鈴木君達は王様に会いました。
少し遅れてしまいましたが、無事ゴタゴタが片付きました。これからもじゃんじゃん投稿していきます。見てください
(酒をたらふく飲んで気づいたら草原の真っ只中、昔の自分に聞かせたら鼻で笑われるだろうな)
そんな事を鈴木は思いつつ、着替え終わるとする事も無く他の三人が着替え終わるのを待っていた。
「なぁ、虎鉄………お前さっきっからシャツを脱ぐ時に、下が見えなくて足元がおぼつかない事をよそおって、俺の足を踏むのやめてくんない?」
虎鉄は先程からシャツを脱ぐ時に、視界がシャツで遮られているのをよそおって朱羽の足を確実に着実に踏みまくっていた。
「何言ってんの? そもそも朱羽が僕の近くで着替えているから視界が遮られている、僕は申し訳なく足を踏んでいるんだよ」
「や、申し訳なく踏むなよ、というかお前さっき玄の側で着替えてたよな! 玄と俺の距離少なくとも2mは離れてるぞ! お前絶対ワザとだよな!」
朱羽と鈴木の間は2m以上あり、虎鉄は鈴木の横から靴を脱ぐ時に10cmズボンを上手く履けなくて片足でけんけんをしながら履くふりをして残った190cmを一気に近付いて来たのである。
「も〜、煩いなぁ〜、朱羽はそんな小さな事をネチネチと根に持つから彼女が出来ないんだよ〜」
「お前が俺の小指を定期的に踏む事は小さくねぇよ! てか彼女が出来ないのもお前の所為だろうが! ぶっ飛ばすぞ!」
朱羽は、今まで虎鉄にされてきた数々の倫理観も道徳心も感じられない非道な事を思い返しその怒りをふつふつと湧き上がらせていた。
「朱羽、そいつに何を言っても無駄だ! そいつは頭を下げる行為を状況で使い分け相手を煽る行為だとしか認識していない!」
同じく虎鉄に、高校で出会ったその日に目を付けられ人生を破滅させられた哀れな男は朱羽を必死で止める。
「そんな事より、そろそろ着替え終わってもおかしくない時間が経った気がするのだが………」
龍平が一向に着替えを再開しないのを見兼ねて、朱羽と虎鉄に声をかける。
「龍平テメェ! 俺が今まで虎鉄にされてきた数多の残虐行為をそんな事だと!」
「も〜、朱羽は分かってないなぁ〜、さっきっから小さい事だって言ってるだろ〜、朱羽の気にしている事は世間の人様にしたらそんな事何だよ」
「テメェー! 殺ってやるよ、かかって来い!」
そう言って朱羽は虎鉄に、殴りかかると虎鉄と朱羽の腐りきったプライドの賭かった闘いは始まった。
「わたしがトイレに行っている間にお怪我をしてらっしゃるようですに一体何を?」
そうハルダードが不思議そうに聞くと朱羽と虎鉄は、互いを殺意の篭った眼差しで睨み合った。
「何も無かったですよ、ただ少し小さな溝鼠が俺の小指に噛み付いて来たので少々」
「えぇ、少し大きめな木偶の様な溝鼠も歯向かって来たので少々」
「ね、鼠ですか⁉︎ 大変です、直ぐに退治をしないと!」
朱羽と虎鉄の衝撃発言により、狼狽えるハルダードを見て鈴木が言った。
「いえ大丈夫です、鼠何てそもそも存在しませんから、それに襲って来たというか木偶と猿が勝手に小競り合いを始めたというか、まぁそんな感じなので心配しないでください」
「? 分かりました、それでは王室へ」
鈴木がそう、ハルダードに告げるとハルダードはいまいちしっくり来ないような顔をして鈴木達を王室へ連れて行った。
王室へ行く途中も虎鉄と朱羽の小競り合いは終わりを迎えず結局、王室の真ん前でもまだ争っていた。
「今まであった不幸は、全てお前が元凶じゃないか!」
「全く、自分の不運不始末をちょこっと辛かっただけの子に全てぶつけるなんて可笑しいとは思わないの?」
「普通の人は、人の交際相手をことごとくやりたい放題揶揄ってして別れさせるのをちょこっと揶揄ったとは言わないんだよ」
「もぉ〜、さっきっから僕が色々としてるみたいに言うけど結局彼女がどうこうしか僕してないじゃないか他に何かした? 言ってみてよ」
「お前、俺が遊ぶの嫌だって言って断ったら窓に石投げて俺が窓開けた瞬間、煙玉部屋に投げ入れて来ただろ! スプリンクラーが作動して家が水浸しになったんだぞ!」
「アレは、僕が彼女と別れたばかりの君を思って誘ってあげたのに君がやだの一言で電話を切るから制裁を加えただけだよ」
「そもそもの原因も結局おま「いい加減にしないと日が暮れるぞ」」
二人の会話が終わるのを待っていた三人だがこのまま待っていたら白骨化してしまいそうだった為、龍平が一言言った。
そうすると二人して「邪魔をするな」と龍平を睨むも「これ以上喋ったら気道を潰すぞ」と言わんばかりの無言の圧力を加えられ、二人は無様に崩れた。
「では、そろそろ良いですね、王へのご対面です」
そうしてハルダードが金の装飾のされている扉を開くて、玉座に偉そうに踏ん反りかえる青年とその横にいる美人で優しそうな淑女が、ゴミを見るような目と歓迎の眼差しで出迎えてくれた。
「遅い! 遅過ぎる、王を待たすとは一体どういう了見だ、述べてみよ」
「すみません王様、部屋の前で少々いざこざがありまして」
「そんなのは扉越しから聞こえていた! そうではなく何故止め無かった」
「いえ、この方々たちは国の重要人どの様な状況でも粗暴な扱いは目に余るかと」
「まぁ良い、自己紹介だ、我はアルス・サイラス、この国クラムの王だ、そして隣に入るのは我が妻、イスエリムだ、貴様らも名乗れ」
王様が放つ、逆らったら容赦しないぞというオーラに四人は成すすべなく名乗り始めた。
「えーと、斎藤 朱羽です」
「鈴木 玄武です」
「東ヶ崎 龍平と申します」
「天界の破壊者にして人間界の救世主! その名は〜〜〜〜〜孤杉 虎鉄でぇす!」
王女は少しだけ笑っており、そしてこの場にいる虎鉄と王女以外の全員が(虎鉄ウザい)という単語で頭が埋め尽くされていた。
いやー、鈴木君主人公感が日に日に薄くなっていきますねぇ