21.5話 ニーナが消えたあと、リンとコノハの稽古
むらっと来たのでジャッと書いた。この話だけ三人称です
閑話で、リンとコノハの稽古で何があったかの話です。
管理が死ぬほど面倒だったので、泣く泣く箇所を変更。
リン。このシェンガにて最大の知名度を誇る神社――諸外国では教会と呼ぶ――の巫女にして、奉られている神格の養女であり、同時に剣士である。
彼女が剣を習い始めたはじまりは単純なもので、彼女が物心つくより以前から人々に剣を教えていた養母と触れ合う時間を増やすためであった。
もとより自身と触れ合う時間は作ってくれる人であったし、寂しいと言えば一日中傍にいてくれた事もある。
しかし、幼心に母の邪魔をしてはならないと悟った彼女は自身も剣を学ぶことで接する時間を増やそうとした。
それに対して彼女の母は否やを返すことは無く、極々普通に剣を教えた。
始めは木刀を握らせ、素振りをさせた。
彼女の母の教えは実戦に即したものであり、同時に厳しいものだった。
剣の振り方を覚えるなら剣を振ればいい。剣を振るうに適した筋肉を作るには剣を振ればいい。そんな至極単純な考えから出た鍛錬ばかりが続いた。
最初は素振りを。数か月そればかりが続き、やがて打ち込み稽古が始まり、次第に同等の腕前の者との掛かり稽古と地稽古が行われるようになった。
走り込みや筋力の鍛錬などは殆ど行われなかった。
剣を扱う力を得るなら剣を振るしかない。
それ以外の能力が得たいのなら自分で勝手にやればいいとだけ告げられていた。
そしてリンは剣だけを振り続けた。ひたすらに、地稽古を想定した鍛錬ばかりを積み続けた。
彼女の母の教えは人によって異なった。
適当に学ぶのなら彼女も適当に教えたし、真剣に学ぶのなら彼女も真面目に教えた。
そしてリンは真剣に剣を学んだ。
真剣に学べばそれだけ母が喜んでくれて、褒めて貰える。
それだけに一身に剣を学んだ。
教えがよかったか、あるいは才能があったか。
約五年の歳月をかけて教えを身に着けた頃には同年代は当然のこと、一回り年上の者でも彼女に敵う者は早々居なかった。
一刀を用いた戦闘は無論のこと、小太刀二刀を同時に用いた防戦主体の闘法、素手による戦闘方法も身に着けた。
未だ未熟ではあるものの、戦闘技巧者として齢八歳にして充分な技術を身に着けたと言えるだろう。
そして、武者修行の旅に出た。出た理由はと言えば、何とはなしに彼女の母が語った話が理由であった。
彼女の母は齢七歳にて武者修行の旅に出て、数々の強豪と戦った。そして十の半ばに達する頃には故郷で自身に並び立つ腕前の者は居ない程に達したと言う。
であれば、自身もまたそのようになりたいと思ったのが武者修行の旅に出る理由であった。
何よりも誇らしい自身の母のようになりたい。母の威光に恥じない娘でありたいと言ういじらしい想いからである。
旅に出るにあたり、何故かさんざんに痛め付けられた様子の少女――実際には少年――が簀巻きで差し出され、途中まで同行して貰えと言われた。
同行して貰え、という割には、その少年……伯父に対してお前に拒否権ねーから! と言っていたのは些事なのだろう。たぶん。
さておき、叔父であるその少年と共にまずは最も近い町へと向かいながら強い者の話を聞き集めた。
年に数度と言った頻度でしかあった事のない間柄であっただけに最初は少しばかり気まずくもあったが、その伯父が人見知りしない性質であったためにリンと伯父はすぐに旧知の仲と言える程となった。
その後の事に対しては詳しく語る必要はないだろう。
さて、紆余曲折の末に一度故郷に舞い戻り、数か月振りに母の稽古を受ける事となったリンは、かつてない程の苦境に立たされていた。
