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極大魔法しか使えない残念な冒険者  作者: 白山月


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魔法を阻害する者(改正)

それどころではなかった。そこには、すっかり酔いの冷めた面々がいた。 その場所には、ロイヤルヴァルトのメンバー以外に、見知らぬ6人の男女がいる。 醜態をさらしていた姿を確実に見られているわけで、非常に気まずい……。

沈黙を破り、サムソンさんが口火を切ってくれた。 「司令! 魔法発動地点の付近で、冒険者6名を保護しました」

そこにいた、アカリさんを除く全員が驚愕した。 あの極大魔法3連発の渦中で、生きていられるはずがないのだから。

「皆さん、見苦しい姿をお見せして申し訳ない。私はサワーシップ王国ロイヤルヴァルトの司令、ジェーコフです。皆さんを救助し、王都まで送り届けることをお約束しましょう。 ……だがその前に。君たちがどうしてこの立ち入り禁止区域に入り、どうやってあの熱量の中から生還できたのか、詳しく教えてもらいたい」

ジェーコフ司令が威厳を取り戻して告げると、 「ロイヤルヴァルト! あの、ロイヤルヴァルトか……!」 ダットのメンバー5人とノヴァが驚きの声を上げた。というより、完全にビビっている。


聞き取り調査は、サンドラ副官が行った。 彼女がまとめた、彼らが保護されるに至った経緯はこうだ。

メンバーは「ダット」の5名と、臨時雇い(サポート)のノヴァ。全員無事。

当初、王都近くの「ダンジョン化した神殿」を探索していた。

ノヴァの行動に合わせて隠し扉が出現。

扉の中にはドラゴンのクリスタル像と、クリスタルの剣があった。

ノヴァが勝手にクリスタルの剣に触れた途端、転送魔法が発動した(メンバーは「ノヴァの責任だ」と主張)。

転送先は、それまでの大理石の神殿とは似ても似つかない、岩だらけの鉱山のような場所だった。

クリスタルドラゴンが動き出し、襲いかかってきた。

その時、天井が崩落し、爆炎が降り注いだ。

ノヴァが持っていたクリスタルの剣が発光し、防御魔法を展開。おかげで助かった。

その後、「地獄の悪魔」のように見えた3プレストンたちに救助された。

どうやらダットのメンバーは、厄介事に巻き込まれたのはすべてノヴァのせいだと決めつけているようだ。 ノヴァはあくまで臨時雇いであり、ダットの正式メンバーではない。 ――これは、トカゲの尻尾切りだ。 彼らがいると責任逃れの嘘ばかりで、防御魔法の詳細など、肝心なことがさっぱり見えてこない。


そこで、ダットのメンバーへの聞き取りはサムソンさんが担当することになり、私は横でそれを聞かせてもらうことにした。 挨拶もそこそこに、サムソンさんがにこやかに切り出した。

「そもそもノヴァさんは、どうして魔法主体の皆さんのパーティに同行していたのですか? 皆さんほどの腕前なら、あの程度の難易度のダンジョン、ノヴァさんの助けがなくても楽勝だと思われますが」

おだてられたメンバーは顔を見合わせ、得意げに語り始めた。 「ノヴァには『魔法の発動を阻害する』っていう厄介な噂があったんですよ。酒場でそれが本当かどうか、酔っ払い同士で議論になりましてね」 「それで、酔った勢いでゲームをして、負けたチームが罰ゲームとしてノヴァを連れ、最深部まで行くことになったんです」 「なるほど、それで皆さんが負けてしまったわけですな」 サムソンさんが相槌を打つ。 「そうなんです。でも、いざ連れていくとなると、魔法が使えずに全滅する恐れもありますからね」 「それは確かに心配だ。私なら……魔法が使えない要因ノヴァをあらかじめ排除するくらいしか思いつきませんが、何か策があったのですか?」

サムソンさんの誘導に、メンバーは「待ってました」とばかりに身を乗り出した。 「いやー、その一択ですよ! ノヴァに大量の荷物を持たせて、動きを鈍らせておいたんです。何かあった時は、**そのまま置いてきぼりにして逃げればいい。**そうすれば自分たちは普通に戦える。神殿ダンジョンくらい、問題ありませんよ」

「なるほど、パーティメンバーの安全が第一ですな。感服しました、実に見事な策士だ。……でも、今回は6人一緒に発見されました。魔法も問題なく使えたようで、噂はデマだったのですな?」

すると、メンバーの顔が険しくなった。 「それが、デマじゃなかったんですよ! ダンジョンに入った直後から魔法の出力も狙いの精度もガタガタで、ヤバい感じでした。だから、休憩が終わったら一気に逃げようと思ってたんです。そうしたら隠し部屋が見つかって……。ドラゴンが出てきた時は完全に魔法が使えなくなりました。間違いなくあいつは疫病神だ。 だからノヴァを囮にして逃げようとした瞬間に、あの極大魔法が……。いやあ、恐ろしかったなぁ」

――こいつら、胸糞悪い。 サムソンさんはニコニコと話を盛り上げ、すべてを吐き出させている。 だが、彼らに見せている表側は満面の笑みなのに、私の位置から見えるサムソンさんの後ろ姿は、怒りで全身の血管が浮き出ていた。

まるで、体色を激しく変えるイカだ。 ……いや、コブシメだこれ!




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