カタリーナもやる!(改正)
クエルクスは呪付与師のバッジを簡単に見せてくれた。 オークリンにしかわからないレベルだが、確かに何かの呪いが込められている。 プレストンを呼んで、見てもらった。 「これは……厄除けだけど、かすかに位置情報も発信している。見守りシステムみたいな感じかな」 (位置情報って……) プレストンに解除できるか聞いてみたが、解除はオークリンの方が専門家だと断られてしまった。 だが、オークリンが解呪したら、バッジがまるごと消滅してしまう。 どうする? 「自分で消すからいいよ」 クエルクスがあっさりとバッジを引き取った。 そこで宴は終わり、オークリンは家族と共に家に帰った。 結局ジェイコフは何もできず、ただ気を揉んだだけだった。 (あのバッジは呪付与師のものか。王都に戻ったら調査するか……)
◇◇◇
翌日、プレストンとノヴァは剣の練習をしていた。 ノヴァが剣から爆炎魔法を飛ばす訓練だ。 今までの訓練で、プレストンの詠唱が完了する直前にも、魔法を飛ばせるタイミングがあることがわかった。今はそのタイミングを掴めるよう、お互いの息を合わせる訓練だ。 これは非常に重要なことだ。 なぜなら、プレストンが詠唱を完了していなければ、たとえノヴァが失敗しても極大魔法が暴発することはないからだ。 これによって、訓練できる場所が一気に広がった。
カタリーナは、その訓練の様子に興味津々である。 「ノヴァが魔法を発射する時、プレストンは何をしておるのじゃ?」 何をしている? 何をしているんだろう? 意識したことなかった……。 「普通に……」 って、説明になっていないな。 プレストンは考えた。自分は魔法の詠唱の前に、主神サドミスト様を思うようにしている。そうすると気持ちが高ぶり、自分の周りの空気が変わるのだ。 それをノヴァが察知して剣を振ると、魔法が発射される。 早すぎると、ただの空振りになる。 以前、詠唱までしていた時は、剣から魔法が発射されるか、プレストンの極大魔法が出るか五分五分だったので、今は詠唱まではしない。
それを聞いたカタリーナは、試しに祈ってみた。 「ノヴァ、わかるか?」 いきなりの問いかけにノヴァはきょとんとした表情をしているが、「わかりますよ〜」と軽く返事をしている。 絶対にわかってないな、こいつ。 カタリーナは、自分の魔法もノヴァに発射できるか試そうとしたが、どんな形で発動するかわからない。 カタリーナは今やりたいという欲求を抑え、高速船で沖合の島に向かった。
到着したのは、干潮の時だけ海面に現れる珊瑚の島。 青い海、白いサンゴ、彼方に見える海底火山の噴煙。 「あの海底火山のおかげで、マグロの海流ルートが変わったのね」 家でゴロゴロしているところを、嵐のように現れたカタリーナに拉致されて、無理やり連れてこられたオークリンがボヤく。 「そう不愉快そうな顔をするな、オークリン。せっかくの島遊びじゃ。超豪華弁当もある。冷却魔法で寿司も刺身もあるぞ! もちろんマグロもだ。楽しもうぞ!」 「マグロ!」 「それなら……仕方がないなぁ〜」 ちょろすぎるぞ、オークリン! さすが王族。軽くオークリンの胃袋と気分を掌握してしまった。
海で遊んで、お昼ごはんを食べて、いよいよ実験が始まる。 ノヴァがクリスタルの剣を構え、その背後に全員集まった。 カタリーナの気配(祈り)を感じて、ノヴァが一気に剣を振り下ろした。 ドォーーーーーーン! 地震のように地面を揺らしながら、前方斜め上に向かって、猛烈な竜巻が一本発生した。 大成功だ、方向もコントロールできている。 予想外に一発で成功してしまった……。
「それでは、プレストンとの二人あわせ技にチャレンジするか!」 極大魔法の二重化……なんかヤバそう。




