏帽子


【読み】さるにえぼし

【意味】猿に烏帽子とは、似つかわしくないことをするたとえ。

        また、外見だけを取り繕って、中身が伴わないことのたとえ。

思いついたのでやった、反省はしていない。


タイトルやあらすじを見てなんかよさげーと思って読んで見た方、すみません><

タイトルやあらすじを見て英語を訳した方、中身がともなってないのわかってるのになんで読んじゃったの……


と、タイトルとあらすじが大きく評価に影響するこんなの世の中に一石を投じてみたりしてみた。

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