誰にも必要とされていなかった
「ワタシハどこからもいらないと言われた。。。。」
涙が溢れた。
「どこからもいらないというのは少し違う、 国王はお前が必要と言ったのだ。
からこのロイヤルヴァルトに配属された。
ここにいる、プレストンだってそうだ。
プレストンと違って、キミは中央教会で欲しいという声も上がったのだが、
キミを護るための施設・組織等の改善費用が馬鹿にならんので、うちが引き取ることになったのだ。」
「私、誰からもいらないって言われたわけじゃないんですね。よかった。。。」
プレストンと目があった。
プレストンは副官のアカリとこそこそ話している。
「今 こっち見たよな」
「 見てましたね。きっとプレストンさんのことを誰からも親指がかからなかったと思ってるんじゃないですか?」
「 それは実際そうだけど、あの子はそんな悪いことを考える子じゃないに違いない」
「うちにはどこからも、お呼びがかからなかった隊員もいるが、そんなに気にしなくていいんだ。これから何ができるかを考えていこう。」
「あの子、めっちゃプレストンの事見てますよ。」
オークリンが、めっちゃ鼻の穴を広げてこちらを見つめていた。
私の役割は終わったようだな、と言い残しオリビエは帰っていった。
「極大魔法がなぜ嫌われているのか、説明しておこう。
たとえば、プレストンの場合、炎の極大魔法4つしか使えない。
フェニックス・メテオ・インフェルノ・ヘルファイヤ
どれも猛烈な威力で半径5キロは灰燼と化す。」
プレストンさん凄いんだ!
「だが問題は使いどころだ。
ダンジョン内で使えばダンジョンが消滅する。
外であっても、自分のまわり僅かな範囲以外、敵も味方も全て燃え尽きる。」
プレストンさん怖い!
「各部署の司令官が使い所を考えたが、誰も思いつかなかったわけだ。
まぁ、旧態依然とした仕事のやり方しか、考えられなかったからなんだが。
王様に司令官クラスが、せっかくの大きな力を活用できないのは、お前らの想像力が足りないからだって、どやされて。」
「というわけで、うちとしても何かやってないとだめだから、先週から昨日にかけて、新たな剣と防具の試験に行ってきたわけだ。」
それで、ワタシとサムソンさんは、お出迎えなしの配属初日だったんですね。
「というわけで、やっと報告会だ。
プレストン、報告を頼む。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
猛烈な日差し、焼け付く見渡す限り、陽炎が立ち上がる砂。
半径10キロには、誰一人いない。
僕の眼の前には、剣・鎧・盾が並べられている。
狼煙があがった、実験開始の光の合図だ。
「我が主神、サドミスト。炎の魔法に耐えうる武具が奉納されました。その力を試すための試練をお与えください!フェニックス!」
無数のフェニックスが表れ、ものすごい勢いて、周囲を乱舞した。
あたり数キロ、灼熱につつまれ、焦土と化し、
眼の前にあった、剣・鎧・盾は全て、砕け散っている。
「全部壊れた、失敗か・・・」
僕の魔法の中を、行動できる仲間を作るための、アイテム開発だったが、今回も大失敗でした。
それを確認して、僕は歩いて、10キロ先の仲間待機場所まで歩く羽目になりました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
最後に、灼熱の砂漠を10キロ歩いて帰った時に、みなさんが冷えたビールで出来上がっている姿を見て、もう一発魔法を発動させることをこらえることができた自分を、
褒めてあげたいと思いました。
・・・・・・・沈黙が流れた。
沈黙に耐えかねて司令が言った。
「極大魔法は危ないからね。。。。自重できるのは素晴らしいことだよ。」
ひどい!お酒は何だことがないけど、ひどいような気がする。
「プレストンさん!今度から辛い事があったら、言ってくださいね!
私が極大の回復魔法で酔もアルコールも全て浄化します!」
なんか、わからんが、固く握手した。。。。