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断罪イベント365ー王子編

断罪イベント365ー会場が工事中

作者: 転々丸
掲載日:2025/09/23

この国の王子は、365日断罪イベントのことしか考えていない王子なのです。

今日も断罪イベント始まります。

断罪イベント当日。

高鳴る鼓動、見守る観衆、涙ぐむ婚約者、そして──


「……って、え?」


馬車を降りた王子が、思わず言葉を失った。

広場だったはずの場所は、

今や巨大な足場とシートに覆われた**工事現場**と化していた。


あちこちに「立入禁止」「足元注意」の札。

空には足場を覆う青いネットが風に揺れ、

足元には転がる木材、セメント袋、


そして……


「トンテンカンテン! はい、どいてどいて〜、

そこのお兄ちゃん危ないよ!」


陽気な作業員が、ヘルメットをかぶったまま王子に声をかける。

その手には巨大なハンマー。後ろではユンボが唸りを上げている。


王子はお付きの騎士にこっそり耳打ちした。


「……ここ、本当に断罪会場で合ってるのか?」


「はい。間違いなく、いつもの公開断罪イベント会場でございます」


「いつものって、こんなだったか!?」


苛立ちを隠せない王子の背後で、例のコンサルが悠然と歩いてきた。

片手に持つ巻物の資料には、こう書かれている。


『断罪イベントリハーサル会場スケジュール

再調整案(最新版ver9.4)』


「おや、殿下。いかがでしょう? 

“未来の断罪を、もっと効率的に”をコンセプトに、

リニューアル工事を進めております」


「なんだと……?」


「こちら、特設の映像装置を導入予定でして。

あの壁の裏に観衆が収容され、

感情の動きに応じて照明が変化するなど──」


「今やるな!!」


王子の声が現場の反響板に響き、

カーン!というハンマー音と同時に鳴り渡った。

 

観衆は、いつものように整然と並ぶどころか、

仮設の足場に迷い込んだり、

トイレと間違えて工具倉庫の扉を開けたりと大混乱。


「すごいね、あの人、空中で叫んでる!」

「違う、足場の上だよ!」

「推しの断罪見たかったけど……

これ、推しの工事見学会じゃん……」


婚約者は、足場の隙間から降ってきた木屑を払いつつ、小声でつぶやく。


「ねえ……これ、いつ断罪されるのかしら?」


その隣で、黒幕令嬢は憤然と叫ぶ。


「工事してるって知ってたなら、

事前に教えなさいよ! この日のためにドレス新調したのにッ!」


「お嬢、木屑が! 頭にノリ付いてます!」

 なぜか職人たちの間では、黒幕令嬢のドレス姿が

「今どきの現場監督っぽい」と話題に。


もう、誰も断罪のことなど気にしていなかった。

陽も傾き、足場の影が長く伸びていく中、王子はぼそっとつぶやいた。


「……帰ろうか。今日は、無理だ」


「では、次回のリハーサルに向けて、資料を準備いたします!」


「……だから今やるなって言ってるだろ!!!」



教訓:スケジュールは共有しましょう。


黒幕令嬢のドレス姿、大人気。

ファッションリーダーとしての地位を築く。


読んで頂き、ありがとうございますm(_ _)m

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