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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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クリスタルソードの力

碧い空、蒼い海。唱えられる感じの悪い詠唱。 「我が主神 サドミストよ。この美しき世界に海の魔物を活性化させた大馬鹿者がおります。そやつの尻拭いをする力を我に授けたまえ!フェニックス!」

数百羽のフェニックスたちが、綺麗な景色の中に現れた魔物たちを一気に駆逐した。 船団は注目しているが、火山には影響なさそうだ。

ミツルアの要望で、次にノヴァがプレストンと連携して魔法を発動した。 前方の洋上に爆炎が噴き出すと同時に、火山のいたるところから爆炎が吹き出し、地面を揺らした。

こ、これっは... ミツルアは興奮している。 「次もフェニックスでお願いします」 ノヴァがプレストンと連携して魔法を発動した。

船からは一羽のフェニックス。 火山からは数百羽のフェニックスが飛び出し、島々を焼き尽くしている。

間違いない! プレストンの周りに展開するはずの極大魔法が、火山から吹き出している。

カタリーナ、プレストン、オークリン、ノヴァの組み合わせを各種試したあと、島に上陸した。

◇◇◇◇

島の付近での実験で、魔法が吹き出しているのは噴火口であることは確認できた。 上陸して、まず噴火口に向かった。

噴火口を覗き込むと、奥深くに何か光っている。 オークリンの魔法の効果で灼熱ではないが、度重なる噴火と暴風の連続で、岩壁が脆くなっている。 奥まで行きたいが、危険だ。(※「気になるが、危なそうだ」を統合)

どうすべきか話し合っていると、突然噴火口の底が強く輝いた。 それに呼応するように、ノヴァのクリスタルの剣が輝いた。 全員が驚いていると、眼の前の景色が揺らいだ。転送だ!

ごつごつした岩の洞窟の横穴だ。 ここは...既視感がある。 さっき見下ろしていた噴火口の底に、近距離転送された! 周りを見ると、全員揃っている。 眼の前には、輝く大きなドラゴンのクリスタル像があった。

ドラゴンのクリスタル像が現物のクリスタルドラゴンに変異するのは、ノヴァのレポートで全員が知っている。 念のため、全員クリスタルのドラゴン像の背面、横穴の奥側に移動した。

緊張してドラゴン像に注目していると、横穴を外から、眩い光が差してきた。 横穴の外に、クリスタルドラゴンが現れた。

予想外の事態に動揺しているが、プレストンとはお互いの目を見て、意思を確認した。 ノヴァがクリスタルの剣を構えると、剣身が輝き、振り下ろすと一羽のフェニックスが飛び出した。 だが今回は違った。 フェニックスが飛び出した直後、間髪を置かずに、クリスタルのドラゴン像が輝き、無数のフェニックスが飛び出してきた。 まるで通常の極大魔法の規模だ。

全員が防御結界に守られ安全ではあるが、クリスタルドラゴンはたまらない(たまったものではない)。 為す術なく、灰燼に帰していった。

こんな事って... 今までと違いすぎる。 何だったのだ? もしかして、ノヴァのクリスタルの剣は、魔法を打ち出す道具ではなく、魔法の威力を転送させていたのか? いや、魔法の威力って転送できる?しかも極大魔法を? ここは、海底火山だった場所。なぜ海底にドラゴンのクリスタル像が設置されていた? クリスタルの剣は転送アイテム? なぜノヴァだけできる?

次々に疑問が湧いて出てくる。 オークリンに噴火口の粗熱を取り、状態を整えてもらい。 噴火口から外に出た。 外に出ると、乗ってきた船は、案の定失われていた。 状況を把握したオークリンがぷんすか怒っている。 「プレストンさん!どうして極大魔法を使ったかな!」 顔は笑顔だが怒っている。 「僕は詠唱していない!ノヴァが...」 「自分の魔法が発動したのに、女の子のせいにするなんて最低!」 オークリンの怒りは収まる気配がない...。

◇◇◇◇

2日後、カタリーナが予定日に帰港しなかったので、緊急の迎えの船がやってきて、ようやく帰路に着いた。

カタリーナは島での出来事を思い返した。 クリスタルドラゴンと対峙した時、自分もプレストンに合わせて一緒に魔法を発動させようとし、タイミングが合わず失敗・空振りした。 このことは誰にも語るまい。 絶対にオークリンに知られてはならない...。

「プレストン!今日もいい天気じゃの!」

カタリーナは今日も上機嫌だ。



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