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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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夏休みの自由研究(改正)

「プレストンさん、来客ですよ」 「誰だ? こんな朝っぱらから……」  別荘内の客間に向かうと、ジェイコフとノヴァがいた。  何事だ!? このメンバーが、こんな早朝に集まるなんて。 「何か事件ですか?」 「ほんと、大事件だったんですよ。ひどいんですよ! ちょっと外出して戻ってきたら、別荘に入れてもらえなくて。わたし、ちっとも悪いことしてないのに」  だいたいの経緯はジェイコフから聞けた。ノヴァに問題があることは、すぐに理解できた。  その時、外の廊下をバタバタと音を立てて走る足音が近づいてきた。この別荘で、こんなに騒がしい音を立てて走るのは一人しかいない。  バン! ドアが勢いよく開いた! 「プレストン、こんなところにおったのじゃな!」  カタリーナ王女である。  なんでも、気象予想魔道士が台風を発見し、明後日にヤエイズルに来ると予想したそうだ。カタリーナの夏休みの自由研究は「極大魔法で台風の進路を変えること」なので、まさに好機チャンスである。  というわけで、ヤエイズル遥か沖の無人島へ向かうこととなった。


◇◇◇


 王室の船は快適である。風魔法を利用して信じられないスピードで進み、あっという間に目的の無人島に到着した。  乗組員たちは手際よくコンパクトな野営の準備を整えると、プレストン、アカリ、ノヴァ、ジェイコフ、サンドラ、カタリーナと侍女、そして気象予想魔道士を残して、船はヤエイズルに戻っていった。  食事の支度も含め、上げ膳据え膳のキャンプ。至れり尽くせりだ。  ノヴァは盛り上がっている。 「こんな贅沢なキャンプははじめてっす! 旅先でのオプションツアーみたいな感じですね!」


◇◇◇


 上陸して盛り上がっているのも束の間、この島での予定が説明された。  カタリーナ姫の魔法の射程は5キロくらい。台風は明日の午前中にこの島に直撃すると予想されている。そこで、台風の中心が近づいたタイミングで、カタリーナの魔法で台風に影響を与える計画だ。  質問を求められた際、サンドラは恐る恐る手を挙げた。 「自由研究なので私がとやかく言うことではありませんが、魔法を使うタイミングと種類はどうなっていますか?」 「うむ、良い質問じゃ。プレストン、そこはどうなっておる?」  カタリーナは、迷わずプレストンに丸投げした。 「明日、台風がきたら適当に何種類か極大魔法を発動して、効果があるやつを見つければいいでしょう」  サンドラは大きなため息をついた。 「それじゃ、台風が来てからの対症療法しかできませんよね。王女の望みは台風の被害をなくすことなので、台風が近づく前になんとかしなくてはいけません」 「そんなこと言っても、いくら極大魔法でも範囲は半径5キロくらいしかないし……」 「それでは、ただの魔法の研究です。ロイヤルヴァルトとしては魔法の効果を探求するのはいいんですが、今回は王女の自由研究なので、台風のことを勉強しましょう」


 気象予想魔道士を呼び、台風の進む方向が何に影響されているかを説明してもらった。  台風はサドミストの遥か海洋上で発生し、南洋高気圧の周りを回って北上してくる。ただし、上空のジェット気流に引っ張られると、速度を上げて一気に移動するらしい。 「台風は、強力な風や高気圧で進路が決まっていくわけか。妾の魔法なら、強風で動かす方が良さそうじゃな。プレストン、どの魔法がいい?」


 どうやら、行き当たりばったりだったのが、ちゃんと計画を意識し始めたようだ。あとは自分たちでなんとかできそうですね、とサンドラは安堵した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ヘルファイアを発動。目標撃破。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 1行だけの報告書。  あれはひどかった……。  サンドラは、プレストンの初めての実験レポートを思い出し、少し楽しい気分になった。

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