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オレは異世界に転生して必死でのし上がる  作者: 国後要
冒険再開からバルティスタ共和国脱走まで
48/62

休養日三日目

 昨日は散々な目にあった。

 色々な意味で疲れ果ててしまったくらいに。

 

 今日は休養日の最後の日だ。今日はしっかりと体を休め、英気を養わなくては。

 そういうわけなので、町に出かけるのも、家から出るのもダメという事にし、今日一日は家で過ごす事に。

 

 まぁ、家で身体を動かさずに出来る事なんてそうたいしたものもなく、もっぱら本を読んで魔法の修練と相成る。

 

 魔法の習得自体はさほど難しいものではない。

 その呪文回路を構築して、それを発動するに足るエネルギーを投入できるかが問題だ。

 また、呪文回路は魔法の絶対原則にして基礎要素。これ以外にも魔法の構成要素は存在するが、呪文回路だけは欠かせない。

 

 基本は基礎要素、あるいは図形要素と呼ばれる呪文回路。

 そして、追加にして重要な要素である音声要素、動作要素、物質要素。

 最後に、あまり重要視されないが、適正要素。

 

 まず、魔法は図形要素が無くては成り立ちすらしない。

 そこに、物質要素を組み込む事で威力、効力、範囲を。

 音声要素を組み込む事で、魔法そのものの安定性を。

 動作要素を組み込む事で、魔法の発動速度を。

 

 そして、適正要素は自動で組み込まれるが、これはどうあっても変えることが出来ない。

 ただ、自分の性質に見合った魔法であれば扱いやすいと言うだけらしい。

 

 ちなみに、ありがちな弱点属性とか、得意属性とかそういうものはないらしい。

 ただ、自分の性質に合った魔法を使うと明らかに他の魔法とは何か違う、と感じる。

 オレの場合は、炎の要素が組み込まれている魔法。

 

 呪文回路の構築もスムーズだし、発動させた時の解放感は心地よく感じる。そのくらいのものなので、適正要素は魔法使い以外には余り重視されない。

 魔法使いでも、戦闘をよく行うもの以外は余り重視しないようだ。

 

 なんでも、適正要素を持つ魔法を研鑽すれば、やがて魔法以下の威力ではあるが一切の魔力消費無しでその適正の現象を発揮させられるらしい。

 要するに、オレが修業を積んだとすると、精神を集中させるだけで炎を発生させられる可能性があるんだそうだ。凄いな。

 

 ちなみに適正要素は炎や氷の場合が多いが、たまに変性術全般や、召喚術全般に適性を持つ者が居るそうだ。

 

「ふわぁ……ねむいな」

 

 本のページをめくっていると、眠気を感じた。

 というのも、今日は日差しが暖かいせいだ。

 

 気温は冬の今に見合ったものだが、今日は風が無いので日差しが暖かい。

 降り注ぐ日差しがぽかぽかと体を温め、それが何とも言えない眠気を演出するのだ。

 

 眠気を感じつつも何とか呪文回路を構築し続けているのだが、眠気でどうにも上手く行かない。

 それに、今やろうとしている魔法の動作要素、手の平を∞の字を描くように動かし続けているのも眠気を増長させているのだろう。

 単純な動作は脳の働きを鈍らせる。集中してる状況だと、逆に脳の働きにいい影響を与えて、冴えた思考が出来るんだが……今の状況では悪影響しかないな……。

 

「おっ……上手く行った。【アイシクル・ランサー/氷柱の槍】!」

 

 それなりに上手く呪文回路を構成できたので、宣言によって音声要素を満たす。

 簡単な魔法であれば、音声要素は魔法名の宣言だけで済む場合が多い。

 ちなみに、音声要素自体かなり大雑把なものでいいらしく、魔法名の宣言以外は自分の感性に見合ったものを適当に作っても構わないそうだ。

 

 さておき、その宣言によって、図形要素、動作要素、音声要素を満たした【アイシクル・ランサー/氷柱の槍】が発動する。

 空中に一本の尖った氷柱が生まれ、それなりの速度で飛翔し地面に突き立つ。

 おー、中々強そうだな。

 

「後は咄嗟にでも出来るように練習を重ねるしかないわけだな」

 

 さすがにそればかりは時間をかけるしかないので、今は習得できただけでもよしとする。

 さて、次は何をやってみるかな……。

 

 本のページをめくってよさそうな魔法を探していると、てくてくとフランがやって来た。

 フランの手には本があるので、オレと同じように魔法の練習でもしてるのだろう。

 

「ニーナさん、新しい魔法を覚えましたっ! ちょっと受けてみてくださいっ!」

 

