鈴木くん達は覚悟を決めました。
すいません、何日に一回ということ自体をやめました。
無理に書くと話がつまらなくなるので
お願いします。皆んな見放さないでください!
鈴木達は、鈴木は今視線の渦の中にいる。
その原因は今の鈴木の状態にあった。
そう、鈴木の衣服には乾いたにしても未だ鮮血の跡が残っている。
その惨劇の後は、嫌でも人目を惹いた。
そして人の目は鈴木に己が殺人者であるという実感を与え続けた。
「………っ」
鈴木は頭の中で賊の殺害した時の光景がフラッシュバックした。
「うっ………ぐぅ」
鈴木は吐きそうになるもギリギリ胃の中の物を押し留めた。
鈴木の口の中に胃酸の酸っぱ苦い味と喉の痛みが広がる。
「お、おい! 大丈夫かってんなわけないか」
朱羽は声を上げるも謎の一人漫才をしたと思ったら鈴木の袖を引っ張り裏路地に座らせた。
「おい、何かいい方法ないか龍平?」
朱羽は龍平にそう尋ねると龍平は「先程から言っているがお前は俺に頼り過ぎだと」と言いながら現状況の打開策を考えていると虎鉄がピンッと来たような顔をして上を向いた。
「いい考えが「先に言っておくが人を襲ったりなどの人に迷惑をかけること以外だろうな?」………………」
虎鉄が何かを言う前に龍平が釘を指すと案の定だった。
そう、虎鉄が何かを打開する時の閃きは大方、いやその全部が必ず人に迷惑をかけるのである。
「お前は他人に迷惑をかけない生き方は出来ないのか!」
朱羽がそう言って虎鉄にチョップを叩き込もうとするがそれを虎鉄は真剣白刃取りで受け止める。
「ふっ甘いよ、朱羽………この僕に掛かれヴァァ!」
虎鉄が真剣白刃取りを決め、調子に乗り朱羽を挑発しようとした刹那朱羽の爪先は一切の迷いもなく虎鉄の脛へ食い込んだ。
その瞬間虎鉄は飛び上がり自分の脛を抱え、奇妙なダンスを始めた。
「おい、二人とも主旨が逸れているぞ」
「「あっ」」
そう言われ振り向くと鈴木は地面へ腰をつき頭を抱え、縮こまるようにしていた。
朱羽と虎鉄がよく観察するとその体はプルプルと震えていた。
「おい…お前等………」
「「は、はい」」
「お前等は、お前等って奴はぁ………」
鈴木と朱羽、虎鉄の三人の間に暫しの最弱が走る、龍平はその頃辺りを見回しこれからの事について思考を巡らせていた。
「プッ、ハッハッハッハッ」
「「え、」」
「お前等は、本当にブレないなぁ」
怒られたりするのだと思っていた朱羽達の期待を裏切り、鈴木は目元の涙を拭い高らかに笑い出した。
「ごめん………俺、お前等に心配ばっか掛けてたな………ごめん」
そう言って鈴木はにっこりと笑う、その笑みは哀しくも何かを覚悟した事が自然と伝わってくる様な不思議な笑みだった。
「おい玄! あんな状況じゃぁ仕方なかった! お前が気に病む必要なんてないだろ!」
朱羽が鈴木に、少しでも気が軽くなる様に声をかける。
「それでも………俺が人を殺した事には変わりないんだ、例えそれがどんな状況だったとしても、俺があの時あの人を殺した事には変わりがないんだ。 人の死を理由を付けて目を背ける何て俺には出来ない! したくない! 確かにまだここが何処なのかとか何でこんな何処に来たのかとか全然分かってないけど………俺、自首してくる」
三人はその時、鈴木が色々な意味で強いのだと感じた。
鈴木は人を殺した事を悩み過ぎだとか、アレは正当防衛だったとかそんな理由を付けて三人は自分達がそれに加担したという事実を鈴木に押し付けて諦観していた。
だが三人と鈴木は根本的に考え方が違っていた。
鈴木は例えそれがどんな理由だったとしても、それを一旦置いておいて殺したという事実だけを受け止め様としていた。
それは21年間争いのない世界で育った鈴木には大き過ぎる事かも知れないが鈴木はそれでも受け止めようとした。
