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オレは異世界に転生して必死でのし上がる  作者: 国後要
冒険再開からバルティスタ共和国脱走まで
46/62

休養日二日目・前

 休養日二日目。このままだと色々と面倒な事になりそうなので、休養日は三日までという事にした。

 明後日には旅を再開すると言うことだ。

 

 とりあえず、今日は適当に過ごし、明日は身体を入念に休めると言う事にした。

 とは言え、今日は何をしたものかな……?

 

「うーん……」

 

 今日の予定を考えつつも、庭で柔軟運動を続ける。

 オレの体はそれなりに柔らかい。体前屈をすれば指は全部地面にくっつくくらいには。

 しかし、迷宮から戻ってきて気付いたのだが、身体が更に柔らかくなっている。

 

「うぬぬ」

 

 具体的にどれくらいかというと、体前屈をすれば手が地面にべったりとつく。

 しかし、それでもまだ余裕があったりする。

 長座体前屈をしてみれば余裕で胴体が足にくっついた。

 出来るかな、と思ってやってみたら、股割りも出来てしまった。ううむ、凄いな。

 

「強くなると美しくなるのとは別に、戦闘向けの肉体になるってことなのかな……?」

 

 大幅ではないにしろ、容姿までも変わるのだからあり得ないとは言い切れないな。

 しかし、股割りがこんな簡単に出来るとは……お、身体を倒しても余裕だな。

 

「んー……」

 

 起き上がって、ブリッジをしてみる。

 そこから腕の力で身体を跳ね上げ、バク転して立ち上がる。

 おお、出来ちゃったよ。

 

「考えてみれば軽く数メートルは跳べるんだから、バク転も余裕だな」

 

 よしやってみるか。というわけで、早速跳んでみる。

 

「うおおおおっ!? こえええっ!? ぐげっ!」

 

 予想以上の怖さに着地に失敗し、背中から落下する。いてえ。

 というか、バク転って色々とやり方があるんじゃなかったっけ? まぁいいや。今の軽く三メートルは跳んでたし、それなら変なやり方でも着地は出来るだろ。

 

「よーし、もう一回」

 

 今度は空中で身体を丸めるようにしてバク転してみる。っと、ここで足を延ばして、着地!

 

「いよっしっ!」

 

 バク転出来るとなんかうれしいなー。次は何してみるかな?

 とりあえず宙高く飛んで、くるくると回転して着地。

 おお、おもしれー。

 トランポリンにハマる人が居るのも分かるな。トランポリン使ってないけど。

 

「ってか、コノハさん、こんなの見てて楽しいんですか?」

 

 先ほどから縁側に座ってオレの事を眺めているコノハさんに聞いてみる。

 

「結構楽しいぞ。次は何を見せてくれるんだ?」

 

「んじゃま、今度は後ろ二回宙返りでも」

 

 跳躍して、空中で身体を捻る。うはは、やっぱおもしれー。

 っとお、着地! 十点!

 

「お前、案外怖いもの知らずなんだなー」

 

「一回できたら後は別にそんな怖くないですよ」

 

 最初の一回は怖くて失敗してしまったが、あのくらいの衝撃では大した事は無いしな。失敗しても痛みが殆ど無いと分かれば余裕余裕。

 ……あれ、でも三メートルくらいの高さから地面に叩き付けられたら、普通は滅茶苦茶痛いんじゃ……?

 そこらへんも丈夫になってるのか?

 

「あとな、ニーナ」

 

「なんですか?」

 

「男の前ではやるなよ。見えるから。やるならサラシ巻いてな」

 

「あー……」

 

 そりゃ宙返りなんかしてたら服も捲れるか。言われた通り、そのうちサラシでも巻くか。

 

「ちなみに綺麗なピンクだったぞ。いやあ、眼福眼福」

 

「誰が口に出せと言ったよちくしょう」

 

 とりあえず石を投げつけるのだが、極普通に受け止められた。

 

「障子破れたら張り替えさせるからな。全部」

 

「ちっ……」

 

 そんな面倒な事はお断りなので石を投げるのは止めておく事にする。

 下手したら全部って言うのは家の障子全部って可能性もあるからな。

 

「よくわかったな」

 

「アンタならそれくらいやりかねん」

 

 つうか、図星だったのかよ。

 

「しかし、今日は何しようかなぁ。てか、コノハさん、昨日の壮行式云々はもういいんですか?」

 

「オレは答辞言うだけだったからな。あとは、行軍では前の人を押さない、無闇に駆け出さない、死なない、帰るまでが征夷です、って感じの事を言っただけだ。いわゆる、おかし、ってやつだな。おはし、でもよかったが」

 

 避難訓練みたいな扱いにするんじゃねえよ。

 

「なんなら、オレと一緒に遊びにでも行くか?」


「コノハさんとですか? 別にいいですけど、何処にですか?」

 

「うーん……ありんす国、とか」

 

 ありんす国? 聞いたことないな。どこだ?