命の危機があるのかと言えばそうであるとはいえない。
しかし、幾千の敵に囲まれるよりもなお辛い戦いであろうと思えるほどの苦難に満ちているだろう。
なぜならば敵は自身の母。
この国の守護神にして最強の武神、エル=シルト=コノハ。
光に属す側である神であることを示すエル、女性神であることを示すシルト、そして神格の名であるコノハ。
単純な名であったが、彼女の事を知らぬシェンガの民は居ない。
七百年前の大分裂戦争よりも以前、神話の時代に於いて引き起こされた最終戦争の英雄にして、護国の英雄。
剣一本を伴に、たった一人で戦場を渡り歩き、やがてはシェンガを一人で護りぬいた護国の英雄。
群雄割拠の時代であった最終戦争の折の人間たちの戦力は現在と比べれば遥かに高く、一騎当千の英雄という者もまた無数に存在した。
そんな者たちが無数に存在する戦場をたった一人で渡り歩き、その美貌を毛筋ほども汚すことなく、勝利し続けた剣士。
シェンガに攻め込んだ八万四千の巨人の軍団を一人で鏖殺せしめた最強の剣士。
それこそが、彼女の母であるコノハであった。
現在でも最強の名を以て君臨し続ける剣士とたった一人で立ち向かわなくてはならない。
自身に本気を出すことなどないと分かってはいる。それでも勝ち目などかけらもない。
如何に未熟なリンでも、彼我の戦力差の把握程度は出来る。
リンの算出した戦力差は真実絶望的なものだった。
自身の力が十とするなら、相手の力は億や兆の単位に達していると分かる。いや、それですらも本気でない可能性が高い。
自身の手に握られている剣の何と心許ない事か。
旅立ちに際し母より授かった剣と、その母の握る異様な長尺の刀に差は無い。
いや、むしろ、自身の握る剣の方が武器としては遥かに優れているだろう。
強力な不壊の魔法と何らかの魔法がかかっている剣は品質で言えば大業物であり、対する母の剣は何の魔法もかかっていない、精々が業物に近い数打ち刀だ。
だが、その数打ち刀で八万四千の巨人の軍勢を斬り殺したのだ。
武具の優劣では埋めることが不可能な程に力量に差がある。
既に自身の友である金髪の少女、ニーナは微塵に切り裂かれて消えた。
唐突に、二十近い体躯にまで変貌して、ほんの少しだけ打ち合って、一瞬で斃された。
二人がかりで攻める事は出来ない。たった一人で立ち向かわなくてはならない。
「ッ――――!」
考えれば考える程に絶望的な状況。
しかし、そこには確かに意味があるはずだ。
普段の言動の全てに意味がないと思えるほどにふざけた人ではあるが、稽古に於いてふざけた事など一度もない。
であれば、自身はただ一心に立ち向かえばそれでいい。
戦うこと。それが刃を執る者の使命。
互いが剣を執り、相対している。であれば、もはや戦う他にない。
「行きます!」
呼気を発し、同時に踏み込んだ。
構えは【天の構え】。大上段に剣を構えた、格上の仕手相手には半ば捨身の構え。
しかし、攻守に秀でた【人の構え】であろうが、防御を主体とした【地の構え】であろうが、いずれにしろ一刀の下に斬り捨てられるのは想像に難くない。
であれば、攻め込むに適した【天の構え】以外の択は無い。
故に、大上段に構えたリンは一気呵成に踏み込み、その刃を振り下ろした。
毛筋一本分でも速く、ただ全力で振り下ろす。
強剛な一撃。あらゆる一切を断ち切らんという意思を込めた刃、【剛断刃/ゴウダンジン】。
その一撃をコノハは自身の握る剣にて受け、流した。
涼やかな、鉄の滑る音。
振り下ろした大上段の一撃を流された以上、致命的な隙を晒すことは避け得ない。
元より断ち切る事に重点を於いた一撃。二の太刀など考えぬ必殺の意思を宿した剣だけに、こうまで見事に受け流されては反撃は必至。