「………一緒に着いて行くか………俺等も」
朱羽がポツリと呟く。
「そうだね、玄1人が言っても『からかうんじゃない』とか言って追い出されそうだしね」
虎鉄がそれに便乗する。
「ああ、何より虎鉄がいれば物的証拠よりも確実に逮捕されるだろうしな」
最後の龍平の言葉を境に四人は歩き出した。
鈴木達は今、バーの様な作りのパイルドライバーという名の店に居た。
入った当初は鈴木の血塗れの可笑しな服に反応して、多少周りもざわついたが少しでもの間鈴木達を見ると自分達の話題に戻っていった。
鈴木達はこの世界の治安の悪さに改めて恐れ入った。
衛兵達も少し見てくるだけで特別、つけてくる訳でもなく話しかけても来ない。
血塗れの服の男などこの世界では一般常識の範疇だった。
「おーい、ジョッキ3つと酒を一つとメニューちょうだい」
朱羽が店の中に響く「酒ー」や「ジョッキくれぇ」という声を聞きこの世界にもビールと酒があるんだなと思いつつ声を上げると金髪のポニーテールの娘が「はーい」と声を上げやってくる。
鈴木達の席は丁度空いていたドラマなどでメインキャラが座るバーテンダーの前の席だ。
だが、そのとうのバーテンダー役の人は短髪の紫色の髪の毛をして頭にタオルを巻いたゴツいおっさんであった。
そんなにバーテンダー?が目の前に居ながらも鈴木達は勇気を振り絞りウェイトレスに頼んだ。
鈴木達は最初は気づかなかったがその娘が近づいてくると瞳は赤く、瞳孔が開いているんじゃないかというような目をしている事に気が付いた。
その娘がテーブルにビールと酒を置き、メニューを差し出すも鈴木達は改めて自分達のいた世界じゃない事を痛感し、一瞬四人の間の時間は止まる。
「? あ、あのーメニューを」
「! あ、ああ、いやすいません。貴女の瞳が余りにも綺麗だったもので」
「!? え! あ、いや、その………」
これから自首をしに行こうとした鈴木達はお腹が空いたので取り敢えずご飯を食べて、心の準備をしてからにしようと考え、近くの酒場らしきお店を探していたらこの異様な名前の店と出会った。
その名はパイルドライバー。
その名前は何時ぞやのプロレスアニメで見た様な名前をしており、四人はこの店には入らないといけないという謎の強制力に導かれ店へと入った。
そうして、四人全員に初めて牢獄へ行った経験が後、一時間足らずで出来るかもしれないというのに朱羽は、何故はウェイトレスを口説きだした。
その瞬間、三人の朱羽に当てていた視線の質が変わった。
その視線に込められた感情には蔑み、殺意、憐れみなど様々なものが入り混じった、まるで罰ゲームで飲む臭いものをごちゃまぜにした飲み物の様な視線だった。
「あのー、呼ばれてますよ?」
朱羽の目の前でしどろもどろしているウェイトレスを見つめ、早く注文を聞いて欲しいと悲願の視線をおじさんを指差し鈴木は言った。
「え! あ、いや、失礼しました!」
鈴木に指摘され我に返ったようにピシッとし、おじさんの方へと小走りで向かっていった。
「おい、俺が折角可愛い女の子とお喋りしてたのに邪魔すん!」
「うっさい、死ね」
朱羽が鈴木に対しての文句を言い終わる前に鈴木は朱羽に向かいアッパーをし手元のビールを勢いよく飲み込む。
それを横に虎鉄と龍平は何とも気難しい顔をして、メニュー表を睨んでいた。
「どうしたんだ? そんな睨み方じゃヒート○イは出ないぞ?」
「いや、どんなに睨んでも出ないよ…ていうかネタ古いよ、それより玄、この文字どう思う?」
虎鉄はそう言うと鈴木に向かいメニュー表を開いた。
そのメニュー表には、まるで失敗した消しゴムハンコの様な文字が描かれており、その文字を睨むと不思議と何を書いているのか分かるような気がした。
「虎鉄………俺、弁償しねぇからな」
