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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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極大魔法はなにの役にもたたないわけではなかった(改正)

◇ クリスタルの剣とノヴァの事情

一方、別の場所に連れて行かれたノヴァは、ジェーコフ司令、サンドラ、プレストン、そして横で眠りこけているアカリが見守る中、詳しい話を聞かれることになった。 一同、ノヴァが発動させたあの**「防御結界」**が気になって仕方がないのだ。


ノヴァの話をまとめると、以下の通りだった。


自分たちは転送魔法によって、突然あの場所に飛ばされた。


自分自身には、防御魔法を使うスキルはない。


防御結界は、間違いなく**「クリスタルの剣」**から発動した。


極大魔法3連発という絶望的な状況を防ぎきったという事実に、嘘はなさそうだった。


「どう思う? あのクリスタルの剣はそれほどのレアアイテムなのか?」 「剣なのに防御結界、か……」 「クリスタルの剣が持つ真の能力を、一度詳しく分析したいな」


「いいアイテム手に入れてぇ、チートになってぇ、いい気になってるぅ……。生意気じゃなーい?」


「「「!!!!」」」 全員が凍りついた。声の主はアカリ副官だ。まだ酔ったままだったのを、一同すっかり忘れていた。 プレストンは顔を赤くし、慌ててアカリを部屋の外へと連行していった。


◇ 限界突破のサムソン

同じ頃、まるで「コブシメ」のように(内側に)激しい怒りを燃やしながらも、表面上は穏やかに見えるサムソンさんは、冒険者たちへの聞き取りを続けていた。


「あの恐ろしい極大魔法は、やっぱり**『ワイプアウト(全消去)』**の仕業か!? まさしく地獄だったぞ!」


冒険者の一言に、サムソンさんの怒りのボルテージがさらに跳ね上がる。


「血も涙もない悪魔のような奴だって噂、本当だったんだな!」


ブチッ。 ついに、サムソンさんの堪忍袋の緒が切れた。 「……貴様らぁぁぁ!」 サムソンさんはテーブルをひっくり返し、凄まじい勢いで大暴れを始めた。


司令もプレストンさんもあちら側(ノヴァの部屋)に行ってしまっている。 今のサムソンさんは、もう誰にも手が付けられない……。私はただ、嵐が通り過ぎるのを待つしかなかった。


(……でも、さっき言ってた『ワイプアウト』って、どういう意味なんだろう? サムソンさんが落ち着いたら聞いてみよう)


◇ 裁きと帰還

双方の聞き取り結果を突き合わせた結果、以下の処遇が決定した。


「ダット」のメンバー: 仲間を見捨てて逃亡しようとした罪で、王都のギルドに身柄を引き渡し、告発する。


ノヴァとクリスタルの剣: 関連性と剣の正体については、引き続きロイヤルヴァルトで調査を行う。


こうして帰投することになったが、なぜか「ダット」の面々はボコボコに腫れ上がり、傷だらけになっていた。しかし、誰もその原因を語ろうとはしない。 私が怪我の理由を尋ねようとすると、彼らは何かに怯えるようにして口を閉ざしてしまった。


◇ 極大魔法の「平和利用」

いよいよ王都へ帰るために荷物を馬車に積み込んでいると、鉱山開発の責任者が血相を変えて駆け寄ってきた。


「ジェーコフ司令! 魔法による露天掘りの調査結果が出ました!」


報告によると、魔法でできたクレーターの中心部には、大量の金や魔鉱石の塊が集まっていたという。それだけではなく、金属がその比重(重さ)の順に、中心から同心円状に並んでいることが確認されたのだ。


自然界ではあり得ないこの現象は、プレストンの魔法が連動した結果だと推測された。


メテオ: クレーター状の地形を作成。


インフェルノ: 超高温で周囲の鉱石を溶かし、中心部へと流し込む。


ヘルファイア: 高熱の爆炎の渦が、遠心分離機のように鉱石を比重ごとに分類。


「わが国の鉱山史上、画期的な発見です!」


責任者の言葉に、ジェーコフ司令は「極大魔法の平和利用だ」と我が事のように喜んだ。 司令は「今後の開発でも活用できるか」と尋ねたが、これほど大規模な鉱脈は稀で、次がいつになるかは分からないとのことだった。


それでも、**「極大魔法にも、破壊以外の使い道がある」**と証明できたことは、大きな収穫だった。 司令は上機嫌で馬車に乗り込み、私たちは王都への路についた。

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