 

「中々楽しいぞ。つってもオレは酒飲んで駄弁るだけで済ませるけど。話が上手いから話だけで済ませた方が楽しいんだよなぁ」

 

 なんじゃそら? 話をして酒を飲む……? キャバクラ? いや、国って言ってるしなぁ。

 何のことだか分からず、訪ねようとしたところで縁側の奥から玉藻がやって来た。

 本らしきものを持ってるが、刺青の勉強かね?

 

「ニーナ、ありんす国とは遊廓の事じゃぞ」

 

「はああああああああっ!?」

 

 この人、女の癖に遊廓に行ってたのか!? 何のために!?

 

「そりゃもちろん、酒飲んで駄弁る為にだ」

 

「それ遊廓でやるこっちゃねえよな!?」

 

「オレが遊廓で何やったってオレの勝手だろ?」


 いや、それは確かにその通りなんだけど……それって、高級料理店で冷奴と枝豆だけ喰ってくるようなもんじゃねえか?

 

「で、行くか?」

 

「行かねえよ!」

 

 なんでわざわざ遊廓に行って酒飲んで駄弁らなくちゃいけないんだ。本来の目的で行くつもりもないし。

 

「じゃあ、チンチロリンでもしにいくか?」

 

「ニーナ、チンチロリンというのは……」


「賭博だろ……知ってるよ……」

 

 オレの運は最低最悪だから、まず間違いなく負ける。だからギャンブルはしない。

 

「コノハさん、あんた普段遊び歩いてるんですか……」

 

「いや、一日の大半は修業に費やしてる」

 

「……今まさに遊んでるじゃないですか。しかも意味不明なのを」

 

 さっきから突っ込もうと思ってたんだが、なんでこの人はチェスボードに将棋の駒と囲碁の石を並べてるんだ?

 

「いや、これが実に奥が深いんだぞ。決して意味不明じゃない」

 

「どういう遊びなんですかそれ」


 シェンガ独自のボードゲームだろうか。だとしたらルール教えて貰おうかな。

 

「適当に唸りつつ、適当に駒を動かす遊びだ。途轍もない頭脳戦をしてるように見えて面白いぞ」

 

 それただのカッコつけじゃねえか。

 

「で、それが修業ですか」


「そんなわけないだろ。これはただの暇潰しだ」

 

 暇潰しに随分と不毛な事してんなこの人……。

 

「ニーナ、暇じゃったらわしと共に町にでも行かんか」

 

「ん、いいけど、なにするんだ?」

 

「ぬしの服を見立ててやろう。わしのぬし様がそんな野暮ったい格好ではいかん」

 

 言われて自分の服を見るが、麻布のシャツにズボンだ。下着は綿だけど。

 確かに野暮ったい格好かもしれんが、別にわざわざ服見立てに行かなくてもな。

 

「いや、ダメだ」


「なんであんたがダメ出しする」


 即座に却下を下してきたコノハさんに反論する。オレはいまの格好のままでも別に気にならんのだ。

 

「女性はみな須らく着飾るべきだ。それが容姿端麗であるなら尚更だ。そしてお前は最初からそれなりに見れる顔をしていた。今は更に美形になって、その年齢じゃ早々見れない美少女だ。つまり!」

 

「……つまり?」

 

「着飾ってオレの目を楽しませろ」

 

 結局は自分の欲のためかよ。

 

「まぁ、着飾ること自体はいいけど、先立つ物がな……早々無駄遣い出来るわけじゃないし」

 

 もちろん、まだ金はある。服なんて何百着も買えるほどに。

 だからと言って、無駄遣いが出来る程に余裕があるわけでもない。

 旅立つにあたって保存食なんかも買わなくちゃいけないし、資金が余ったとしてもその資金はプールしておきたい。

 

「ダメ、絶対ダメ。というわけで、三人で服を見に行くぞ。金はオレが出してやる」

 

「ええー……」

 

「嫌そうだな」


「嫌なんですよ、実際に」

 

 この人と町に行ったらどんなことが起きるか……考えるだけで頭が痛い。金を出してくれるのはありがたいけど。

 そもそも、コノハさんはマイナーと言ってはいるが、それは全体から見ての話だ。

 何しろ、シェンガでは誰もが知ってる超有名な神格なのだろうから。

 昨日の壮行式では散々にコノハ様コノハ様って騒がれてたし……。

 

「じゃあこうすればいいだろ」


 そういうと同時にコノハさんの体が縮む。十歳くらいか?