「違うよ! 僕の悪戯じゃなくて元々こう書いてあったの! 龍平からも何か言ってやってよ!」
「いや、それがな玄、俺も最初はそう思いはしていたんだが、虎鉄の話を聞く限りどうも虎鉄の仕業じゃないんだ」
鈴木は最初「こんな奴の言葉を信じるなんて正気か?」と言おうとしたが書いてある文字を見つめると不思議とそこには『羊のステーキ』と書いてある気がした。
「ああぁもう、そういう事が言いたいんじゃなくて、玄みたいな子にも分かるように簡潔に簡単に説明すると! その字、よく見ると読めるんだ」
「んんぅ〜、確かに」
鈴木は虎鉄の言葉に目を凝らし、じっくりとメニュー表の文字を見つめると段々と何を書いているのか読めてきた気がした。
「痛つつ、要するにその文字を俺たちは何故だか読めるって言いたいんだろ?」
先ほど鈴木に殴られた時、余りの衝撃に軽い脳震盪を起こしていた朱羽が痛みに耐え半分程飲み干したジョッキを手に話を要約した。
「うんうん、そうなん「あのー、このメニューの羊のサンドウィッチを一つ」え、何頼んでんの!」
「うっせーなー、考えるのは食った後でも出来るだろ」
虎鉄が久々に真面目に考えているのを余所にお腹の空いた鈴木は先にご飯を頼んでしまった。
「じゃあ、俺はえーと………! わ、和食定食を一つ」
鈴木達の目の前のバーテンダー?に流石に悪いと思い料理を頼んでいた時、鈴木、朱羽、虎鉄の耳に酷く聞きなれたフレーズが聞こえた。
「え? わ、和食?」
「はい…アレ? お客さん、都会来たの初めてでしょ、 和食ってのは昔この国に現れた勇者様が教えてくれた料理の種類でサッパリしているのが多い奴なんですよ」
「「「「勇者!!!」」」」
店長に恐る恐る『和食』を聞いてみたらとんでもない当たりに四人は周りの目も気にせず、叫んだ。
「え、勇者様も知らないんですか? あんたら一体何処から来たんですか?」
余りにも無知な鈴木達にその見た目に相反し、若干の恐怖を覚えながら聞くおっさん。
「え! あの、その、何処から来たかなんて決まってるじゃないですかぁ、ね!」
「え、俺! あー、いやそりゃあそこから来たんですよ! あそこ! それ以外どこがあるんですか!」
おっさんの声に虎鉄はいち早く反応したと思ったら、いち早く鈴木に投げ渡した。
「ふーん、まぁ、余り詮索はしませんが怪しい方々ですね、それよりそこの赤髪のお兄さんと金髪? のお兄さんは頼まないんですか?」
藪を突いて蛇が出てきたら困ると思い、おっさんは虎鉄の濁った金髪をなんて言うのかを考えつつ、鈴木達からの探索をやめた。
「じゃあ、俺はオムレツを」
「じゃあ、僕は「以上でいいです。」僕への対応ひどくない! あぁ、もう右と同じでいいです!」
段々いつもの調子に戻り始めた四人は日頃の虎鉄からの攻撃に復讐をし始めた。
「というか、第一僕が何をしたっていうのさ! 言ってみてよ!」
虎鉄が等々キレて三人に投げかけた。
「お前、俺が好きだった子に告白した日………必要にというか五日間追いかけまわして、『君には玄の全てを受け止められる覚悟はある? 例えどんなにアブノーマルな趣味であっても愛してあげられる自信、ある?』って聞き続けたそうじゃないか」
そう、虎鉄は鈴木が高校二年生の時好きになった女子を五日間も追いかけまわして、ただ一つの同じ質問を問いかけ続けたのである。
以来その女子生徒は鈴木を見るたびに「ごめん、私には重すぎる」と言って目も合わせてくれない。
「何でさ、アレは僕は悪くないよ! あの子に本当に玄を幸せに出来るかって心配してあげての行為じゃないか、まぁ結果的に言えば君が断られたけど、それはあ・の・子・に・君を包み込んであげられる覚悟がなかったからでしょ?」
鈴木が虎鉄に殴りかかろうとするのを龍平と朱羽が必死になって抑え込んだ。
