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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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教皇死亡の取り調べ1(改正)

◇ 事情聴取:地下室で何が起きたのか

中央教会の一室に、オークリン、サムソン、アカリの三人が集められた。 質問を投げかけるのは、オリヴィエ近衛騎士団長とジェーコフ司令である。


「サムソン。まず、地下で起きたことを順番に説明してくれ」


ジェーコフの促しに、サムソンは姿勢を正して答えた。 「はっ。教会の混乱に乗じて地下に潜入し、オークリンさんの案内で目的の部屋に到着しました。同行していたのは近衛騎士団のメンバー数名と私、そしてオークリンさんです。部屋に入ると高位のサキュバスがおり、即座に睡眠魔法を仕掛けてきました。その影響で、私とオークリンさん以外の近衛騎士は全員眠らされてしまいました」


「ちょっと質問」と、オリヴィエが口を挟む。「サキュバスは近衛騎士団だけを狙って魔法をかけたの?」


「いえ、全員が対象でした。私とオークリンさんに効かなかったのは、先日の『女神讃神事』で教皇の言葉(魔力)にさらされた影響ではないかと、サキュバスが分析しておりました」


「サキュバスと会話ができたのか? 内容は?」


「年齢の話や、異性との交際経験についての話です。……少々話し込んだのち、サキュバスが攻撃魔法に転じたため、私はより深い情報を引き出すべく『魅了チャーム』の魔法を選択しました。魅了が効き始める寸前でアカリ副官が駆けつけ、魔法を放った……というのが流れです。ここからはアカリ殿に交代します」


◇ アカリの証言と「おっさん」への酷評

アカリが冷ややかな声で話し始めた。 「私は、部屋から物凄い叫び声が聞こえたので駆けつけました。入室した際、現場にいたのは両手で頭を抱えたまま絶叫して倒れているサキュバスと、同じく頭を押さえて混乱状態で詠唱を開始していたオークリンです」


アカリは一度言葉を切り、サムソンを鋭く睨みつけた。 「その姿を見て、私はサキュバスによる強力な精神攻撃が行われたと判断しました。オークリンの極大魔法発動という未曾有の事態が迫っていたにもかかわらず、サムソンは何もせず、自分の魔法に没入して悦に浸っていたのです。もし極大魔法が発動していたら、この王都がどうなっていたか……。この『おっさん』は、極大魔法の恐ろしさや影響範囲を理解しているのでしょうか。サムソンという男は、何も分かっていないただのおっさんですよ」


(アカリさん、サムソンさんのことを悪く言い過ぎでは……。彼が怒り出さないか心配になるほどだ)


「とにかく、極大魔法を止めるには術者を排除するしかないと思い、サキュバスを攻撃しました。一撃では仕留めきれなかった念のため、二度目の魔法を使用して完全に消滅させました」


◇ オークリンの真実

「ところでオークリン。君は本当にサキュバスから精神攻撃を受けていたのか?」 ジェーコフが優しく問いかけると、オークリンは青ざめた顔で首を振った。


「いいえ……私はサキュバスからの攻撃は受けていません。ただ……サムソンさんの『魅了』の魔法が……見えてしまって。それで混乱してしまったんです……」


「サムソンの魅了が? もしかしてサムソン、君はサキュバスとオークリンの二人に魔法をかけたのか?」


「いえ、吾輩はサキュバスにしか使用しておりません。魅了で見える幻覚も、本来は対象者にしか見えないはずのものです」


魅了の話が出た途端、オークリンは思い出したのかガタガタと震え始めた。 オリヴィエの頭の中には、いくつもの疑問が渦巻いた。


(アカリには、オークリンが精神攻撃を受けているように見えた。だがサムソンは、オークリンには魔法をかけていないと言う。……そもそも、どうして『魅了』程度で、これほどまでに怯える必要があるんだ?)


サムソンの魅了――その「中身」を知らないオリヴィエたちにとって、現場の状況は謎が深まるばかりだった。

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