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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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55/107

第55話『新しい旅立ち』

魔王との一件からしばらくが経った。

平穏な日々の中、ラ・ステラに訪れた一人の旅人が、

レンを新たな旅へと誘う――。

 昼下がりのラ・ステラ。

 店の奥ではガルドが粉まみれになりながら生地をこね、

 リリィはカウンターで常連客と談笑していた。

 レンは窯の温度を確かめながら、穏やかな午後を楽しんでいた。


 そんなとき、扉の鈴が軽やかに鳴った。

 入ってきたのは、長い外套を羽織った中年の男。

 背中には古びた革製の地図筒を背負っている。


「ここが……噂のラ・ステラか」

 低く落ち着いた声。

 レンは笑顔で迎えた。

「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」


 男はカウンターに腰を下ろし、メニューも見ずに言った。

「まずは一番自信のあるピザを頼む」

 レンは少し考え、旅人に合わせて香草とチーズを効かせた一枚を作った。


 焼き上がったピザを前に、男は目を細め、ひと口、またひと口……

 そして低く唸った。

「……噂以上だな」


「ありがとう。でも、そんなに噂になってるのか?」

 レンが聞くと、男は地図筒を開き、古びた羊皮紙を広げた。


 そこには大陸全土の地図が描かれ、各地に小さな赤い印が記されていた。

「これは、私が旅してきた街と村の印だ」

 男はゆっくりと指を滑らせる。

「この大陸には、まだ君のピザを知らない人々が山ほどいる」


「……だから?」

「一緒に来ないか。私が案内する。大陸を横断して、君のピザを広めるんだ」

 ガルドとリリィが顔を見合わせる。

「おいおい、また旅かよ……」

「でも、ちょっとワクワクするわね」


 レンはしばし黙って考え、やがて笑みを浮かべた。

「面白そうだな。……やるか」


 こうして、魔王をも唸らせたピザ職人の次なる旅が、静かに始まった――。

魔王編を終えたレンは、新たな挑戦へと踏み出す。

次回は、大陸横断ピザ行商の第一歩。

最初の目的地は、港町フェルナンド。

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