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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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22/62

冒険(改正)

◇ 日常の風景:プロテインと恋(?)

取り調べが終わってから、一ヶ月が過ぎた。


「おかえりなさい、サムソンさん。プロテイン、人肌に温めておきましたよ」 拠点に帰ってきたサムソンに、アカリが満面の笑みで声をかけた。


「…………」 その光景を、プレストンとオークリンが遠巻きに眺めながら顔を見合わせている。 「ねぇねぇプレストンさん。最近、アカリさん、サムソンさんに優しすぎませんか?」 「あの取り調べの日以来だよね……。魅了チャームの魔法は完璧に解除したはずなんだけど……。まさか『自前』でああなっちゃったのかな?」


◇ 決着と新たな勅令

あの事件の調査結果は、国王への報告を経て正式な結論が出された。


神託祭の日、国王が教皇に直接面会した際、すでに教皇が1年前からサキュバスの支配下にあり、精神を完全に奪われていたことが確認された。これによりロイヤルヴァルトの地下突入は「正当な防衛および救出作戦」として認められ、処罰者はなし。 公式発表では、「教皇は突如現れたデーモンと戦い、壮絶な戦死を遂げた」とされることになった。来月には新たな教皇が選出されるだろう。それは教会の仕事だ。


ロイヤルヴァルトの執務室では、ノヴァがサムソンに剣術の稽古をつけてもらっていた。……といっても、ノヴァは主に体力不足が課題なので、内容はほぼ筋トレである。 「いいぞ! その調子だ! いけるいける! あと3秒! あと3秒だ!」 「……その『あと3秒』、もう何回目ですかぁ!?」 顔を真っ赤にして踏ん張るノヴァの叫びが響き渡る。


そこへ、部屋の転送魔法陣が輝き、ジェーコフ司令とサンドラ副官が入ってきた。 「整列!」 サンドラ副官の鋭い声。王からの勅令が下る時の合図だ。


◇ 消えた国「ミッドシップ」への遠征

「国王陛下より勅令である。先日の事件に際し、中央教会の地下を調査したところ、10年前に消滅した**『ミッドシップ神国』**で発見された痕跡と酷似する魔力の残滓ざんしが見つかった。ロイヤルヴァルトはこれより、ミッドシップ神国跡地へ向かい、現地調査を行え」


その言葉が出た瞬間、プレストンの表情があからさまに曇った。 サンドラ副官は彼に歩み寄り、静かに声をかける。 「今回の任務は、あなたの帯同なしには成し遂げられません。あなたが頼りなの。期待しているわ」 「……大丈夫ですよ。心なんて、10年前に捨ててきましたから」 「そんなこと言わないで。あなたは世界を救う偉業を成し遂げた、私の英雄なんだから」


ジェーコフ司令もアカリも、二人のやり取りからあえて目を逸らしていた。 サンドラ副官の声が再び室内に響く。


「派遣メンバーは、プレストン、アカリ副官、オークリン、サムソン副官、ノヴァの5名。我が国サワーシップの国境から10キロ地点までは、近衛騎士団が護衛として帯同する。出発は3日後。質問は?」


「あの……ミッドシップって、どこにあるんですか?」 私は素朴な疑問を口にした。 「事件は君が5歳になる前のことだからな……。かつて存在した国の名前だ。今は国そのものが消滅し、無人となって地図からも消えた。我が国の西側、広大な砂漠の遥か彼方にあった場所だよ」


プレストンさんの意味ありげな態度が気になったが、それ以上は聞いてはいけないような重い圧迫感があり、私は口を閉ざした。


私たちは、長期遠征のための準備を開始した。 いよいよ、ようやく、やっと。 私たちの「本当の冒険」が始まろうとしていた。

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