出撃、SAF
俺は月の光に照らされた、寒空の下に立っている。
珍しく緊張しているようだ。
普段は感じることのない高揚感にも似た気分に襲われながら、俺は命令が下るのを、ずっと待っている。
俺はなぜこんな気分になっているのだろう。
『ここに入る前』にもこんな気分を味わった気がする。
これから、戦いがはじまるというのに―――。
一ヶ月前、俺は小高い丘にいた。
日はとっくに沈み、あたりは明かりもなく、冷え切っている。
「こんな『力』さえなかったら、こんなことしなくてすむのに、
なんで俺はこんな『力』をもっているんだ・・・」
俺は特殊な能力を持っている。それは生まれつき持っているもので、よくわからないし、うまく説明することもできない。少なくとも、この能力さえなければ、もっと普通の暮らしができたろうし、まともに働くこともできただろう。
不満たらたらでいつものように任務を遂行しようとする。
だが、その日はいつもとは違っていた。
満月の夜、当時は敵だったその部隊を前に、俺は戦っていた。
「聞いてた話と違うぞ、どういうことだ!」
オペレーターに向かって声を荒げる。
「俺はこいつらを壊滅させて、集落を守るようにいわれていた!
だがこいつら、俺を攻撃するどころか、捕まえようとしてきやがる!」
やばい、このままいけばつかまってしまう!
つかまればどうなるかわからん。それだけは勘弁だ。
―――?敵の部隊の司令官らしき男がこちらに向かって何か話しているようだ。
「おとなしくしろ、我々は国連直属の特殊能力者部隊『SAF』のものです。
あなたをわが部隊へ向かえ入れ、保護します。」
―――? よくわからん・・・
SAF? なんだそれは? 聞いたことがない。 国連直属?
俺は混乱してなにもわからない。とりあえず、オペレーターに取り次ごう。
「親父、どういうことだ!?相手はよくわからんことを話している。
情報が足りん!」
オペレーターこと親父は一度、深く長い息を吐いて、俺に言った。
「これが今日の作戦だよ。この部隊にはいれば、お前がこうして、毎日毎日苦労する必要もなくなるんだ。親として、精一杯悩んだ結果なんだ。
お前みたいな力を持った人間が、普通に生きていくのは難しいことだ。
それはお前もよくわかっているな?こうするしかなかったんだ・・・」
こうして俺は、この特殊能力者部隊『SAF』に入隊し、そこの特別対応班に配属された。
「そろそろ作戦開始だそうだ。入隊一ヶ月で実戦とは同情する。
敵戦力に対しておさらいしよう、敵の主力は―――」
彼の名前は、ダニエル・ワイズマン。階級は軍曹で、俺の指導係兼パートナーである。
「スサノオ・・・?聞いていたか?」
いかん、説明口調になっていて聞いていなかった。
そして、おれの名前はスサノオ・リョウスケ。一応ジャパニーズの名前だ。
「すいません、軍曹・・・聞いていませんでした。」
こういうときは素直に謝っておいたほうが良いに決まっている。
変に言い訳するのは性に合わない。
「そうか、まあいい。だが、実戦においてはそうは行かないから、気をつけてくれよ?
いきなりパートナーに死なれたとあっちゃな・・・
俺は、昔組んでパートナーにs―――、」
《こちらCM1、これより作戦内容及び、最優先事項を伝える。》
無線からいきなりの命令が下る。ノイズが酷く、声の主を特定することは俺にはできなかった。軍曹の過去の話も途中で遮られ、俺たちは与えられた任務を遂行すべく、目的地へと向かった。
正直なところ、今回の任務は実戦とはいえ麻薬の流通、販売を阻止することだったので、
銃でドンパチすることもなく、比較的簡単に、すんなりと終わった。
基地内でパートナーで上官のダニエルや、ほかの仲間との談笑のすえ、俺は、気づけば
自室で眠っていた。誰かが連れてきてくれたのだろうか?
―――だめだ、全然覚えていない。酷く酔っていたような気がする。
さっき飲まさせられたジュースは酒だったのだろうか?
俺は一応十七歳の未成年者なので、飲酒は避けておきたかったのだが・・・
未成年者の飲酒は脳が萎縮して、判断が鈍る恐れがある。軍人としてそれは避けたいことだ。
ピ―――――――――!!!!
いきなりの警報に身を縮める。なんだ?なにがおきたんだ?避難訓練かなにか・・・ではないようだ。警報音の後にすぐ放送がなる。
《緊急事態だ、東居住区にて大規模なテロが発生した模様。SAFはただちに発令所に集合せよ。
繰り返す、SAFはただちに発令所に集合せよ。》
―――東居住区・・・!?
俺や親父が住んでいた居住ブロックだ!いや、親父はまだあそこに住んでいる!!
「いやな予感がする・・・」
俺は急いで発令所に向かった。
つづく
はじめまして。初めて小説というものを書かせていただきました、shautです。
まず小説になっているかも微妙ですが、アドバイス、感想等いただけるとありがたいです。




