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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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呪のバッチ(改正)

宴もたけなわ、満腹感に酔いしれていたオークリンは、ハッとして大切なことを思い出した。 「そうだ、私、姉を監視する役割があったことを忘れてた!」  オークリンが杖を持って姉と一緒に来た本来の目的は、中央教会の教皇が呪われた事件の重要参考人である姉・クエルクスを観察することだ。  しかし、大好物のマグロを目の前にして完全に我を忘れていた。  空白の時間ができてしまったことは……うん、ジェイコフ隊長になんとかしてもらおう。他力本願である。


 とりあえず、ジェイコフに家族を紹介することにした。  両親と姉を紹介すると、皆と談笑し、場が和んだ。挨拶が一通り終わると、ジェイコフはにこやかに言った。 「素敵なご両親と、しっかりしたお姉さんですね」  続いてサンドラ副館長に紹介し、会話をした後、彼女も言った。 「しっかりしたお姉さんがいるんですね」  ノヴァに紹介すると、「しっかりしたお姉さんがいて、羨ましい」と漏らした。  そしてプレストンは。 「お姉さんはしっかり……」 「もうやめて! まるで私がしっかりしていないみたいじゃない!」  プンスカ怒っているオークリンを見て、プレストンは驚いた。 「何、僕の時だけ怒るの!?」  理不尽だが、怒らせてしまったものは仕方がない。とりあえずフォローしなくては……。プレストンは焦って言葉を継いだ。 「お姉さんがしっかりしていると言ったけど、オークリンがだらしないって言ってるわけじゃないですよ? オークリンは毎日休まず仕事に来てるし! 土足厳禁の場所に、靴を揃えてはいないけど、ちゃんと靴を脱いで上がっているし! 机の上はごちゃごちゃに散らかってるけど、どこに何を置いているかなんとなく把握しているし……」


 ドン!


 急にオークリンがプレストンの足を踏みつけ、その口を物理的に封じた。  オークリンの家族は大笑いした。  プレストンは「ワイプアウト」という二つ名から怖い人だと思われていたが、随分とイメージが変わったようだ。  予想外の方向に話は流れたが、結果として和やかな雰囲気になった。


 だがその和やかな空気の中で、オークリンは一瞬、クエルクスから呪いの揺らぎを感じ取った。  発生源は、どうやらクエルクスの胸元、階級を表す徽章からのようだ。 (なんとか、あの徽章を確認したい……どうすれば……)


 オークリンが徽章に注意を向けていることに、ジェイコフも気づいた。  ジェイコフはさりげなく、クエルクスめがけてテーブルの上のグラスを倒したが、それはさっとかわされてしまった。 (ちっ、かわされたか。なんとか上着を脱がせたいのだが)  ジェイコフはエロおやじのように、考えを巡らせ始めた。  部屋を灼熱にして上着を脱がせる、「北風と太陽作戦」?  『バカには見えない上着に着替えさせる』と言いくるめる、「裸の王様作戦」?  あるいは確率任せの、「野球拳」?  ……まともな作戦が一つも思いつかない。どうすればいいのだろう?


 ジェイコフが、どうすれば自然な形で、相手に意識されずに徽章を分析できるかと苦悩している横で――。


「お姉ちゃん、そのバッジ見せて」 「これ? これは『まじない付与師』のバッジだよ。あんた呪に興味あるの?」 「あたし、魔法使うと大事になっちゃうから、魔法以外でなにかできないか探してるところ。呪ってどこで教えてもらえるの?」


 あっさりと解決していた。  クエルクスは、近衛魔法士団内での講習を修了すればもらえることを話してくれた。業務時間外にダルフ隊長が指導してくれて、最後に座学と実技両方の試験に合格しなければ呪付与師にはなれないそうだ。  二人して徽章を外して、あーだこーだ話している。


 その時、ジェイコフは遠い目をして思った。 「気にしすぎた俺が馬鹿みたい……案ずるより産むが易しか……」

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