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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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痕跡(改正)

◇ 砂漠:魔法使いの解放区

砂漠の旅は苦労が多いけれど、悪いことばかりじゃない。 何しろ周りに人が住んでいないし、生き物さえほとんどいないのだ。つまり、プレストンさんや私のような「規格外」の魔法使いが、普通の人と同じように全力で魔法を使えるということ。


誰にも迷惑をかけず、被害を気にせず魔法が使えるなんて、なんて素敵なんだろう。サワーシップの王都がもう少し……いや、もっとずっと大きくなってくれれば、私の魔法も存分に振るえるのに。街の面積、広げてくれないかなぁ。


そんな能天気なことを考えているうちに、私たちは目的地であるミッドシップ神国・王都跡に到着した。


◇ 調査開始:王都跡の静寂

サムソンさんが、改めて今回の任務について説明を始めた。 「ここが今回の目的地です。事の起こりは、王都の中央教会地下で発見された悪魔の祭壇です。そこにはヴァンパイアの紋章が刻まれていました。教皇を支配した手口が過去のミッドシップ事件と酷似しているため、ここに同様の祭壇、あるいはヴァンパイアの痕跡が残っていないか調査するのが目的です」


そうは言っても、眼前に広がるのはほぼ更地。崩れた瓦礫の中に、両腕を失ったサドミスト像がぽつんと立っているだけだ。 「……これじゃ、祭壇なんて現存してないですよね。調査終了、でいいんじゃないですか?」


「オークリンさん。結論を出すのは、やるべきことをやってからですぞ! 『パッと見は大丈夫そうでした』だけでは、報告書も書けません。何の可能性があって、何を調査し、その結果どうだったか。それをしっかりやり遂げましょう」


やり遂げると言われても、これだけ広い砂の山。 「プレストンさんの魔法で、この辺の砂を全部吹き飛ばして調べるのはどうですか?」 私が提案すると、アカリさんもノヴァさんも「それがいい」とばかりに深く首を縦に振った。やはりみんな面倒くさいのだ。私たちは仲間だ。


だが、サムソンさんだけは頑なに首を横に振った。 「それは『証拠隠滅』というのです。却下です! 報告書に『極大魔法でぶっ飛ばしたので確認できませんでした』なんて書けるわけがないでしょう」


◇ 執念の魔力探知

サムソンさんは少し考え、一つの提案を出した。


サムソンが**「広範囲魔力探知」**で大まかな範囲を絞る。


絞り込んだ場所に対し、アカリが**「精密形状感知」**を行う。


場所が特定できたら、あとは根性で地面を掘る。


結局、根性と体力なのね……。 「我が主神サドミスト! この地に存在するすべての魔力に触れた物質の所在を、この矮小な身体の私に、最大範囲で示したまえ――『レジデュアル・マジック(魔力残滓探知)』!」


周囲1キロほどが、まばゆい光に包まれた。 「わぁ、ちっちゃくて綺麗な魔法! 素敵!」 私が呑気に拍手すると、ノヴァが呆れた顔でツッコミを入れた。


「……いや、充分広範囲っすよ。あんたら『びっくり人間』が異常なんです。それに、これだけの範囲を全部掘り返すなんて絶対無理ですよ。だいたいさっき、オークリンさんが広範囲に鎮魂魔法を使っちゃったから、サムソンさんの探知範囲よりも広い場所が魔力で満たされちゃってるじゃないですか」


「おっと、そうでしたな……」 サムソンさんが頭を掻いている。だが、すぐに再び気合を入れ直すと、深く深呼吸を始めた。もう一度、別の魔法を使うつもりのようだ。


「我が主神サドミスト! この地に存在するすべての『悪魔の魔力』に触れた物質の所在を、この思慮不足なまま魔法を行使した『あかんたれ』に対し、示したまえ! 原稿用紙10枚の反省文を奉納いたします――『ディアブロ・ヴィジョン(魔性視認)』!」


自らにペナルティ(反省文)を課すことで無理やり精度を引き上げた、サムソンさんの執念の魔法。 その直後、目の前にあるサドミスト像の足元が、不気味な赤色にぼうっと光り輝いた。


一瞬にして、その場に緊張感が漂った。

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