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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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祭壇(改正)

◇ 筋肉と穴掘り:過酷な(?)作業

悪魔の魔力の痕跡は、確かにサドミスト像の足元にあった。 アカリ副官の「形状感知」を試すと、砂の下にヴァンパイアのレリーフが確認された。間違いなく、ここに何かがある。 というわけで、私たちの「穴掘り任務」が決定した。


両腕を失って壊れているとはいえ、相手は偉大なるサドミスト様の像だ。私たちは一度敬虔な祈りを捧げてから、作業に取りかかった。


まず、この巨大な像を移動させなければならない。 「僕の剣術特訓の成果、ここで試させてください!」 そう言って名乗り出たのはノヴァだ。最近、サムソンさんにつきっきりの稽古(という名の超ハードな筋トレ)を受けている彼は、今まさに筋肉が急成長中なのだ。


「いける!」「来てる!」「ぱわぁぁぁぁーー!!」 威勢のいい掛け声とともに全力を振り絞るノヴァ。だが、結局像はびくともせず、最終的にサムソンさんと二人がかりでようやく動かすことができた。これほどの重量物をたった二人で動かすなんて、ロイヤルヴァルトの戦士は化け物じみている。


続いての掘削作業は、アカリさんの魔法ナビゲートのもと、サムソンさんとノヴァが交代で行うことになった。 サムソンさんの筋肉は言わずもがなだが、ノヴァも女性としては相当なマッスルへと進化している。アカリさんは、ノヴァの休憩中には「いい筋肉ね」「この部位のキレが素晴らしいわ」とトレーニング談義に花を咲かせ、サムソンさんの休憩中には、熱い乙女の視線を彼に送り続けていた……。


重労働ではあったが、交代しながらの作業は意外にも賑やかだった。 私のへなちょこっぷりを披露して笑いを取ったり、アカリさんが「パワー!」だの「マッスル!」だのと多彩な掛け声を出すわりに、力そのものは全くないことが露呈したり。プレストンさんはプレストンさんで、あまりの疲れと「女性のノヴァより体力がない」という事実に絶望し、キレて極大魔法で周囲ごと吹き飛ばそうとしたりと、終始楽しい雰囲気で作業は進んでいった。


◇ ヴァンパイアの紋章と「あの時」の記憶

やがて地面を深く掘り進めた先に、ついに鮮明な「ヴァンパイアの紋章」が姿を現した。 これにより、王都で教皇が狙われた事件と、かつてここで起きた惨劇が、同じ勢力によるものだという裏付けが取れたことになる。


「このヴァンパイアは、以前プレストンさんが倒したものと同一人物なんですか?」 私の質問に、プレストンさんは沈痛な面持ちで考え込んだ。 「……いや、あの時は確かに殺したはずだ。私の『ヘルフレア』の中で生き残る可能性など、万に一つもあり得ない」


ならば、これは何なのか。あの時のヴァンパイアの眷属か、あるいは模倣犯か。 今はまだ推測の域を出ない。この祭壇を可能な限り調べ、国王に報告することこそが私たちの責務だ。私たちは記録を取るため、さらに祭壇の奥へと掘り進めていった。


すると、砂の中から「サドミストの聖職者が着用する修道服」の布切れが出てきた。 まさか、遺体……? 不穏な予感に、私の背筋が凍る。


サムソンさんが、遺体を傷つけないよう慎重に周囲の砂を退けてくれた。


◇ 悲しき再会

結局、祭壇のあった地下室には、修道服を纏った白骨遺体が一体だけ残されていた。 彼がここで何をしようとしていたのかは分からない。分かっているのは、ヴァンパイアの祭壇の前に、一人の修道士がいたという事実だけだ。


「……可哀想に。サドミストに連れ帰ってあげましょう」 サムソンさんが遺体を仰向けに寝かせ、砂を払った。 その瞬間、骸の首元に、鈍く光るペンダントが覗いた。


それを見たアカリさんの表情が、瞬時に凍りついた。


「…………お父さん……」


震える声で、彼女がそう呟いた。

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