咄嗟に、リンは我武者羅に身を引き、籠手に覆われた左腕を首筋へと差し出した。
直後、激しい激突。
旅立ちに際しコノハがリンへと送った籠手、名を【忍冬】。
一流の職人の手によって牛皮から作られた籠手は軽くとも十二分な防御性能を保有し、リンのそっ首を叩き落とすはずであった一撃を受け止めていた。
「(手加減、している? 私でも十二分に立ち会える程度の強さに……)」
金属で出来た刀剣を真っ向から切り裂く一撃を放てるだけに、牛皮で作られた籠手が切り裂けぬ道理は無い。
であれば、それは手心を加えている事の証左に他ならない。
しかし、娘可愛さに手心を加えるほど優しい人間ではない。
なら、一体なぜ自身でも立ち会えているのかとリンは自問する。
続けて繰り出される刃を引き寄せた自身の剣にて受け、鎬を削るような剣戟を交わす。
リンの剣には強力な不壊化がかかっているために、薄く研ぎ澄まされたままでも正面からぶつかっていける。
しかしコノハの執る剣にはそのような魔法がかかっていない。
そのため、的確に刃を鎬で斜めに受け、流す。
稜線に沿って過不足ない角度で流され、勢いを殺された上で弾かれる。
その動作によって剣には僅かな損傷しか発生しない。
戦いの渦中に於いて数十分の一秒単位の動作が要求される技を容易く連続で行い続ける。
それだけでコノハがどれだけの技量を保有しているか分かろうもの。
このままではリンの体力が先に尽きる。
元より大人と子供。体力の優劣は大きく、またリンは果敢に攻め立てているのに対し、コノハは受けに徹し、全てを最小限の動作で流し続けている。
「くっ、おおおっ!!」
リンが咆哮を上げ、横合いからぶち当てるように剣を薙いだ。
その一撃をコノハは剣を上向きにすることで避け、後ろに跳んで距離を離す。
リンもまたコノハと同時に後ろに跳んでいた。
体力をいたずらに消耗するだけの状況を、とりあえずとは言え打破する事に成功したリンは荒い呼吸を整えながらも剣を再び【天の構え】へと持っていった。
「リン、お前は、何を考えて戦っている?」
唐突に、コノハが問いを発した。
その問いに暫し戸惑いながらも、リンは答えを返した。
「何も……無心で、ただ最善の行動を」
無心であれというのは誰もが言う言葉だった。
剣を執り、敵へと立ち向かうに際し、敵を強しと見て恐れず、敵を弱しと見て侮らず。
恐れは恐慌によりて剣筋を逸らせ、侮りは満身によりて剣閃を鈍らす。
されば、敵を敵として捕え、ただ己の全力を以て打ち破る。それが剣を執る者の心構え。
「阿呆。そんなもんただの建前だ」
そして、シェンガにて最強の剣士はそれを下らんと切って捨てた。
「剣を執った理由があるなら、それを抱き続けろ。オレは最初は頼まれて……だが、やがて牙無き者の牙となるために剣を執った。そしてオレは己が使命を果たし、摂理に挑む刃たらん為に剣を執った。この世を生み出した摂理……神に挑む刃だ」
そこには何のてらいも、ふざけも無かった。ただ真剣に、神に挑むのだと宣言していた。
誰も名を知らぬ、この世を生み出した神、超越神格。そんなものに対して挑もうとしている。
創造主に対する被造物の反逆。そんなものを正気で、真剣に語っている。
「オレは負けるなんてこれっぽっちも考えていない。なぜなら、オレは、勝ちたいから」
「勝ちたいから……?」
勝ちたいから、負けるなんて考えていない。
それは子供の駄々にも等しい理屈だ。
いや、そんなもの理屈にもなっていない。ただの暴論だ。勝ちたいと思い、負けると考えなければ勝てるなんて理屈が通るわけがない。
だが、彼女はそれを証明し続けた。
