鈴木くんは誤解が解けましたが新たな誤解が生まれました。
はい!フテューです!
これからもジャンジャンピョンピョン投稿しますので見てください。
お願いします!見限らないでぇ!
ドサッという音をたて首のないナイフ賊は鈴木にもたれかかる様にして倒れた首からの出血で鈴木の服はジワジワと血で染まっていく。
先程アレだけの光を放った石はある程度空を登るとドンドンと小さくなり不発の花火の様に消えていった。
鈴木は自分の目の前で起こった事が理解できなかった。
苦し紛れに投げた石が光を帯び出したと思えばナイフ賊の顔を粉々に吹き飛ばしたのだ。
鈴木は横の首のないナイフ賊を見たら、急に胃がムカムカとしナイフ賊の屍体を突き飛ばし数日前に食べた焼肉を口から吐き出した。
「おぉえぇぇ!うぉぉろろ!」
鈴木の頭の中はその時の苦酸っぱいゲロ特有の味と喉の痛みでいっぱいいっぱいだった。
「ひっひぃーバッバケモンだぁ〜」
棍棒賊は先ほどの光景をまじかで見てしまった為に朱羽との攻防戦をやめ何とも小物臭漂う発言をし馬車へと走り出そうとした。
だが敵が背中を見せた、そんな絶好のチャンスを朱羽が見逃す筈もなく左腕で喉を締め付け右腕でそれを固定した。
激しく抵抗する棍棒賊であったが少しすると棍棒賊の抵抗が弱くなっきたので朱羽はそのまま容赦無く投げ飛ばした。
急に鈴木の近くで「ス○ークかお前は」と声が聞こえ鈴木は辺りを見回すが誰もいなかった。
「玄! 大丈夫か!」
龍平がそう鈴木に声をかけると鈴木は急に上を向き高らかに笑いながら喋り出した。
「あはははははは、夢だったんだ、あははは、現実じゃなかったんだよ、そうだよ、現実なわけないよな、こんなの、あり得ない、あり得るわけない現実にあるはずないよ、そうだよ、なぁ、誰か肯定してくれよ………」
鈴木は涙を流しながら震えた声で悲願した。
朱羽達はその光景に顔を背けたくなった。
「肯定してくれよぉ〜、でなきゃ俺、俺! ………ハハハハハハハハハハ、アハハハハ」
龍平は、目の前の屍体を素通りし鈴木へと駆け寄った。
すると鈴木が「寄るな!」と叫んだ。
鈴木は笑いながら、錯乱する中でも、こんな状況でも一つだけ確かに分かっていた事があった。
「ハハハハハ………あーあ、最低だぁ………俺、俺………人を殺しちゃったよ、本当に全ぐ、うっぐ、ぐすっこれで俺………龍平達に合わす顔、なくなっちゃたな………でも、でも違うんだ、違うんだよ、俺はやりたくてやったんじゃないんだ、そうだよ! 俺は、俺はあんな事がしたくて石を投げたわけじゃない、ただ、ただぁ………何処かへ行って欲しかったんだ………でも、もう遅いのかな、俺もう朱羽や虎鉄、それに龍平達と会っちゃダメなのかな、分かんないよ、答えてくれよぉ、………何処行っちゃったんだよ、みんな」
朱羽や龍平達は鈴木の放った言葉の異様さに疑問を持った。
まるで鈴木は自分達が此処に居ないかの様な話し方をする。
そして朱羽は、理解した。
鈴木の言動と行動の訳を、そう朱羽達は此処に来てやっと鈴木が自分達を自分達だと思っていない事に気付いたのである。
龍平はギュゥっと拳を強く握った。
龍平は自分が情けなくて仕方がなかった。
こんな時に親友を励ましてやる一言も思いつかないなんてと、鈴木が放ったあの光の事なんて今はどうだって良かった。
龍平はただ、鈴木を励ましてやれる言葉を言いたかっただけだった。
だが龍平は結局何の言葉もかけてやれずに無言でそっと地面に寝転がっている鈴木へと手を差し伸べた。
だがその手を鈴木は弾いた。
「………せよ」
鈴木は龍平の顔を見ずに何かを呟いた。
龍平は思わず「え?」と聞き返した。
すると鈴木は顔を上げ叫んだ。
「返せっつってんだよ! その服の持ち主を! 返せよ! 大事な友達なんだよ!」
鈴木はそう叫び、龍平へと掴み掛かった。
龍平は避けれずにバランスを崩し、勢い良く後ろへと倒れた。
