ボサ テーラとの出会い
ノヴァは変装して怪しい風体になっている。 その姿で、プレストンとアカリと一緒に、王都内の職業紹介所までやってきた。 二人はノヴァの護衛の代わりだが、人よけ効果はすごかった。
職業紹介所は、すごい人だかりになっている。 今まで、怪我の後遺症や病気で働けなかった人たちが、オークリンの魔法のおかげで一斉に働けるように回復したのだ。 これからは、選ばれた人だけが砂漠まで行っていたのが、王都で回復できるようになる。 便利な世の中になったものだ。
でも、それって私のおかげ? 影響あるよね。 自分の成果が見えたようで、ノヴァは喜んでいる。
職業紹介所に集っている人を見渡すと、様々だ。 体力勝負でやっていきそうな人。 信頼できそうな雰囲気の人。 身なりのいい人。 着の身着のままの人。 だが、皆活気に満ち溢れている。
どんな人がいいんだろう? 護衛だから強い人じゃないとダメだよね。 でもパッと見わかんないな。 しかも式典とかもあるから……見栄えも必要か……。 うーん? うーーーーん?
悩んでいるノヴァを見てアカリは楽しんでいたが、さすがに放置するわけにもいかないか。 「いい、姿勢のいい人を探すのよ。あとは人に敬意を持って対応できる人。」 「人に敬意を持って接することができない人は問題外よ。姿勢を修正するのは果てしない訓練が必要。でも、身なりや見た目など、後付でどうにでもなるものはそんなに気にしなくていい。」
なるほど、話してみないと分からないってことか。 「ちょっとお兄さん、仕事探しに来たんだったら俺の話聞いてくれる?」 多くの人に声をかけたが、皆、話も聞かずに逃げていく。
「おねーさん!強い?」 女性に声をかけても、びっくりされて逃げられる。
プレストンとアカリが、探したい人物の希望を伝えていると、窓口担当の人が背後を見て、「あの方の、護衛ですか?」と、ノヴァを指さした。
!!! 「違います!」 ノヴァは即答し、「後日条件をまとめて、正式に依頼に来る」と言って立ち去り、そのまま足早に職業紹介所の出口に向かった。
それに気づいたプレストンが、背後から大きな声で呼びかける。 「プレストンさーん、アカリ!待ってくださいよー!」 アカリは顔を真っ赤にして、聞こえないふりをして出ていった。
周りのニヤニヤした視線が痛かった。 ほんとに、もう恥ずかしい……。
職業紹介所から出ると、声をかけられた。 「アカリ?」 そこには、アカリの近衛魔法士団時代の後輩がいた。 えっと、名前はなんだたっけ? 確か土系の魔法が多彩で、すごく重宝がられていた。 プレストンさんが近衛魔法士団に来た頃、極大魔法習得が盛んだったときに、魔法の暴走で両足を持っていかれ、「ちくしょー!脚が短くなった!」って大声で叫んだ……。
「相変わらずですね。そういうのは声に出さないでくださいよ。テーラですよ。ボサ・テーラ。」
そうだ!ボサちゃんだ!ということは……アカリはひらめいた! ノヴァと一緒に組ませれば……!
アカリは楽しみで仕方がない。
「ところで、ボサちゃん、ロイヤルヴァルトの護衛とか興味ない?」 「ロイヤルヴァルト!私、オークリン様の魔法のおかげで、脚が治ったんです!オークリン様の護衛ができるなんて光栄です!」 ボサは興奮している。
いやいやいやいや!ちゃうし。
「ボサちゃんに護衛してもらいたいのはこちら!ノヴァです!」 「あれ、この人、オークリン様の隣に立ってた、露払いの人?お相撲の横綱の前で兼を持ってる役割の人よね?」
「でも、よく聞いてねボサちゃん。この子めっちゃアホなの。もし、あなたが辛抱強ければ、ここでは話せないけど、素晴らしい経験をすることができるわ。」
ノヴァは「アホ」と言われたことを怒っているが、「お城で詳しい話をしてくれる」そうだ。 「このノヴァって人、結構、結構大変そうな人だな。大丈夫かな。」
アカリさんは、人を貶める人じゃないし、隣にいたのもプレストン本人(ワイプアウトではないと修正)だから、ロイヤルヴァルトって話も信じて良さそうだ。 「まず、話を聞いてみよう。」
ボサ・テーラと共に、世間話をしながらお城に向かった。