 年齢を下げるとか滅茶苦茶してるんじゃなかろうな……。

 

「いや、これは活身術の一種だ」


「どうやるんですかそんなの……」

 

 肉体を一時的に成長させるのはまだ理解の範疇ではある、常識の埒外の現象ではあるが。

 しかし、肉体を一時的に退行させるのはどう考えてもおかしい。骨とか筋肉とかどうなってるんだ……?

 

「そんなものは知らん。今試しにやってみたら出来たんだ。オレって時々スゲーな……」


 普段からスゲーよ、色んな意味で。というか、分かってないのにやったのか、そんなふざけたこと。

 

「まぁ、とにかく出来たんだから仕方ない。ほら、町に行くぞ」

 

「ああ、はいはい……」

 

 この人の事だから断ったら強制連行だろうしな……。

 オレは大人しくコノハさんの言う通り、玉藻とコノハさんを伴って町へと向かうのだった。

 

 

 

 町は昨日の壮行式の影響でか、人通りが多くなっていた。

 最初に町に来た時……シェンガに始めて来た時と比べて、倍近く差があるだろう。

 おのぼりさんよろしく、口を開けてあちこち見回している奴が多い。

 

「えーと、呉服屋はどこだったかいな……普段は反物屋にしかいかねえからな」

 

「その振袖自作なんですか?」


「ああ、これはさっきゴッドパワーで造った」


 何でも出来るなゴッドパワー。ゴッドパワーとか言って適当にごまかしてるだけのような気もするが。

 

「よくわかったな。実際は【トゥルー・クリエイション/上級物質創造】で造ったんだ」


「魔法使えないんじゃ……」


「ゴッドパワーを使えば構成要素のどれを満たさなくても魔法が使えるんだ。オレ単体だと使えない」

 

「ゴッドパワーってなんでもありだな……」

 

「実際はそれほど何でも出来るわけではないのじゃぞ。わしも神格の端くれじゃが、習得していない魔法が使えたり、ちょっと体が丈夫になるだけじゃからな」

 

「お前神格だったのか?」


「この国の稲荷信仰の対象はわしのことじゃぞ。まぁ、わしは分霊じゃから、神通力を使う事はできぬがな」

 

 なんだつまらん。

 

「コノハもそれほど有名な神格ではないからな。先ほど言った通り、魔法が使えたり、身体が丈夫になったり、と言ったくらいじゃろうな」

 

「前に時間操って、オレの髪を黒くしてたが……」


 黒くなれ、と念じれば今でも髪は黒くなる。うむ、やっぱり違和感が凄いな。

 

「それは【タイム・アルター/時間改竄】と【フェノメノン・アルター/事象改竄】の合わせ技じゃろうな。具体的にどうやったのかは分からぬが」

 

 本当にこの世界なんでもありだな……。

 つうか、その二つを組み合わせれば、どんな相手でも殺せるんじゃないのか? チートじゃん。


「無理だ。そもそも、【フェノメノン・アルター/事象改竄】で対象を殺してもパラレルワールドが発生するだけだ。お前の髪色を変えたのは、軽い因果情報だからこそパラレルワールドを発生させながらもその因果情報をこっちに持ってこれた。殺すなんて言う最大級に重い因果情報は持ってこれない」

 

 よくわからんが……大それたことを過去でやっても、未来に戻るとそれは起きた事になってないってことか?

 

「そうなる。そういうことが起きたパラレルワールドが発生して分岐するだけだ。既に確定した事象は殆ど変更できない。お前の髪色の場合、変えても大した問題が発生しなかったからこそだな」

 

「とすると、王族みたいな大きな問題が発生する対象だと出来ないと?」


「そうだな。金髪が特徴の王族の子を銀髪にしたとすると、その子供の関係の殆どが変化するだろうから不可能だろう」

 

 なるほど。あんま使える魔法ではないんだな……とすると、何のためにある魔法なんだ?

 

「作りたいから作ってみただけじゃね? もしくは理論上出来るから作ってみた、とか。もしくは神格が創造して与えたって可能性もあるな」

 

「適当だなー……」

 

「学者なんてそんなもんじゃ。出来ると分かれば、何に使うかはともかく作ってみたくなるもんじゃからな」

 

「ふーん……」


 しかし、服を買いに来たのに、なんで街角で魔法談義をする事になってるんだ?