「はい、じゃあ朱羽、僕が何をしたの?」
「まず初めに、お前には数え切れないほどの迷惑をかけられてきたがその中でもここ最近の二つは許せない、一つ目は俺が付き合っていた彼女に毎日何処何処で俺が女と喋っていたのを聞いてもいないのに言った事、それにそれがどこの誰か表在な事は言わずに!」
そう、虎鉄は朱羽が大学の一回生だった頃、朱羽の彼女が浮気していないか心配とふざけて放った言葉を耳に、その日から朱羽が性別が女である人間全ての誰であろうと彼女に報告したのである。
「それの何処が悪いの? ねぇ朱羽、女の子ってのはもっの凄い心配性が多いんだよ、だから僕は君が隠れて浮気していないか彼女に前もって報告してたんだよ」
「だったら! 表在な事をちゃんと言えよ! 一体何を考えて俺は母親や妹や、ましてや隣の60代のバァちゃんと浮気しなくちゃならないんだよ!」
「もぉー、何言ってるの? 人の個人情報を勝手に流出するのはいけない事なんだよ? 先生に教えて貰わなかった? よし、これも悪くない、ハイ次」
必死に龍平は朱羽と鈴木を引き止めた。
「落ち着け! 堪えてくれ! 公共の場所で暴れなんてしたら他の客に迷惑が掛かるだろ!」
龍平の悲痛の叫びに殴りかかるのはやめた朱羽と鈴木。
「え、何? やっぱりよく考えてみたら自分の方が悪かったって思ったの? 今のうちに謝るんだったらこの場で猿のモノマネ位で許してあげるけど?」
「やっぱ、殺す!」
「絶対に殺す!」
一度は収まりかけた憤怒の炎も虎鉄がそこにメタンハイドレートを投げ入れ、たちまちとんでもない勢いで炎はそそり立った。
「じゃあ、言ってやるよ! お前俺の誕生日何くれた!」
「え? 接着剤8本」
「そうだよ! その時点でおかしいだろ! 何で誕生を祝う日に接着剤8本も持ってくんだよ! 接着剤自体おかしいのに何で8本も持ってくんだよ!」
そう、虎鉄は朱羽の誕生日の日に誕生日プレゼントに超強力瞬間接着剤を8本を手に家に来たのである。
その日は、鈴木も龍平も単位の貯金に忙しく遅れての登場であった為起こった悲劇である。
「 まぁ良いよそれは、問題はその後お前俺がトイレ入ってる間家に何をしたんだぁ!」
「そんなの決まってんじゃん、接着剤だよ? 壊れた物を治すに決まってんじゃん」
虎鉄は、朱羽がトイレに入った瞬間に朱羽の家の壊れた物を勝手に直し始めたのである。
「ああ、そうだよ、俺のうちには何個か壊れた物は確かにあったさ! だがなお前うちの冷蔵庫をなんで完全密封したんだよ!」
「だって、ゴムカバーがこわれたって」
「ああ、確かにいったな、だけどよぉ〜、一体どこの世界にゴムカバーの表に接着剤を着ける奴がいるんだよ」
虎鉄は、何と冷蔵庫のゴムカバーが壊れたと言えば常人なら冷蔵庫のドアとゴムの接着面に何かあったと思うが、だが虎鉄は違った虎鉄は何と! ゴムカバーの表が壊れたのだと思ったのである!
「えへへ、ぼ、僕です」
「何照れてんだよ! それにお前、俺の折り畳み式の机に何した?」
「接着剤付けたけど?」
「付け過ぎなんだよ! お前なんだよあの机! どうしてくれんだよ!」
そう、虎鉄は朱羽の昔からの折り畳み机をびちゃびちゃになるまで接着剤を塗ったのである。
そう、折り畳み収納式机は虎鉄の手によりただの折り畳んだ机へと変貌してしまったのである。
その虚しい姿に後日朱羽は涙した。
「そんでもって最後にお前トイレのドアに何した?」
「だから接着剤以外何もないでしょ!」
「中に人が入ってない時やれよ! 俺あの後レスキュー隊の人に救出してもらったんだぞ!」
「いいじゃん、貴重な体験だよ? 自宅のトイレから救出してもらうなんて、はい次龍平」
いやー、そろそろ夏休みも終わり投稿ペースに影響が出てきていますが見放さないでください