そろ時に鈴木の体が上に重なった為、龍平は肺にかなりの衝撃を受け、一瞬目の前が真っ白になった。
「がはっ!」と龍平は肺にあった空気を出した。
龍平は目を開けると自分の体の上に馬乗りでいる友人を発見した。
鈴木が勢い良く龍平の顔へ向け拳を向かわせると龍平はその拳を受け止め言った。
「どうしたんだ! 玄、俺は龍平だぞ! 落ち着いてくれ!」
「嘘をつくな! お前は龍平じゃない!」
龍平がいくら叫ぼうとも、その叫びは鈴木の耳へは一切入らなかった。
鈴木は叫んだと同時に龍平へ空いている左手を叩き込もうとするがまたも、受け止められる。
龍平は何故ここまで鈴木が疑っているのか理解が出来なかったそんな中、朱羽が叫んだ。
「龍平! 玄は此処に来てからずっと! ずっと、俺たちを疑ってたんだ! だから、爆発したんだ、絶対に玄を突き放すなよ!」
朱羽の叫びで龍平は今までの疑問が全て消えた。
そして同時に新たに不甲斐なさも覚えた。
龍平は鈴木がこんなになるまで、気付けなかった自分に怒りを覚えた。
「玄、信じてくれ、俺は龍平だ、俺は東ヶ崎 龍平だ!」
「それも! それも龍平から聞いたんだろ! 龍平はな、口の硬いやつなんだよ、その龍平が喋ったって言葉は、お前ら! 朱羽や虎鉄に何をしたんだ! 答えろ!」
そう言い、鈴木が龍平の手を振り切ってもう一度その拳を振おうとした時、朱羽が玄に向かいタックルをした。
そして鈴木が立ち上がる前に朱羽も馬乗りになって、鈴木を押さえつけた。
「離せぇ! 殺してやる! さっきの奴みたいに! お前も!」
そう叫んだ直後、朱羽は鈴木を抱きしめた。
「落ち着け、玄………俺だよ、いっつもいっつも、面倒くさい女にばっか告ってた斎藤 朱羽だよ………そして彼奴は、知らない間にお前の好きな人をメロメロにさせた東ヶ崎 龍平、そしてもう一人の奴は、何時も俺たちが何かしでかす度にみんなから主犯格って疑われてた孤杉 虎鉄だ………安心しろ、玄、俺たちだよ、お前の少ない友達の、朱羽に龍平に虎鉄だ」
「ほん…と……に?………朱羽?」
「ああ、俺だ!」
鈴木は、糸の切れた操り人形の様に崩れ落ち、急に泣き出した。
「朱羽! おれ! おで、どうぢよう、ひどぉを、ひどぉを、ごろじちゃっだよぉ」
大泣きしながら、喚く鈴木、今までの精神的な疲れが涙と共にどんどんと堰を切った様に溢れ出した。
少し、時間が経った頃、ようやく鈴木も泣き止み、事を進めようとした時
「ゲーン! 僕は、僕達は例え君が何をしたって離れていかないしそれにねぇ、間違ってるよ! 玄のしたのは人殺し何かじゃない、立派な正当防衛だから気に病むことなんてないよ! それとも玄はあのまま殺されても良かったの?」
突如現れた虎鉄に鈴木は驚きながらも虎鉄の言った言葉は正しい、ある前提を置いては………
「おい! ちょっと待ってくれ! 何で虎鉄は俺が故意に奴を殺した事を前提で話を進めているんだ! 俺はやりたくてやったんじゃない! 俺はただ苦し紛れに奴の顔めがけて石を投げただけなんだ! 第一俺はついこの間まで普通の人間だったんだあんなの使えても気づいてるわけないだろ」
鈴木の中の大きな疑問を虎鉄に叩きつけた。
だが虎鉄の反応は異様だった。
「え………故意に使ったんじゃないの? 無意識に使えたの?」
鈴木は龍平は虎鉄の発言の異様さに気がつき指摘した。
「虎鉄! お前、何かを知っている様な口ぶりだな」
龍平がそう発言すると朱羽がまるで小学校のリレーに参加した教師の様な必死な走りをし虎鉄にそのままの勢いでタックルをした。
「虎鉄テメェ! 何処に隠れてた! 彼奴らに襲われている時お前は一体何処で何してた!」
鈴木はその言葉で思い出した。
龍平がナイフ賊と組み合いになっている時、鈴木は虎鉄を探したがいなかったのだ。
鈴木はそのすぐ後ナイフ賊に襲われた為ちゃんと確認してなかったと強引に納得させていた。