「えっ、それって攻撃系じゃないよな」

 

「違いますよう。心術ですよう」

 

 心術というと、精神に作用するタイプの魔法だったか。

 それなら直接的な害はなさそうだな。

 そう思いつつ、靴をつっかけて庭に下り立つ。

 

「よし、来い」

 

「いきますよー【ライオン・ハート/獅子が如き心】!」

 

 フランの手から放たれたエネルギーがオレの体を包み込む。

 それと同時、湧き上がってくる勇気。

 今ならどんな状況でも恐れずに立ち向かえるような気持にもなれる。

 

「勇気を与える魔法か」


「はい。【ヒロイズム・ハート/雄々しき心】と同系統の魔法ですっ。【ライオン・ハート/獅子が如き心】は最下級の魔法ですけどね」

 

 それでも簡単に習得してしまうんだから、フランの才気がよくわかりそうなものだ。

 

「物質要素の方はどうなんだ?」


「この魔法には物質要素は必要ありませんよー。【ヒロイズム・ハート】には必要なんですけどね」


「そういうもんか」

 

 物質要素は必ずしも必要ではないが、物質要素を欠くと著しく威力が低下してしまうものが多い。

 下級の魔法では物質要素は威力向上のためだが、上級の魔法ともなると、必要不可欠と言っていいほどになってしまう。

 それだけ物質要素が重要だと言うことだ。

 

「しかし、物質要素って、高いよなぁ……」


「そうですねぇ……高いですよねぇ……」


 極普通の……全般的に威力を上げる、魔法使い御用達というか、魔法を使える奴ならだれでも持ってる触媒はそれほど高くは無いし、自作も出来る。

 しかし、そんな触媒でも買うとなると金貨数枚はしてしまう。

 

 オレの使える最下級の火炎系魔法である【フレイムスロワー】に適応する物質要素の値段は金貨一枚。

 召喚術である【サモン・ウォーター】に適応する物質要素は金貨三枚。

 

 これですら安いのだから恐ろしい。

 

 例えば、強力なファイアボールを連射する【メテオ・スォーム/隕石】の触媒は宝石のルビーで、実用に耐えるものは最低でも金貨二百枚はするらしい。

 

 以前に玉藻の言っていた【プロテクション・フロム・ペトリフィケーション/石化の保護】に必要な物質要素はなんとダイヤモンドだ。

 

 塊である必要は無く、屑ダイヤモンドでも構わないらしいのだが、それでも高い。

 発動させるのに必要な量は、凡そ手の平一杯分。金貨数百枚以上に相当する。

 

 では石化を解く魔法はというと【パナセア/万能治癒】という魔法があり、これに必要な触媒はさらに高い。

 この世界の人間でも行ける異次元、フォーセルンという次元界で取れる木の実がその触媒なのだが、なんと金貨数万枚以上もすると言う。もう笑いが出てくるような値段だ。

 

 まぁ、石化を治療するとなるとアイテムを使った方がいいという話だがな。そっちは金貨三千毎程度だそうだ。

 

 他にも肌に鋼鉄の硬さを付与する【スチール・スキン/鋼鉄の皮膚】に必要な触媒は拳大のアダマンティンが必要で今の相場で凡そ金貨千八百枚。


「オレは物質要素が必要無い程度の魔法……使っても、安い物質要素で済む魔法だけで終わるだろうな……」


「私もそうなると思います。回復魔法は触媒要りませんし……」


「魔法使いって普段どうやって生計立ててるんだろうな……」


「錬金術でポーションを造ったりとか……じゃないんですか?」


「それくらい出来なきゃやっていけないんだろうなぁ。世知辛い話だ」

 

 まぁ、要するに魔法は恐ろしい金食い虫なのだ。

 戦闘をする魔法使いにとって重要なのは、敵を吹き飛ばす強力な魔法よりも、如何に物質要素を節約するかというものだ。

 まぁ、そんな物質要素を盛大に消費するような魔法使いでも採算が取れてしまうほどに、遺跡などの探索をすることは儲かるのだがな。

 

 あるいはモンスター退治でも儲かる事はよくある。

 光り物……要は財宝をため込む性質を持ったモンスターは山ほどいるし、ドラゴンもその筆頭だ。

 

 もしくは体そのものが財宝であるモンスターもいる。

 狂った精霊が物質世界に顕現する際、精霊はその性質に見合った宝石の体を構築する。

 

 ファイアーエレメンタルであればルビー。

 ウォーターならアクアマリンやサファイア。

 ウインドならエメラルドやヒスイ。

 アースならダイヤモンドなど。

 

