表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/109

第89話『砂漠案内人ザハル』

オアシスの街サルマで旧友ジャビルと再会したレンたち。

翌日、彼の紹介で砂漠案内人と会うことになるが――その人物はかなりの曲者だった。

 翌朝、まだ日が昇りきらないうちに、ジャビルが宿の前で待っていた。

「お、やっと来たな。さぁ、案内人を紹介するぜ」

 レンたちは水袋を背負い、ジャビルの後ろについていく。


 向かった先は街外れの駱駝らくだ小屋。

 そこには、砂漠の風に晒されたような茶色のテントと、十数頭の駱駝が並んでいた。

 奥から現れたのは、背の高い痩せた男。褐色の肌に深い皺、鋭い鷹のような眼。


「こいつがザハルだ。腕は確かだが、性格は……まぁ、見ての通りだ」

 ジャビルが半ば苦笑いで紹介すると、ザハルは腕を組んだままレンを上から下まで値踏みした。


「……あんたら、迷宮まで行く気か?」

「そうだ」

「ふん。商売人の匂いがするな。危険を知らない顔だ」


 その言葉に、リリィがむっとして前に出た。

「危険なら昨日盗賊退治してきたよ!」

 ザハルは眉を上げ、わずかに口元を緩めた。

「……そうか。なら少しは見込みがある」


 契約の話になると、ザハルはさらに渋い顔になった。

「この砂漠は容赦しない。俺の案内料は前金の金貨十枚、成功報酬でさらに五枚だ」

「高っ!」

 リリィの叫びに、ジャビルが小声で耳打ちする。

「これでも安い方だ。ザハルは迷宮まで生きて辿り着かせる確率が一番高い」


 レンは少し考えた末、頷いた。

「分かった。頼む」


 契約が済むと、ザハルは短く指示を出した。

「日が沈む前に出る。昼間の砂漠は死ぬ。準備はいいな」


 午後、荷駱駝に食料と水を積み、出発の時が来た。

 ザハルは手際よく動きながら、隊列の並びまで細かく指定する。

「レン、あんたは俺のすぐ後ろ。女たちは真ん中。最後尾はあの大男ガルドだ」

「おい、最後尾は危ないんじゃ……」

「だからだ。後ろから来る奴をぶっ飛ばす役だ」


 夕焼けの中、隊は静かにオアシスを離れ、赤い砂丘の向こうへ進む。

 夜の砂漠は昼の灼熱が嘘のように冷え込み、満天の星が頭上を覆った。

 その中で、ザハルはぽつりと話し始めた。


「……赤い獅子団は最近、迷宮の奥に興味を持ち始めた。

 奴らの狙いはおそらく“証”だ。お前らが探すものと同じだ」

 レンは息を呑む。

「じゃあ、先を越されたら……?」

「証は二度と戻らんだろうな」


 星明かりの下、冷たい砂を踏みしめながら進む一行。

 しかし、砂丘の陰で、複数の赤い影がじっとその様子を見つめていた――。

砂漠案内人ザハルの協力を得て、迷宮への旅が始まる。

だが、“赤い獅子団”の影はすでに彼らのすぐ近くまで迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