「その、何か………賊が怖くて隠れたいって思ったら何かさ…透明になってて………」
鈴木は最初虎鉄の頭が更に悪化したと思ったが鈴木も現によく分からない力を持っているという事で恐らく虎鉄の言っていることは本当だろうと鈴木は思った。
「はぁ、玄といい虎鉄といいみんなどうしちまったんだよ?」
朱羽は鈴木と虎鉄の変化に疲れたのか額に手をかざし溜息交じりに言った。
同じく状況に付いていけていない龍平も腕を組み首を縦に振り同意していたが龍平のその姿は正しく一家の大黒柱の様であった。
「それにしても玄、大丈夫なのか? 途中あの賊にナイフで切られていたが?」
龍平は鈴木に心配そうに尋ねた。
「あぁ、少し切られただけで、もうかさぶたができてる」
鈴木は服をめくり自分の傷口を朱羽たちに見せた。
「よかった」と朱羽達は言いフゥ〜と息を吹き出した。
そうして、鈴木達の間にあった張り詰めた空気はやっと消え、少しずつ鈴木達はリラックスしてきた。
暫く皆の間に沈黙が続くと虎鉄は朱羽にタックルされたせいで忘れていた大事な事を思い出した。
「あ! そういえば大事な事を忘れちゃってた! あの馬車の後ろの鉄の箱、人がい〜っぱい乗ってるっぽいんだよ!」
虎鉄のその言葉に鈴木達は鉄の箱へ急いだ。
鈴木は吐くものを吐き暫く休憩してた、おかけである程度元気を取り戻していた。
鈴木達が鉄の箱に近づくと確かに鉄の箱の中からは人の呻き声と暴れている音がした。
鈴木達は先ほどの賊の所為で開けるのを戸惑いみんなの顔を確認しているとドンドンドンドン中で何かが暴れる音が激しくなり遂には唸り声まで聞こえ始めた。
「なぁ、朱羽、これ中に入ってんのホントに人だよな? 俺何だか猿でも入ってんじゃないのかって疑い始めてきたぞ」
鈴木の提示した猿疑惑は中の音が激しくなるたびにドンドン信憑性が高まっていく、鈴木達は
(開けない方がいいんじゃないか)
と段々思い始めていた。
「いや待て玄! このまま開けずにもしも中に入っている者が人だった場合見g………見捨てる事になるぞ」
龍平は鈴木の事を考えた為死を暗示する発言は控える事に決めた。
だが鈴木も今の言い直した言葉で龍平達に気を使わせている事が身に染みてわかった為か鈴木は箱の足場に登り気を紛らわせる為に箱の扉を勢い良く開けた。
「グホォ⁉︎」
扉を開けた瞬間いきなり背の小さい何かが鈴木に向かってタックルをし、そのため鈴木はカエルが潰れた様な声を出し地面に落ちた。
車輪の高さの所為で鈴木は自分の体重と背の小さい何かの体重そして勢いを背中で全て受け止めてしまった為に鈴木の肺の空気は一気に排出された。
「ウォホ、ゴホ、ゴホ、ウォホ、はぁはぁ今日は厄日だな、絶対」
鈴木はこの数十分の間に色々な出来事が多すぎて暫し放心状態となっていた。
鈴木は息が整うと自分の胸に捨て身タックルを仕掛けてきた輩を見た。
だが鈴木はまたしても放心状態となった。
鈴木の目に映ったのは犬の耳であった。
鈴木はその犬耳をジッと見つめていると犬耳も動き出した。
その正体は………………
………犬耳をつけた少年であった。
鈴木は少年と二、三秒間見つめ合うと急に悶えだし
「くそッ! 何でこんな運命的な出会いなのに男なんだよ!」
鈴木が空に向けてソウルシャウトを放っていると少年は驚き飛び起きた。
少年をよく見ると犬の尻尾まで付いていた。
「うぁ! ってアレ? あのおっさん達じゃない?」
少年が賊共じゃない事を確認すると少しの間鈴木達を凝視し安全と分かり箱の中から他の動物の耳と尻尾を生やした子供達を箱から出してあげていた。
その中に何人か少女も混じっていた。
鈴木はそれを見て(何であの子達はタックルしてくんなかったんだろ)と考えていた。
朱羽と龍平、虎鉄は箱の中から人を出すのを当たり前の様に手伝っていた。
鈴木はただ呆然とそれを見ていたが同時に
(これがモテてる奴とモテない奴の差なのか!)