 他にもウォーターとウインドが組み合わさった、ストームエレメンタルだとか、ハリケーンエレメンタルだとかは、内部に水を蓄えた瑪瑙など。

 全属性の組み合わさった、オールマイティエレメンタルは、なんとアレキサンドライトだ。

 アレキサンドライトは宝石としての価値も、物質要素としての価値も非常に高く、手の平大のサイズで軽く金貨一万枚はする。

 それが最低でも、一抱えのサイズ、下手をすれば直径数メートル以上にもなっているのだから、どれだけ儲かるか分かるだろう。

 

 他にも角が様々な宝石で飾られたアダマンティンで出来ているフンババという巨大な牡牛のモンスター。

 

 そして、ゾルドが殺したコカトリスは砂肝に宝石を取り込んでいる事もあり、巣には消化の助けに役立たなくなった宝石が転がっている事もあると言う。

 それを書庫で知った時は悔しがったものだ。知ってたら砂肝から宝石を取り出してたのに。入ってたかどうかは別として。

 

 他にもドラゴンなんかは、その身体を覆う鱗は何らかの金属で出来ているという。

 銅や鉄などもいれば、金銀などの貴金属で来ている者もいる。

 更にはプラチナやアダマンティンなどのレアメタルで出来ている者も居ると言う。

 それだけに強力なモンスターであり、知性も高く、それを倒したことがあると言うだけで途轍もない名声が得られるほどに、倒すのは困難なのだが。

 

 聞けば聞く程に、この世界というのは宝の山なのだと言うことが分かる。

 まぁ、それに見合う程に危険が一杯なのだがな。

 

「どっかに一攫千金の儲け話とか転がってないかなー……」

 

「そう上手くいきませんよ」

 

「そうだよなあ……」

 

 鎧と武器はあるからまだいいが、それでも完全とは言えない。

 色んな状況に対応できるスクロールやワンドも欲しいし、魔法の力がかかっている武具も欲しい。

 もうとにもかくにも金金。金が無きゃ冒険者稼業なんてやってられないってことだ。

 

 稼ぐためにも、今は可能な限り力をつけておかないとな。

 他にもいくつか遠距離攻撃の手段を得ておきたい。

 大抵は玉藻が出来ると言うが、オレに出来て悪い事もあるまい。

 

 金に関しては明日から旅も再開するし、適当な儲け話でも探しながら行こう。

 

「よし、あと二つ魔法覚えたら今日は終わりにしてグダグダする」

 

「あ、じゃあ、あとでおやつにしましょうっ! コノハさんといっしょにシュークリームを作ったんですよっ!」

 

「そりゃいいな。俄然やる気が湧いて来た」

 

 いいね、シュークリーム。旅に出る前に、街中に売ってるのを見たんだけど買わずじまいだったからな。

 甘味は贅沢なものの筆頭だから、ぜひとも食べたい。

 

 よーし、そうとなれば、ちゃっちゃと新しい魔法を覚えておやつにするか!

 

 

 

 その後、オレは【マジックミサイル/魔法による遠距離攻撃】と【エアハンマー/風の打撃】の二つの魔法を習得し、シュークリームにありつくことが出来た。

 

 シュークリームは柔らかな甘味と、さくさくのシュー生地も合わさって大変美味だった。

 フランの作ったものとコノハさんの作ったものでは明らかに出来が違ったが、そこらへんは愛嬌。むしろ微笑ましさを感じて楽しいひと時だった。

 

 シュークリームを食べた後は、この世界に棲むモンスターについて色々と調べた。

 冒険者ギルドでも得られる情報ではあったが、冒険者ギルドは情報の閲覧に金を取る。それも本一冊につき金貨数枚。

 対してタダで本を何冊も読ませてくれたコノハさんには色々と頭が上がらない。

 まぁ、そのあとに、何時も通りのセクハラ発言を行って感謝の気持ちは失せてしまったが。

 

 さておき、今日は知識の収集に、魔法の習得と、大変有意義に時間を使った一日と言えるだろう。

 そんな風に時間を使えた満足感を感じつつも、オレは陽が落ち始めた頃に眠りについた。

 

 明日の出発は日の出と同時だ。早めに寝ておかなくてはならない。

 オレは明日から始まる旅に胸を躍らせながらも眠りに落ちていくのだった。

ギリギリセーフ。まだ日付変わってない。忙しくなり始めたので、決まった時間に投稿というのが難しくなってきました。

毎日投稿というのは可能な限り崩さずに行きますが、投稿できない事もあるかもしれません……。

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