ただ自らの力を以て最強を証明し続ける。
勝ちたいから、勝ち続けたいから、最強でありたいから。
だが、ただ想うだけで成せるのならば誰も苦労などしない。
彼女は勝つために自身に相応の修練を……常軌を逸した修練を課し続けて来た。
そして数々の強敵と戦い、己を鍛えて来た。
誰よりも何よりも、自身に、剣に厳しくあり続けた。
剣という人を殺めるだけの利器に、生涯を賭して来た。
勝ちたいから。
言葉にすれば単純なその想いだけを糧に彼女は己を鍛え続けて来たのだ。
数え切れないほどの長い歳月を、ずっと、ずっと、己を鍛え上げる事だけに費やしてきた。
「リン、お前はなぜ剣を執った。いや、理由など知っては居る。なら、お前はその想いに如何様にして答える。勝つことでそれを証明するのか? あるいは、護る事で。あるいは負ける事で証明するのか?」
「わ、私は……」
リンが剣を執った理由は、ただ母の傍にいる為に。
そして、母が喜んでくれるから、褒めてくれるから剣を執り続け、自身を鍛え続けた。
そこに自身の想いなどあってなきようなもの。
剣を握って、振っていれば、母が褒めてくれる。それだけの理由で剣を執っていた。
強くなれば褒めて貰える。喜んでもらえる。そんな理由で、剣を執り続けた。
その想いに答えるとはつまり、ただ漫然と剣を握っているだけか?
それは、何かが違う。
何がどう違うのかは分からない。だが、間違っているという事だけは理解できる。
自身がただ漫然と剣を握っているだけで、母は喜んだりなどはしない。
強くなる事で母はリンを褒めた。それだけの努力をしたリンを褒めた。
ならば、強くなることが理由なのか?
勝つことでも、負ける事でも、護る事でもなく。ただ強くなることこそが、自身が剣を執る理由なのか?
リンは己に問うた。強くなる事こそが剣を執る理由なのかと。しかし、それもまたやはり違うと直感した。
なぜ剣を執り続けたのか。それはやはり、母に褒めて貰えるからという単純な理由からだ。
であれば、やはり自分は母に褒められるために、剣を執り続ける。
根源はそれでいい。自身の母だって、最初は頼まれて剣を執ったと言う。なら、褒められる為に剣を執って何が悪いのか。
強さは強さ。得たものは得たもの。邪剣だろうが何だろうが、強さに違いはない。
要は、自身の心を動かし続け、剣を執り続けるための動機があればいい。
母に褒められる為に剣を執る。それでいい。リンはそう結論付けた。
「母上」
「なんだ?」
「強くなれば……あなたは私を褒めてくれますか?」
「そう言われるとなんか褒める気なくすな」
そういえば、母は結構な捻くれ者だった、とリンは笑った。
であれば、行動で以て証明する。褒めざるを得ないように。
そう、それこそ、自身が母を打ち倒す程に強くなったことを証明すればいい。そうなれば、自分のことを絶対に褒めてくれるとリンは確信していた。
「(そう――――勝ちたい!)」
勝って、褒めてもらいたい。よく頑張ったなと頭を撫でて貰いたい。
だから、勝ちたい。
何が何でも勝ちたい。
「母上、私は今、人生で一番あなたに勝ちたい」
自身の手の中にある剣をしかと握り直し、リンはそう告げた。
その言葉を受けて、コノハは静かに笑みを浮かべた。
「ならば全身全霊を以て来るがいい。やもすれば、この身に届くかもしれんぞ」
そういって、構えを取った。いや、それは正しくは構えとは言えなかったろう。
彼女は今まで柔らかに剣を握り、だらりと脱力した様相から剣を繰り出し続けていた。
その様相自体に変わりはない。だが、気迫が違う。
一瞬でも気を抜けば、隙を見せれば、その首を落とすと気迫が物語っている。
即ち、必殺の意思を篭めた剣戟を繰り出す心持ちでこの場に立っている。