と鈴木は確信的な何かを感じとってていた。
鈴木は子供達を見ていると何人か動物の耳が無いものが居てよく見ると人の耳の付いている場所に尖った細長い耳が付いていた。
鈴木達はこんなおかしな子供達を思った以上に簡単に受け入れらていた。
鈴木達は既に賊との出会いで何と無くここが日本じゃないこと地球じゃない事を分かってはいたが先程の鈴木と虎鉄のよく分からない物をみて完全に確信していた。
「お兄ちゃん達あのおっさん達を殺ったの?」
鈴木は先程の光景がフラッシュバックしたがそんな事よりも少年の発言に驚いた。
この少年は当たり前の様に『殺したのか?』と鈴木達に聞いてきたのだ。
今の所あまり人を見ていない鈴木達にはよくは分からないが、今の発言で少なくとも非常事態なら人を殺しても当たり前の世界なんだとこの世界の認識を改めた。
暫くの無言が続き少年は辺りを見回し始めた。
鈴木はナイフ賊の顔が爆散した姿を見せるわけにはいかないと慌てて少年の目を隠した。
だが少年は鈴木が目を隠した場合、この少年はどの様な反応をするのかと想像していたのとは程遠い反応をした。
「うわ! 何すんだ、この変態め! 放せ、放せよ! 俺にそっちの趣味はないんだ!」
少年は鈴木を助けたお礼に後ろから自分を襲ってきた変態と勘違いし、罵倒し続けた。
鈴木はもう夜の色が消えかかった空を見つめただただ無心になっていた。
その姿は龍平達も悲しいようなおかしいような複雑な気持ちであった。
その時の光景は朱羽に箱から降ろしてもらった少女の視点からは、空に向かい遠い目で見上げながら自分の事を変態と罵倒し続ける少年の目を塞ぎ続けている青年というシリアスな光景であった。
そうやって少しすると城の方から鎧を着て馬に乗っている人達がいた。
その人達はまたしても馬車を連れて走ってきた。
隊の先頭を走っていた隊長らしき人物は頭になんの防具もつけておらずその茶髪の頭を晒していた。
まるでそれが頭など守る物が無くても勝てるという絶対的な自信を示している様な雰囲気だった。
「これは、どういう状況か説明してくれないか?そこの赤髪の君」
その茶色い髪をした男が朱羽に優しく状況を説明する様に頼んだ。
鈴木は隊長らしき人が朱羽に説明を頼んでいる間に急いで少年の目から手を離した。
「えぇーと、これは、その、何と言いますか、「お兄ちゃん達が私達を攫った人達を倒して助けてくれたの!」
まるで妻に浮気がばれた夫の様にしどろもどろと言う朱羽の声を掻き消して少女が言った。
「え! 君達は獣人じゃないか、それにエルフまで! まずいぞ! 早く国に返さないと!」
茶色(仮)は少女を見ると慌てだし、会社のミスを上司に隠そうとするかの如く辺りを見周した。
鈴木はその先程までの変わり様に(この隊長らしき人弱そう)と思った。
「くそ! 早急に城に帰るぞ! これが大事になったら大変だ! おい君達! これをあの城の門番に見せて城に連れて行くように頼めば連れていってくれるから! サンカ、チャル! お前等はここに残り他に何か重要な物が無いか調べてくれ!」
茶色は馬から飛び降り少年少女達を自分たちの馬車に乗せ、先程まで乗っていた馬にもう一度跨った。
そうすると龍平に向かい自分の人差し指にはまっていた指輪を外して投げ、事情を説明し猛スピードで城に走っていった。
「お兄ちゃん達助けてくれて、ありがとなぁー! あと二度とあんなの事止めろよな、この変態野郎ー!」
先程まで鈴木が目を隠していた少年がそう叫んだ。
その後ろ姿はだんだんと小さくなっていった。
「え、普通ああいう子ってこの後同行するんじゃないの⁉︎」
鈴木は一人この疑問を抱え空に向かいソウルシャウトを放った。
どうやら鈴木はフラグをクラッシュされる才能があるようです。
そして鈴木は恋愛フラグが立つのでしょうか?
まず鈴木が立てたいと思う人が出てくるのでしょうか⁉︎