プレストンの事(改正)
カタリーナは、自分は極大魔法しか使えない。 だがそれは逆に、他の人にはできないことを実現できるのだと、前向きに捉えるようになっていた。
だからこそ、歴史に名を残す英雄・プレストンと共に、極大魔法を研究できることが誇りであった。
夏休み前、学友たちと夏休みの予定を話した際、プレストンに指導してもらうことを自信満々に話した。 学友たちの反応は様々だった。
羨ましいという者
素晴らしいチャンスだという者
「大丈夫?」と心配する者
カタリーナが気になったのは当然、「大丈夫?」と心配する者たちだった。 その人たちは、街中で反ロイヤルヴァルト運動を見たり、悪い噂を聞いたりして、純粋に心配してくれているのだ。
プレストンは、どう思っているのだろう?
信じていないわけじゃない。 でも、せっかく護った人たちが手のひらを返して、その行為を非難する。 悲しくならないのか?
父や母からは、「例え反対する者がいても、排除してはならない」と言われている。 反対する声の中にも、必ず「幸せになりたい」という想いがある。 その想いを汲み取り、国のために役立てることが大切だ、と。
そう言われても、実際にプレストンが非難されているところを目の当たりにすると、心穏やかではいられない。
父や母は、プレストンのことを「国を護った英雄」と評価している。 ミッドシップ国での事件についての報告書には、「ヴァンパイヤ化した人々がミッドシップに入ってくるのを防いだ功績。やはり英雄である」と記されていた。
国王の護衛で来ているオリビエは、「類稀なる英雄」と言っている。 シナノは、「素晴らしい英雄で勇者」と言っていた。 アカリは、「良いんじゃないですか」などとさらっと流したが、関心がないだけなのか? ノヴァは、事件についてはよく分かってなさそうだけど、「プレストンさんはいい人だ」と言っている。
プレストンを直接知っている者たちは、みんな肯定的だ。 だが、プレストンに会ったこともなく、よく知らない人は、なぜあんなに悪く言うのだろう?
やはり、本人に聞くのが一番だな。
カタリーナはプレストンを呼び出した。
「プレストンよ。妾は、偉業を成し遂げたお前を否定する運動が起きていることが納得できない。 お前は何を行い、何を成し遂げ、今どう思っているのか。 お前の言葉で教えてくれ」
プレストンは、カタリーナ王女が真剣な眼差しで見つめていることを察した。
「私のような一家臣に対して、王女殿下が心を砕いていただけて光栄に存じます。 ……かなり長い話になりますが、お付き合いください」
プレストンは大きく息を吸った。 「あれは、私が10歳の頃でした」
そんなに前からの話になるのじゃな……。
これから、プレストンの極大魔法の習得から、ミッドシップの「ワイプアウト事変」、そしてロイヤルヴァルト創設に至るまでの、長い話が始まった。