それはただ漫然と刃を繰り出していたものとは異なる。
一切の油断も何も無く己と相対している事をリンは悟った。
ただ漫然と刃を振っている時ですら手も足も出なかったというのに、ここにきてその思いで戦われてはますます勝ち目など無くなっている。
それでも、リンは勝ちたかった。
「行きます――――!」
初手は袈裟がけの一撃。その一撃は同様に受け流される。
そして予定調和のような剣戟が交わされる。
リンが放てば全て受け流される。時折思い出したように、だが必殺の鋭さを持った刃をリンを仕留めようと迫る。
それを時として受け、避ける。一つでも間違いを犯せばその瞬間に付け込まれ、地を転がる事となる。
しかし、それを乗り越えなければ勝利を掴むなど夢のまた夢。
勝ちたい。
その想いだけが神憑りな程の集中力をリンにもたらし、遥かに格上であるコノハと渡り合う事を可能としていた。
無論、それも手加減の上でのこと。それでも、リンの腕前でコノハと渡り合うと言う事自体が驚嘆に値した。
しかし、それも長くは続かない。如何に神憑り的な集中力を発揮したとて、その集中力が持続する時間は酷く短い。
致命的な失敗。受け流され、後ろに跳ぶ瞬間、地を捕え損ねた。
滑り、体勢を崩し、飛距離も足りない。
次の一撃を受け切れない。避ける事も叶わない。
「(勝ちたいっ!!)」
それでも、勝ちたかった。活路を見出すことは出来ない。それでも絶対に勝ちたい。
何が何でも勝ちたい。どんな無茶苦茶な方法でも勝ちたい。
だが、迫る刃がそれを無為にする。
リンのそっ首を刎ね飛ばす為の一撃。腕を差し出し、籠手で受け止めるのも間に合わない。
もはや運命を受け入れ、首が落ちる事を認める他ない状況。
だが、リンは諦めない。
絶対に、絶対に勝つのだ。
自慢の母に、自慢の娘と思ってもらえるように。強くなったことを証明したい。
だから、勝ちたい。
勝って、褒めてもらいたい。よく頑張ったなと言ってもらいたい。
勝ちたい――――!
そして、その想いが、肉体を凌駕する。
研ぎ澄まされた精神が、勝利を渇望する心が。
その脆弱なる身を精錬し鍛えられた鋼の如く変貌させ、五体を鋼と成す――――!
名をつけるならば【神文鉄甲】。
脆弱なる人の身が鋼の如き強靭さを、硬さを発揮する。
あり得るはずのない結果、力。それを成したものこそ、人の持つ可能性、無敵の力。
想い。それこそが人の持つ唯一絶対の力にして無限の可能性。
不可能を可能とし、何物をも凌駕する力を発揮する源。
もしも、何者にも屈する事なき想いを得られたのなら。
――――それは、空想でありながら世界すらも変革させる最強の座へと至る。
故に、そのそっ首を叩き落とすはずであった刃は弾かれ、限界を超えた力で、リンは神羅万象一切を切り捨てんが如き一撃を放った。
甲高い金属音。
何かが空を裂く音が響き、その音を発していたものが地へと突き立つ。
異様な長尺の刃。その刃が地へと突き立っていた。
「や、やった!」
リンがコノハの握る剣を見て、そう叫んだ。
コノハの握る剣は根元から圧し折れ、その異様な長尺の刃を失っていた。
「最後まで油断するな。重要なのは残心って言ったろう」
そう言いつつもコノハが自身の手に残っていた剣の柄を投げ捨て、その手でリンの頭を撫ぜた。
「だが、よくやった。最後の一撃は会心の出来だったぞ。流石はオレの娘だ」
そう言って、コノハは笑った。
そして、それに呼応するようにリンも笑った。
「さて、これで稽古は終わりだ。目を覚ますぞ」
「はいっ!」
こうして、リンの稽古はまた新たな力を得る事で終わりを告げ、二人は現実へと立ち返って行った。




