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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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オークリンの大作戦(改正)

◇ オークリンの「世界ハッピー大作戦」

王都に帰還してから、数日が過ぎた。 私は砂漠の旅の間、ずっと考えていたことがある。今日こそ、それを司令に伝えるんだ。


「ジェーコフ司令、今日はご相談があります!」 「オークリンさん、改まってどうしたんですか?」 「私の魔法で、世界をハッピーにするためのご相談です!」


司令が「おやっ?」と眉を上げた隙に、私は一通の手紙を差し出した。 「この手紙を読んでください!!」 私はそれを無理やり押し付けると、大急ぎで転送陣に飛び乗り、ロイヤルヴァルトの執務室を後にした。


「あら、ラブレターですか?」 残されたサンドラ副官が楽しそうに茶化す。 「今時の若い子は、おじさんをからかうのが上手ですねぇ……」 そうこぼしながらも、司令は封筒から手紙を取り出した。


◇ 私の魔法を人のために役立てる大作戦! (⋈◍>◡<◍)


極大魔法でみんなを治療する!


場所は西の砂漠。いつも実験をしているあの広い場所でやる。


元気になりたい人を、たくさん連れていく。


私の魔法をドーン!ってみんなにかければ、みんな元気!


もし魔物が出てきたら、魔法でぶっ飛ばす!(プレストンさん頑張れ!!)


プレストンさんの魔法は危ないから、ノヴァさんに守ってもらう(ノヴァさん、素敵!)


これで、みんなハッピー! 完璧です! (,,˃ ᵕ ˂ )・.。


「…………」 内容を覗き込んだサンドラが、呆れたように呟く。 「……凄いわね。恐ろしいほど大雑把だわ」 「書式には問題がありすぎるが……言いたいことは分からなくもない。サンドラ、これを国王陛下に提出できるレベルの『計画書』に書き直してくれるかい?」 ジェーコフ司令がじっと見つめると、サンドラはわざとらしく眉間にしわを寄せた。


「一生懸命考えて、あの子が初めて自分から意見を出してくれたんですよ? 『お父さん』が頑張って、良いところを見せるチャンスじゃないですか」 サンドラはオークリンの手紙を、ぐいっと司令の胸に押し戻した。


「私はあの子の父親ではないのだが……。……トホホ、お父さんは頑張りますかね」 「そんな、仕方なくみたいな顔をしない!」 「分かったよ、嬉しいな! 我が愛娘(部下)の気持ちを、王様にガツーーーンと伝えてやるぜ!」 「その意気よ。頑張ってね♪」 サンドラは満足げに笑い、部屋を出ていった。


◇ 直轄武官部門ミーティング

ジェーコフは頑張った。 一週間、不眠不休に近い状態で、極厚のキングファイル数冊分に及ぶ緻密な計画書を書き上げたのだ。 彼がこれほどまでに急いだのは、本日開催される「国王と直轄武官部門のミーティング」に間に合わせるためだった。


【直轄武官部門とは】 議会の承認なしに、国王が直接運用できる軍事力。 「近衛騎士団」「近衛魔法師団」、そして我が**「ロイヤルヴァルト」**の三部門を指す。


このミーティングは、各部門の司令官クラスが集まり、日常の課題や情報の共有を行う……という建前で行われる親睦会のようなものだ。


会場である城内の「飛竜の間」に、私たちロイヤルヴァルトが一番乗りで到着した。 本来は司令官クラスの参加が条件だが、今回はノヴァを国王に紹介する名目もあり、ロイヤルヴァルトは全員参加という異例の形をとっている。


「すごいな……細かいなぁ……」 テーブルについた私は、天井に描かれた見事な飛竜の天井画に見入ってしまった。 そうしているうちに、オリヴィエ近衛騎士団長がシナノ副官、そして四人の司令官とその副官たちを引き連れて姿を現した。 さすがは近衛の面々。立ち振る舞いからして、ロイヤルヴァルトのメンバーよりずっと立派な大人たちに見える。


そこへ、最後に国王が入室してきた。 「今日も近衛魔法師団は欠席か。彼らのロイヤルヴァルト嫌いも徹底しているな。……では、早速始めよう」


いよいよ、私の「大作戦」を国王に直訴するミーティングが幕を開けた。

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