 改めて呉服屋を探すために歩き回り始めると、程なくして呉服屋は発見することが出来た。

 

 腰の低い店主の出迎えを適当にあしらいつつ、店内を見渡す。

 うーん……なかなか無茶苦茶な品ぞろえだな。

 

「振袖、小袖、襦袢、キャミソール、ジーンズ、トーガ、長衫……」

 

 時代も国も、全てを無視した品ぞろえ。

 そもそもなんでジーンズがあるんだ……?

 

「幌布のズボンか。丈夫そうじゃが、少々野暮ったいな」

 

 幌布……そういえば、馬車の幌布はこんな生地だったな。ジーンズの生地って意外と歴史古いんだな……。

 

「いや待て。これはいいぞ。店主! これくれ!」

 

 オレの意見も全く聞かずにコノハさんがジーンズをお買い上げ。

 そして、店主に鋏とミシンを強引に借りて、何かを作り始める。しかし足踏みミシンなんて初めてみたな……。

 

「ニーナ、わしらはわしらで見ておこう」


「ああ、そうだな。適当にオレも選ぶから、玉藻も適当に選んでくれ」


「うむ、任せろ。おぬしにぴたりなものを選んでやろう」

 

 とりあえず一人でゆっくり見れる状況にして、オレは適当に服を見て回る。

 スカートは履くこと自体は嫌じゃないんだが、野宿したりすることを考えるとやっぱり長いズボンなんだよな。

 上の服も長袖で丈夫な生地がいい。

 

 オシャレよりも実用性。そう考えて選んだのは、緩めのジーンズと麻布のシャツ。

 安物だから壊れても大して心が痛まない。うん、いいね。

 しかし、ほんの数分で選び終わってしまったので暇を持て余す。

 

 数十分が経過した頃に忙しく店中を歩き回っていた玉藻がその手に怪しい服を持って戻って来た。

 

「これじゃ。これがいい。おぬしの魅力的な部分をバッチリと引き立てるぞ」

 

 そういって玉藻が高々と掲げるのは、赤い膝丈のスカートと、腹掛けのような謎衣服。そして、振袖の袖部分だけを切り取ったようなアームウォーマーっぽい何か。

 

「そのアームウォーマーみたいなの流行ってんのか……?」

 

 確か、リンと最初に会った時に会ったコノハが同じのをつけてたような……というか、袴じゃなくてスカートなのを除けばまるっきり一緒じゃねえか?

 

「わしはこれがいいと思うんじゃ」

 

「いや、え、うん……」

 

 これ背中丸出しになるよな? 防寒性も防虫も何それおいしいの? って具合なんだが……。

 

 なんともコメントできずに困っていると、今度はミシンを借りていたコノハさんがその手に衣服を……。

 

「どうだ、ニーナ。これこそがお前に相応しい服だ……!」

 

 そういってコノハさんが掲げたのは、デニム地のホットパンツと伸縮性のありそうな記事で出来たチューブトップ。そして木綿地らしきジャケット。

 ここはファンタジー世界だぞ……そもそもそれも防寒性も防虫もクソもないじゃないか。

 

「さて、では誰の衣服がいいのかを多数決で決めるぞ」

 

「それオレの勝算無くありませんか」


「お前の意見なんてどうでもいいんだ」

 

「オレの服なのに!?」

 

 ひどい話だ。というかひど過ぎる。

 

「さて、では、いっせーのーで誰の服がいいかで指差すぞー。いっせーのーで!」

 

 そして、指差された服は……。

なんとか今日中に間に合いました。

なにやらどうでもいい話の割合が多く、分量の割には何も起きてませんが……アンケートを取ろうと思っていたのでちょうどいいです。


アンケートはずばり、ニーナの服はどれがいいか、です。

ちなみにこの服は、普段着として着ます。なので鎧の下にも着ます。


①ニーナのが選んだダサいジーンズと麻布のシャツでいいんじゃね?

②原型を留めてない和服モドキみたいな服でいいんじゃね?

③ファンタジー世界である事を完全に無視したホットパンツにジャケットでいいんじゃね?


アンケートは感想か拍手の方でお願いいたします。



ちなみにジーンズは元はキャンバス地と言って、キャンバスや船の帆に張る布などに使用されていた布で造られていました。

細かい話は省きますが、それをインディゴ(藍)で染めたもので造ったのがジーンズです。


要するに、過去の日本でも作れたでしょう、という事です。だからシェンガにジーンズがあってもおかしくない!


いいわけ終わり。

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